第60話 捨てられ王子、慰める
「す、すまない、レイシェル。本当にすまない。飲み物に媚薬が盛られていたみたいで、我慢ができなかった……」
「前にも似たようなことがあったなあ……」
やたらと肌がつやつやしているアルカリオンの方をちらっと見ると、彼女は無表情のままブイサインしていた。
やりやがったな、アルカリオン。
と、そこでアルカリオンも弁明してきた。しかも結構有効な弁明だ。
「私がローズマリーに盛った媚薬は一日と経たず効果が切れる代物です。最初の一日以降は素面ですよ、ローズマリーは」
「ギクッ。そ、そうだ、レイシェル!! 皆が会いたがっていたぞ!! 顔を見せに行くといい!!」
「露骨に話題を逸らしましたね」
「ま、まあ、気持ち良かったから俺は別にいいけどさ」
帰ってきてから丸々一ヶ月もアルカリオンやローズマリーと過ごしていたのだ。
他の皆にも顔を見せに行かないと。
「ああ、まずはサリオンに顔を見せてあげてください」
「え? サリオンに?」
「はい。坊やが拐われた場にいたからか、必要以上に自分を追い詰めているようですので」
「そ、そっか」
少し申し訳ない。
俺は転移先で出会った人たちとめちゃくちゃエッチしまくっていたが、サリオンは気が気ではなかったはずだ。
俺はアルカリオンにサリオンの居場所を聞いて、彼女のいるお城の一室に向かう。
「サリオ――」
「んっほおおおおおおっ♡♡♡♡」
サリオンの部屋に行くと、彼女は三角木馬の上にあられもない格好で座っていた。
手足を鎖で拘束し、目隠しと猿ぐつわを嵌められて、全身をビクンビクンと痙攣させている。
部屋の中には他に人の気配がなく、彼女が自分で自分をいじめているのだと一目見て分かってしまう。
俺はそっと扉を閉めた。
しかし、扉の向こう側からはサリオンのおほ声が聞こえてくる。
思ってた追い詰められ方と違う!!
もしかして俺がいない間にそういう性癖に目覚めてしまったのだろうか。
いや、元々サリオンは責められる方が好きそうだとは思っていたが、俺の知らない間に悪化していたとは……。
と、その時だった。
「あら、レイシェルくん。どうしたのかしら?」
「え? あ、ヴィオレッタ!!」
声をかけられて振り向くと、そこにはアルカリオンの第一子、ヴィオレッタの姿があった。
相変わらず大きなおっぱいだ。
なんて考えていたのが見抜かれてしまったのか、ヴィオレッタは俺の頭をその大きなおっぱいに埋めるように抱き締めてきた。
「おうふ」
「もぅ、ダメよレイシェルくん♡ 久しぶりに再会したお姉ちゃんに他人行儀な話し方はメッ♡」
「お、お姉ちゃんっ」
「うふふ。一ヶ月もローズマリーとお母様に譲ってあげたのだもの、少しくらいいいわよね?」
そう言って舌舐めずりするヴィオレッタ。
俺とヴィオレッタはそのまま廊下で互いの身体を貪った。
行為が終わり、お互いに冷静になったところで俺はサリオンのことを相談する。
「あらあら、お祖母様ったら……。私が教えて差し上げたストレス発散法を見られてしまったのね」
「……え!?」
「うふふふ。寂しさを紛らわせるためにイマジナリーレイシェルくんを想像して沢山いじめてもらうのよ♡」
イマジナリー俺……。
「……むぅ」
「あら、頬を膨らませてどうしたの?」
「いや、何て言うかさ。俺のことを考えて気持ち良くなってくれるのは嬉しいけど、どうせなら俺自身が気持ち良くなってほしいっていうか……」
「……うふふ、レイシェルくんったら。ならお祖母様にお仕置きしなくちゃね♡」
ヴィオレッタがニコニコ笑いながら、何かを手渡してきた。
鞭だった。S&M用の叩いてもあまり痛くない奴だ。
「それでお祖母様にお仕置きよー!!」
ヴィオレッタに促されて、俺は三角木馬の上で悶えているサリオンにお仕置きした。
俺はどちらかと言うとMっ気のあるタイプだと自分では思っていたが、こっちにも才能があったのかもしれない。
途中からノリノリになってサリオンをいじめてしまった。
色々とシた後、サリオンの拘束を解く。
「うぅ、レイシェルぅ、無事で良かったのじゃあ!! すぅー、はぁー、久方ぶりに嗅ぐ小僧の臭い、堪らんのじゃあ」
「あ、あはは、くすぐったいよ、サリオン」
S&Mプレイの後は普通にイチャイチャして再会を喜ぶ。
それから那由多やクリント、イェローナに会いに行ったりして、俺は再会とエッチをするのであった。
そして、最後に腹違いの弟ヘクトンの母、オリヴィアに会いに行ったのだが……。
「……」
「……」
オリヴィアは拉致誘拐の実行犯として地下牢に囚われているヘクを訪ねているようだった。
しばらく無言で見つめ合う二人。
俺は声をかけようとして、二人の会話をうっかり聞いてしまう。
「ヘクトン、なのですね?」
「……」
「ヘクトン、私は……」
「お前はもう僕の母親じゃない」
「っ、ヘクトン……」
オリヴィアがヘクのことをヘクトンと呼ぶ。
……え? いや、え? どゆこと? ヘクがヘクトン?
「僕を裏切ったくせに、今さら母親面して心配でもするつもりか?」
「わ、私は……」
「失せろ!! 淫売!!」
ヘクトン? から強烈な拒絶の言葉を聞き、見るからに落ち込むオリヴィア。
オリヴィアは何かを言おうとして、やっぱりやめて牢屋を後にする。
当然、地下牢の入り口にいた俺とばったり遭遇してしまう。
オリヴィアは目に涙を浮かべていた。
……ヘクがヘクトンということには本気で驚いているし、困惑しているが……。
「レ、レイシェル様……」
「……まだ何も理解してないけど、俺の女を泣かせやがって。取り敢えず一言文句言って――」
「いいのです。私があの子を裏切ったのは、本当のことですから」
「で、でも……」
「本当に、いいのです。行きましょう」
「……分かった」
俺はオリヴィアの後ろに付いて歩き、彼女の様子を窺う。
こういう時、どうしたらいいのだろうか。
「オリヴィア」
「なんでしょうか、レイシェル様?」
「えーと、その、エッチ!!」
「……え?」
「嫌なことがあった時は、取り敢えずエッチして忘れよう!! 一度頭を空っぽにしよう!!」
「い、今は、そういう気分では――ひゃんっ♡」
「断らせないからな!!」
俺はオリヴィアを部屋に連れ込み、激しく愛し合った。
オリヴィアが色々考える暇を失くすくらい、全力で彼女のことを愛した。
全てが終わった後、オリヴィアはどこかスッキリした表情だった。
「ありがとうございます、レイシェル様。お陰で気が楽になりました」
「……オリヴィアは俺の女だから。何があっても俺はオリヴィアの味方だし、絶対に離さないからな」
「っ♡ レイシェル様……」
オリヴィアが頬を赤らめる。
その表情があまりにも可愛かったので、ほぼ丸一日オリヴィアとのエッチに時間を費やしてしまった。
「はあ♡ はあ♡ はあ♡ ……レイシェル様、一つお願いが有るのです」
追エッチが終わると、彼女は覚悟を決めたように真剣な面持ちで言った。
オリヴィアは何をするつもりなのだろうか?
―――――――――――――――――――――
あとがき
どうでもいい小話
作者「精神的に弱ってる女の子を肉体的に慰めるシチュエーションが好き」
レ「分かる」
作者「あと8月7日に『いじめっ子と浮気した婚約者の不幸を神社でお祈りしたら妖狐様が嫁になりました。』を投稿します。時間のある方はどうぞ」
「サリオンで笑った」「ヴィオレッタが原因かよ!!」「寝取られモノでよくあるやーつ」と思った方は、感想、ブックマーク、★評価、レビューをよろしくお願いします。
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