滅びゆく文明が託した“最後の願い”とは――

 遺跡に生きる少女との出会い。それは、孤独な冒険者アルにとって、新たな希望と絶望の狭間に差し込んだ一筋の光でした。物語の舞台である“大発掘時代”には、古代文明の息遣いが遺跡の隅々にまで漂い、ページをめくるたびに冒険心をかき立てられます。荒廃した石壁に隠された古代技術、響き渡る魔導生物の咆哮。これらはまるで時を超えた遺産たちが、私たち読者に語りかけてくるかのようです。

 そしてアルの葛藤――売れば一億G、けれどその少女には妹の面影が重なり…。貧困に苦しむ冒険者としての現実と、守りたい命への想い。この二律背反に揺れる彼の心情は胸を打たれずにはいられません。

 気づけば、物語の奥に潜む謎に取り憑かれ、古代文明の真実を追い求めてしまうのです。アルと共に遺跡の奥へと進みたくなる、そんな冒険がここにあります。

 さあ、アルが辿り着く運命の真実を、その目で確かめてみませんか?

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