第8話 激闘の行方

百合は腰を低くし、居合の構えを取った。

シルクハットはそんな百合を見て何かを感じ取ったのか、笑うのをやめ、両方の手の平に長い刀を生成した。


戦場に一瞬の静寂が訪れる。

次の瞬間、二人が同時に一気に距離を詰めた!


ガキィィン!


大きな金属音。すれ違う二人。

百合の足元に折れた刀身が二本転がっていた。


「…がはっ!」


シルクハットの仮面が縦に真っ二つ割れる。

仮面以外が砂のように散り、割れた仮面がカランと音を立てて地面に転がった。

百合は振り返り、かつてシルクハットだった仮面の方を向いた。

まだ生きているようだ。


「ははは…完敗ですよ…このありさまです」

負けたというのにまだニヤニヤと不気味に笑っている。


「本当は…もっとちょっかいかけて…がは!…もう少し…遊びたかったんですけど…ね…」

「…」

「あなたの…新しい…美しい姿を見て…はぁ…はぁ…挑まずには…いられなかった…怪人の…本能なのでしょうか…ね…」


百合はそんな満足げに笑っているシルクハットを見て何故か少し悲しそうな顔をしていた。


「シルクハット…あなたには色々と意地悪されましたけど」

「はぁ…はぁ…」

「本当のわたしに気づかせてくれました。感謝しています。安らかに眠って下さい」

「ふふふ…本当に…甘いですね…しかし…それで…こそ…あ…な…た…」


シルクハットは何かを言い終わる前に動かなくなった。

仮面が砂のようになって消えていく。

百合は抜いている刀を鞘に納めた。



百合が変身を解く。

クロは大はしゃぎで百合の元に駆け寄ってきた。


「すごい!すごいよ百合!あんなに強いなんて!隠れて剣術でも習ってたのかい?」

「いえ…できるかなと思ったらできちゃいました。多分変身アイテムの力なんだと思います」


百合は手に持っている変身アイマスクをギュっと握りしめ、クロの称賛に頬を赤くして首筋を手でスリスリとさすっていた。


「それにしても強かったね、シルクハットも。一体奴の目的は何だったんだろう?」

「えぇ…なんだったんでしょうね」


クロは遠くにいたこともあって、百合とシルクハットの会話は聞こえていなかったらしい。


「あとミルキィブレイドだっけ?自分で考えたのかい?新しい名前!」

クロは意地悪そうな顔でニヤニヤと百合の方を見る。

百合はそんなクロの視線に耐え兼ね頬を赤らめた。


「いえ、私の…大切なファンの女の子の会話から拝借させていただきました」

「ふ~ん…いい名前じゃないか。早くみんなに覚えてもらえるといいね!ミルキィブレイド♪」


クロはニコっと笑顔になり百合に片方の前足を突き出した。

百合は腰を下ろし手を握りしめ、クロの前足にコツっと突き合せた。


「あらためてこれからもよろしくね!百合!」

「はい!クロさん!」


早朝の商店街。

そろそろ街の皆が動き出す時間だ。

二人はその場を後にした。



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26歳の魔法少女 恥辱の変身 MenRyanpeta @MenRyanpeta

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