第3話 入学1週間前 -深夜- (有紗side)

夜が深まるにつれて、アタシは翔の告白が耳に残り、眠ることが出来なかった。

眠れないなら少しでも対策をと、ベッドに腰掛け、アタシは翔が書いたノートを手にしていた。

そのページには、ゲーム内での各ヒロインの詳細な情報が記されている。

アタシの知っている名前もあれば、恐らく高校入学後に初めて会うことになるだろうヒロインたちの名前も見つけた。


ページをめくる手が止まる。


(あぁ、絶対に無理だわこういう子…)


何人かのヒロインは、性格的に自分とは合わないだろうと感じた。

そんなことを考えながら、彼女はさらにページをめくった。


ノートを読み進めていくと、最後のページには、ヒロインたちの人気投票の結果が記載されていた。

アタシは驚いた。翔がどれほどこのゲームに夢中だったのか、改めて理解した。


(しかも一人一人のコメントも思い出して書いてるし…)


彼女は自分の名前を探しながら順位を見ていった。


そして、アタシの名前を見つけた。




アタシは最下位だった。




『声優がキャラに合っていない』、『主人公に媚を売りすぎ』、『別のキャラを攻略中にランダムイベントで頻繁に出現し、邪魔』、『何もしなくても好感度が上がっていく』、『主人公への態度が露骨すぎて引く』などのコメントがあった。


「なによこれ!媚を売りすぎって、一途だって言いなさいよ!」


アタシは一瞬怒りを感じたが、すぐに気持ちを落ち着けた。


「でもアタシはアタシだし、今は翔の彼女だもんね。」


ページの一番下には翔からのメッセージが書かれていた。


『前世では3位のキャラが推しだったけど、この世界で翔として生きてきて一番の推しは有紗だけだから。』


その言葉を読んで、アタシはふふっ…と笑い、彼の言葉が、どんなに人気投票の結果がどうあれ、自分が彼にとってどれだけ特別な存在であるかを改めて教えてくれた。

ノートを閉じ、アタシは彼氏の確かな愛情を感じ、この思いを胸に抱き寝ることにした。



……そういえば翔はどんなイベントでアタシのほくろを知ったのだろう?

いいや…明日……聞いてみ………よう……………

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