第3話 ドーナツ


現彼女に浮気された。

それで俺は元カノと5年ぶりにつるみ始めた。

滅茶苦茶楽しい。


あの日。

俺は後悔しかない日々を過ごしていた。

だけどこうしてつるみ始めると楽しかったあの日を思い出す。


考えながら俺は授業中に和奈を見ていた。

和奈も俺をチラ見している。

俺はその姿が若干に愛おしく感じる。


愛おしく感じたらいけないのだろうけど。

一応、俺には彼女が居るから。

あんなクソバカでも彼女だ。

これから先、別れようとは思うけど。


「...」


俺はそんな事を考えながら外を窓から見た。

和奈以外の女子と付き合っても何一つ良い事が無かったな。

思いながら俺は外を眺め見る。


それから溜息を盛大に吐いてから授業を最後まで受けた

そして俺は帰る準備をしていると。

和奈がやって来た。



「一穂。帰らない?」

「帰らないっていうのは?」

「私と一緒に帰らないかって意味だよ」

「!」


そう話しているとクラスメイトの男子達が「おう。帰れや。どうせその子もお前の彼女になるんだろ(怒)」と怒った。

まあそうなるわな。

そう考えながら俺は「俺には彼女が一応居るから」と苦笑い。


「コイツは...とても大切な幼馴染だよ」

「一穂...」


そんな会話をしたら和奈が赤面しながら横を向いた。

俺はその顔に苦笑する。

するとクラスメイト達が盛大に溜息を吐いた。

「ジョークだっつーの」と言いながら、だ。


「まあだろうなとは思うし手は出さんけどな」

「再会が久々なんだろ?」

「クソ羨ましいが仕方がない」


という感じで言い出す。

俺は目を丸くしながらその姿を見る。

みんな苦笑しながらそう言ってくれた。

俺は後頭部を掻く。

それから笑みを浮かべた。


「有難う。みんな」

「まあクラスメイトですし」

「弁える時は弁えないといけんしな」


「だけど」と切り出すクラスメイト。

それから「お前らお似合いだと思うけどな」と言ってくる。

俺はその言葉に和奈と顔を見合わせた。

そして「そうか」と返事した。


「だけど一穂はあくまで幼馴染だから」

「でも砂山の彼女って...確か」

「聞いた事はあるな。事実かは知らんけど」


俺は「落ち着け」と濁した。

それから「俺の事はどうでも良いわ」という感じにする。

みんなは「まあお前がそう言うなら」と困惑気味だったが話を成立させた。

俺は「...ああ。じゃあな」と挨拶をして俺は和奈と一緒に帰る。


そうしていると電話が掛かってきた。

その相手は...富山だった。

俺は「もしもし」と話した。

すると富山は怒った感じで電話に出る。


『もしもし!一穂!?』


という感じでだ。

俺は「何だ」と言葉を発すると『他の女と一緒だっていうじゃない。何で?』と言ってくる。

その言葉に「ああ。お前が浮気したから浮気した」と平然と返事をした。

すると無言になった。


『...え?』

「お前股を簡単に開く奴だったんだな。...そんな奴とは付き合えないな」

『...』

「...じゃあな。楽しかったけど地獄の日々だった。後は地獄にでも落ちてくれ」

『一穂...待って。私を捨てるの!?』

「当たり前だろ。...お前じゃなくて元カノの方がよっぽど良い。死んでくれ」

『か、一穂。待って。考え直す気は』

「無いな。じゃあな」


そして俺はその連絡先をブロックした。

それからすべて抹消する。

すると横の聞いていた和奈が「えっと」という感じになる。

俺は笑みを浮かべた。


「和奈。という事だ。付き合うか?」

「...本当に良いの?私で」

「お前との日々は楽しかった。...富山に比べたらな。だから付き合おうか」

「...そっか」


和奈は「...じゃあ先ずは手を繋ごうか」と言ってくる。

俺は「...いや。何でそうなるんだよ」と苦笑する。

すると「良いの」と言いながら和奈は俺の手を握った。

そして笑みを浮かべる。


「...一穂は良かったの。これで」

「良かったもクソも無いな。そもそもアイツが悪い」

「...そうだね。分かった。じゃあ付き合おうか」

「ああ」


そして俺は元カノの和奈と付き合い始め...たが。

まだ問題は終わって無かった。

これから苦難の道のりとなるが...だけど。

俺は...。



一穂の手が大きい。

こんなに5年で大きくなるんだ。

私は思いながら一穂に寄り添ってから手を繋ぐ。

心臓がドキドキする。


「...俺は...誰とも付き合わなければ良かったんだな」

「そんな事は無いけど。...富山だけが最悪だっただけでしょうね」

「...俺達は運命的だったんだな」

「うん。そう思う。...一穂が好きだしね」

「...そうか」


そして私は一穂に「何か飲まない?」と聞いてみる。

すると一穂は「そうだな」と返事をしながら「なら○スドに行くか?」と言いながら私を見てくる。

その言葉に「うん。だね」と返事をしながらそのままミス○に向かった。

手を繋いだまま。


「...それで...お前は英語とかペラペラなのか?」

「うーん。変わらないね。ただ日常会話は成立するかもね」

「ほー。凄いな」

「英語無しじゃ生きられないしね」

「そりゃそうだろうな」


私はドーナツを見ながら「美味しそうだね」と笑顔になる。

一穂は「...笑顔は止めろ。反則だ」と赤くなる。

そんな姿に私は柔和になる。

そして私達はドーナツを選び始めた。

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