普通と特別(粗書)

〈四季視点〉


 私は昔から「トクベツ特別」だった。


 人は他人を評価するときその人の容姿から観察するらしい。その点、私は異質すぎた。母から譲り受けた、日本人離れな白い髪にあおみがかった大きな目、整った顔立ち、そのすべてが「トクベツ」で、私を普通から遠ざけた。


 さらに私を絶望させたのは、周りのみんなや、普通の人たちは耳が聞こえて言葉で会話ができるということだ。


 この二つの「トクベツ」は私を周りから遠ざけ雁字搦めにとらえて離さなかった。




 だから私は普通に憧れた。普通に幼稚園の子たちと遊んで、小学校の子たちと遊んで、中学、高校と普通に一緒に遊びたかった。普通いいんじゃない普通良かったんだ。


 だから高校に入ってすぐあの二人が仲良くしてくれたことがすごくうれしかった。だからそのあとあんなことをされて傷ついた。だからこそ今日一緒に楽しく遊べてうれしかった。これからをそうであってと願った。


 普通がよかった。


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〈陽奈/光月視点〉


 私たちは昔から「トクベツ特別」だった。


 二人そろって整った容姿に、他より裕福な家庭、子供にしては大人びた思考。そのどれもが「トクベツ」になりえたものだった。

 周りの子供は論外で大人すらも役不足。


 だから私たちはもっと「トクベツ」を探した。普通じゃ物足りない、私たち二人を超えるほどの「トクベツ」、それを求めた。


 そして、見つけた。その「トクベツ」を。私たちといて普通にはなりえない強烈がそこにはたたずんでいた。




 はじめはただの好奇心。でも時間がたつごとにそれは願望に、そして欲に。宗教的なまでに頭から離れなかった。

 だから、依存しすぎた。「雪峰四季」の優しさに。私たち二人は寄りかかりすぎてしまったのだ。一種の麻薬とでもいうのだろうか。


 そしてあのナンパから暴走が始まった。頭は物事を考えられているのに常にハイになっていた。

 四季ちゃんのあの気絶を見て、今までのことをすべて聞いて、すぐにでもいなくなりそうだった。だからより強く四季ちゃんを求めてしまった。


 でも、四季ちゃんのあの絞り出すような、それでいて意志のこもった発音を聞いて一気に頭が冷静にクリアになった。




でも私たちは「トクベツ」がいい。それしかないから。




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どうも「ガウテン」です。


最近暑すぎてマジでヤバイって。夏休みなのに部活大杉だって。

ちなみに俺も特別な存在に憧れたりしたりしなかったり。




では、また。

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