始まりの四季ちゃん

四季しき


 今日から待ちに待った高校生活。今までは対人恐怖症のせいで人とうまくかかわることができなかったけれど、高校では友達を作って青春を謳歌したい。そう思っていた時期も私にはあった。


 入学してから5日。見るからにクラス内ではグループが確立されていた。やはり耳が聞こえずしゃべることができないのは相当なハンデらしい。

 私の学年には学校で一番かわいいと噂の双子がいる。入学の日にちらっと見えたけれど本当にかわいかった。あの子たちと仲良くなりたいと思っているけれどいつもいろんな人に囲まれている。話かけるなんて私じゃ100%ひゃくパー無理だ。


 そんなことを考えながら本を読んでいたら。有名な双子の妹のほう、「一ノ瀬いちのせ光月みつき」さんがなんと自前のホワイトボードで話しかけてきてくれたのだ。


『こんにちは。初めまして。』


『こんにちは!』


『私は光月みつきていうの。覚えてね。』


『ありがとう。光月話しかけてくれて。』


 話しかけられるのは初めてだったから少し慌てて自分のホワイトボードで返事を書いた。すると、どこか顔を赤くし照れたような表情で教室を出て行ってしまった。また独りになってしまった。私にしては頑張ったほうだ。

 平常心を取り戻し手持無沙汰てもちぶさたになり、読みかけの本を授業が始まるまでずっと読んでいた。


 そしてその日はもう何もなかった。




 それからは毎日一言二言だが会話する関係になった。光月さんの姉の「一ノ瀬いちのせ陽奈ひな」さんも一緒に会話をしたりするようにもなった。




 そんなある日、事件が起きた。三人で帰るようにもなり仲が進展してきたころ、帰り道でいかにも遊んでいる見た目の男四人にナンパされた。

 はじめは光月たちが軽く受け流してたが、私がナンパしてきたやつの一人に後ろから肩を抱かれ少し胸をもまれた。急に人に触れられ悲鳴も上げられず固まっているうちに何回も、もまれていたらしい。少し記憶があいまいだった。でもたぶんお酒の匂いがすごかったから酔っていたんだと思う。

 そのあとは、対人恐怖症の影響でまともに立っていられなくなり気絶した。






 目を覚ますと知らない天井だった。でも、転生とかはしていないと思う。目の前には一ノ瀬いちのせ姉妹が心配そうな表情でこちらをのぞき込んでいた。


 用意してくれていた水を飲み落ち着いてから、あの後どうなったかを聞いた。たまたま近くでランニングしていたすごくムキムキな女性が助けてくれたという。ナンパしてきた男たちは今は警察でお世話になっているころらしい。


 そして私自身のことも話した。




 今日のところは疲れていて家まで少し距離があるので一ノ瀬家に泊まることになった。夕食をいただいて、二人と一緒にお風呂に入って一緒にリビングで横になった。そして私は彼女たちの変化に気づくことができなかった。






陽奈ひな


 四季ちゃんがあのクソどもに触られたとき私の中で何かが抜けた音がした。それは感情の蓋なのか、頭のねじなのかそれはわからない。ただ四季ちゃんを私の、私だけのものにしたい。そう思うようになった。




光月みつき


 四季ちゃんがあのブタどもに胸をもまれたとき頭の血管が切れた音がした。四季ちゃんは私のものだお姉ちゃんにも誰にもあげない私だけのもの。






四季しき


 そんなことなどつゆ知らず、私は友達二人に挟まれて朝を迎えるという最高な寝起きだった。


 そしてその日は家に帰って一日ごろごろしていた。

 次の日学校に行くと、ついたとたん双子の二人に詰め寄られた。


 『ちょっと、ついてきて。』


 ホワイトボードにはそう書かれていた。

 書かれていた通りについていくと、空き教室に入り椅子に座らされた。そして、


『私が上書きしてあげる。』


 と、よくわからないことが書かれていた。次の瞬間、陽奈と光月が私に抱き着いてきた。さらには半開きだった口に舌をねじ込ませてきた。頭が真っ白になった。

 視界は二人で埋めつくされ、鼻孔には二人の甘くとろけるような匂い。口にはどちらの舌かわからないが舌と舌が深く絡み合ってなぜか一瞬しびれた後言いようのない幸福感に制圧された。


 二人はほかの人より関係値があり少しくらいなら触れても構わないが、二人同時に覆いかぶさるように全身を押し付けてきた。しかもキスまで。

 おとといの出来事が頭によぎり目の前が暗転した。







これは高校一学期の出来事。彼女たちの溺愛はまだ序章に過ぎなかった。




─────────────────────────────────────


どうも「ガウテン」です。


ほぼ説明、なんかきもくて嫌になっちゃいました。

次からイチャイチャしていきたいです。




では、また。

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