四季ちゃん邂逅

陽奈ひな


─入学の日─


 入学式が終わり、妹と終始無言のまま帰路についた。




 あの後、私たちは彼女に話しかけようとして耳についている補聴器と聴覚障がいがある場合につける"耳マーク"に気づいた。

 私はものすごく驚いたが、妹はどこか納得したような表情をしていた。


 それからは声をかけようにも会話ができない。ということもあり声をかけるのをためらっているうちに入学式が終わった。


 私たちは彼女「雪峰ゆきみね四季しき」のことを知らなかった。でもそれは当たり前だ。だって入学前にあったのは一回だけだし、何なら私は見かけただけだし。


 帰ってからは妹と話し合った。






 次の日私は彼女のことを知ろうと情報収取を始めた。直接会話する勇気がなかったので、出身が彼女と同じ人、数人に話しを聞いた。

 中には小学生のころから一緒だった人もいた。


 その人が言うには四季ちゃんは小さいころからたまにだがいじめられていたという。

 私は自分が許せなかった。四季ちゃんにまつわるどんな些事をも知ることができる環境にいなかった自分に。四季ちゃんのそばにいることができなかった私に。


 だから私は決めた、"四季ちゃんを直そう"と。四季ちゃんの"心の傷を私で癒そう”と。





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光月みつき


─入学の日─


 入学式の後静かに帰路についた私と姉は家に帰ってから彼女について話し合った。


 姉が言うには姉もあの天使「雪峰ゆきみね四季しき」に出会っていたという。だが私よりは接点はなくただ遠くから見ただけらしい。

 話あった結果まずは四季ちゃんに関する情報を集めようという話になった。


 陽奈ひなお姉ちゃんには申し訳ないけれど、四季ちゃんを手に入れるのは私。お姉ちゃんには指をくわえてみていてもらおうかな。


 「あ~あ、早く四季ちゃんとデートしたいな~」


 私はそう小さい声でつぶやいた。




 あれから数日聞き込みの成果として四季ちゃんの過去を知ることができた。それに四季ちゃんとの会話用ホワイトボードも買った。

 これでやっと四季ちゃんと会話ができる。まずは小手調べ。


『こんにちは。初めまして。』


 と、当たり障りのない文言。すると、


『こんにちは!』


『私は光月みつきていうの。覚えてね。』


『ありがとう。光月話しかけてくれて。』


 会話だ。それはまごうことなき会話だった。天使いや、女神か。話しかけられて少し慌ててホワイトボードを出す姿も、一生懸命丁寧に字を書こうとする姿も、ハートを握りつぶそうと、はにかむように微笑む姿もすべてが神々しい。

 ここにいては心が浄化されてしまうと思い急いで会話を中断し始業のチャイムが鳴るまでトイレで心を落ち着かせていた。


 そして決心した。私が四季ちゃんの"心にできた穴を埋めよう"と。




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どうも「ガウテン」です。


疲れました。




では、また。

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