第21話 対策(4)
これからボスと戦うわけだが、今日はもう精神的にとても疲れているので、できるだけ早くかつ楽に倒したいと思う。そこで結界を張ってから、ヒールを多重発動し続ける事で無理やり倒し切ることに決めた。
ボスの部屋に入る。すると騎士のようなアンデッドが1体いるだけであった。早速私は、結界を展開する。その後、ボスに多重ヒールをかけるイメージを持つ、どのくらいたったのだろうか?私の体感としては、20秒前後だと思うのだがもうMPが切れてしまった。一旦ボスの様子を見てみるとすでに消え去っていた。宝箱だけが残っている。強化されたヒールは強いのだが、とても扱いづらいと思う。私のMPが20秒で無くなるなどということは考えでもいなかったのだ。この騎士型のボスは、甲冑の色が他とは異なり赤色をしていた事もありどんな強さか気になりはしたが、疲れを残したまま戦闘するのも怖かった事、ヒールを試しに使いたかったことが理由となり、即消滅という結果になってしまったようだ。
とりあえず、宝箱を開けることにする。すると宝箱の中には、短剣が入っていた。短剣を手に持つと、この短剣は光属性であることがわかり、光属性の強化効果を持っていることがわかった。見た目もシンプルな感じなので、今後はこれを普段使い用にしようと決めた。見た目では、光属性の短剣であることはまずわからないと思う。29層のボスを倒すと、帰還用の転移魔法陣と、次の階層へと続く道が現れた。次の階も気になるのだが今は一度帰ることにした。流石に疲れている中、次の階層に降りる勇気はなかったのだ。
寮に帰ってくると、勇者くんたち3人と出会った。彼らは今まで訓練棟にいたらしく、蕪木先生に戦い方などを習っていたようだ。せっかく会ったので一緒に夕飯を食べることになった。星宮さんだけ居なかったので、姫野さんが電話して読んでくれるようだった。先に食堂で場所を取って星宮さんを待っていると、ちょうど彼女がきたようだった。それから夕飯を取ってきてみんなで楽しく食べたのであった。因みに夜ご飯はカレーライスだったのだが、辛くて食べるのが大変だった。僕は甘口が好きなのだ。決して子供舌というわけではない。ちょっと甘いものが好きで、辛いものが苦手なだけで、そんなわけではないのだ。
部屋に帰り、いつも通りに女神様にお祈りしてからお風呂に入り、寝ることにする。それにしても今日は色々なことがありすぎて疲れた。新しい魔法なども覚えたが扱うのがとても難しく、しばらく練習する必要があるだろうと思った。特に唱えなくて良くなったので、学園でのダンジョン探索でも他の回復職が回復した対象に同タイミングで、ヒールを合わせることで救うこともできると思った。私は聖女なので、助けられる人は助けたいのだ?。
翌朝、蘇生魔法について少し考えてみることにした。蘇生魔法は、私自身に使えるのかどうかと、やはりというべきか使えないようだった。また、この魔法を一度使うために、MP5000を消費するようだった。また、アンデッドに使っても効果は何も現れないようで、ダメージを与えたりすることはできないようだった。強力な魔法であると同時に、この魔法を持っていることがバレたら蘇生するだけの機械の如く働かせる未来が予想できたのでまた、問題が増えてしまったと頭を悩ますのであった。
それから、今日も引き続きダンジョン攻略に向かうことにする。まず朝のHRに出席するのだが、教室中がどこかざわついている。何故だろうか?と思っていたら星宮さんが話しかけてくる。「綾地さん、昨日の見た?すごかったよね!」と話しかけてきたのだが、「ごめんね、昨日のってなんのこと?」と聞くとどうやら日本でもダンジョンの20層がクリアされたようだった。そしてボス戦の様子が動画投稿サイトで投稿され、テレビなんかでも放送されているようだった。あいにく私は昨日疲れ切って寝ていたので全く知らなかった。それからも星宮さんと話していたのだが分かった事がいくつかあった。余談だが、アメリカのPTの中には、25層に到達したものもおり、ボスとの戦闘に向けて準備をしているという噂もあるようで、そちらにも注目が集まっているようだった。
ダンジョンが現れてから、攻略するその様子を実況する動画が人気になっており、今では一大コンテンツとなっているらしい事を星宮さんから聞いた。そして、今回20階層のボスは実況中に倒された事。最後にボスを倒したPTは、壁役1人勇者2人、魔法使い1人、回復職2人という構成であるようだった。
確かに、ダンジョンといえばゲームみたいなもので、それを剣と魔法で攻略する様を動画として配信すれば人気が出るのだろうとは思う。そういえば、ダンジョンにカメラを持ってきている人や、ドローンカメラを用意してる人、今思えば実況者らしき人がいたことを思い出した。だが同時に、私とは無関係だろうとも思った。ただ、ほかの人の動画に映り込んだりしないようにだけ気をつけなければと、頭の片隅に入れておくのであった。
加えて、20層の攻略PTの構成を聞いてなるほどなと思った。ダンジョンはゲームのようなものでは、あるがリアルなので本当に死んでしまうこともある。だからこそ、回復役が二人いたなだろうと思った。それからやはり勇者という職業は優秀であるのだろうなと思った。勇者くんや、星宮さんをみていると確かに、レベルはそこまで上がってないはずなのにモンスターとかなり戦えていることからもそれが事実であると思わされた。
星宮さんに「いろいろ教えてくれてありがとう」と言った。それから、HRまではゆっくりして過ごした。少し経ってから西城先生がやってきて点呼を取り出した。HRが終わり、休憩に入ったところで、勇者以外の職業はなんだったのか?とか上級職に転職しているのではないか?とか色々な憶測が混じった会話がされているようだったが、私は時間が経てばわかる事だしいいかと思い、ダンジョン攻略の続きにいくのであった。
寮に帰り準備をしてから、アンデッドダンジョンにいつものように行く。ダンジョンの前に着くと、どうやらいつもより人が多いようだ。特に、動画撮影をしているであろう人が多いようだ。フードを被ってから私は、ダンジョンの中に入ることにした。ダンジョンの中に入ると同時に隠密を発動させる。ダンジョンの中には聖職者の装いをしているもの、シスター服を着ているもの様々であったが、多くの人がダンジョンで動画を取っているようだった。昨日の今日で凄いなと感心してしまった。また、学園の先輩たちもこのダンジョンに挑戦しているようだった。それは制服を着ている人たちがいたからわかったことではあるが…。
しばらく彼らの様子を見るのに集中してしまったようで、時間を無駄にしてしまったと思いながらも、転移陣から29層に飛ぶ事にする。さて、30層に降りることにする。するとそこには、今まで見てきたどの扉よりも大きな扉があった。私は、この扉の先にこのダンジョン最後のボスがいるのだろうと直感する。今までに感じたことがないほどの威圧感をこの先からは感じる。正直言って勝てる自信などはない。だが、星宮さんに容姿がバレた件もあり、先に進まなくてはならないと、どこから焦る気持ちもあるのだ。
どうするか悩んだがとりあえず、扉を開けて中を確認だけすることにした。このボスの部屋は触れると自動で開くようだった。ゆっくりと扉が開かれる。扉がゆっくり開かれると同時に中にボスがすでにいる事が見えた。すると、そこにはドラゴンがいた。このダンジョンに出てくるということは、アンデッドであろうことは推測できたが、初めて見るドラゴンに私は、昂りが抑えきれなかった。ファンタジーといえば、やっぱりドラゴンだと思う。そんな理想のモンスターが目の前にいるのだ興奮しないわけがない。
私はドラゴンといえば、ドラゴンブレスのイメージがあり実物が見てみたかったので、ボス部屋の中に入ることにした。ボス部屋の中に入っても扉は閉まったりしないようで閉じ込められることはないようだ。最悪の場合、逃げ出すという選択肢ができたことに安堵しつつ、これでドラゴンをじっくり観察できるとわくわくしていた。
そんな私に目もくれず、ドラゴンはずっと眠っている。どういうことだろう?強者の余裕というやつなのだろうか?とりあえず、攻撃して起こしてみることにした。魔法を使っても良かったのだが、ドラゴンを聖剣で斬って見たかったので近付いて聖剣を振るう。なんとなく勇者になった気分を味わえて嬉しかった。
この時の私は慎重にということを忘れてきっていたと思う。聖剣による攻撃は確かにドラゴンに攻撃を与えることができたようで、攻撃を受けたのち尻尾が、私目掛けてた飛んできたので、後ろに跳躍することで回避する。そのまま、ドラゴンはこちらを向いて口を開き何か溜めているようだった。私はドラゴンブレスが観れると興味深々だったのだが、流石にそのまま受けるのは危ないと思ったので、転移でドラゴンの斜め後ろに飛び、結界を張る。
ドラゴンブレスは、とてつもない威力を備えているようで、ダンジョンの中には床が溶け出している部分も見える。さらに、ある程度範囲にも攻撃ができるようで、ブレスを撃ちながら、敵の方に口を向けてブレスを当てようとする。追尾性まであるようだった。ブレス自体は真っ直ぐしか飛ばないようだが、これあったたら蒸発しそうだと直感が言っている。このブレスを見て、今までどこか浮かれ気分でいたのが、急激に冷めて行った。
ドラゴンブレスは、転移で一応躱わすことができることがわかったのは良かったが、これほどの威力とは想像にもしていなかったので、対応の仕方も分からず途方に暮れてしまった。さらに、今はまだ戦闘が始まったばかりなので良いが、これで時間が経ってくると集中力が切れたりして被弾することもありうるだろうと思った。とりあえず、相手にどれだけダメージを与えられるのかを確認した上で一度出なおすことにした。私は、「ヒール」を多重発動するが、ドラゴンには全然効いていないようだった。「セイクリッドソード」も試してはみたがダメージは一応入った入るようだが、期待していたほどは与えられていないようで、これでは倒す前にMPが尽きてしまうと感じている。
このままでは、負けが確定的なので一度逃げる事にした。逃げる際には転移魔法を複数回連続発動させたいができたので、酔ってしまったのか少し気持ち悪い。転移魔法には、大分慣れてきたつもりだったのだが、未だ何回も連続で発動すると酔ってしまうようだった。これは今後の課題だと思った。
29層に戻ってくる。どうしようかと悩んでいたが、このままでは倒すことはまず難しいという結果を出した。それは、ブレスしか見ていないがあれだけの威力がある事、そして何より魔法によってあまりダメージが与えられていない事である。聖剣による攻撃ならダメージを与えられたが同時に尻尾での反撃などで被弾する可能性が高く、そうなると一気にピンチになりかねないのが問題であった。
一応解決案も考えていて、一つ目はレベルを上げる事。これはリッチがたくさん湧くフロアでレベルを上げようというものである。二つ目は、28層の宝箱フロアで宝箱を開けていこうというものである。当然ながらトラップが仕組まれているものもあるだろうが、そうではなく役に立つアイテムもあると思うのでありだと考えている。どちらが良いかなどはわからないが、色々と考える必要がありそうだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます