第14話 レベル上げ

さて20層のボス部屋の前で待機していた私だが、携帯を確認すると現在時刻は16:30だった。MPも全快した事だし挑む事に決めたが、なぜかこのフロアのボス部屋からは禍々しい感じがする。こんな感覚は、初めてなので普段より慎重に戦おうと思った。そしてこのダンジョンの15層では、墓地ダンジョンで20層に出てきたリッチと同じぐらいの同じモンスターが出てきたことから、このダンジョンは墓地ダンジョンと比べて難易度は、高いのかもしれないと思うのであった。


かけれるだけのバフをかけた上で、私はボス部屋に入る。ちょうどボス部屋に入ったタイミングで先制攻撃をもらう。どうやら、ボスは既にボス部屋の中にいたようだ。体が重たい。立っていられない。何が起きたのだろうか?突然の現象に、僕は困惑する。咄嗟に、「サンクチュアリ」と唱える。その瞬間に、私を中心にして結界が展開される。だが、状況は変わらない。私は立つことができないままだった。せめて敵の姿だけでも確認しようと思いみてみると、そこにはフードを被り、十字架を首から下げた魔法使い?が立っていた。状況がよくわからない。考える時間が欲しいと思う。魔法使いは、闇系統の魔法で結界に攻撃を使いつつ、重力魔法?とも思えるような不思議な魔法を使用している。


しばらく状況把握に努めていると分かったことがある。今私の行動を阻害している魔法は目の前の魔法使い?か聖職者?が、かけているようだ。そして、ボスはどうやら闇魔法で結界を攻撃しているようだが、その魔法は、私に近づくにつれて威力減衰しており、結界にあたる際には、威力をかなり失っているようだった。しばらく結界が、維持できるだろうことを認識した私は、どうするか今からどうするか考えてみることにした。ボスが今使ってる魔法を、仮に重力魔法だとして、対策を考えてみることにする。一応動けないわけではないので、反撃をすることもできるだろうが、激しい動きはできないだろう。これは、このままでは危ないと思い「ミラージュ」を解きMPの消費をなくすことにした。


そうこうしているとボスは、自分の闇魔法が効かないことに気付いたのか、重力魔法に集中することに決めたようだ。気がつくと、結界内にいるにも関わらず、重力により私は地面に押し潰さされていた。


もはや、出し惜しみしている状況ではないと思い、藁人形を二つアイテムボックスから取りだす。身代わりになってくれるこのアイテムは、今がこそが使いどきだろう。さて、私が知る限り魔法には弱点があると思っている。それは、対象を知覚しないといけないところだと思う。例えば、ヒール系の魔法は対象を設定する事で初めて発動できる。対象が見えないのに、ヒールをかけることはできない。という事だ。これは他の攻撃手段にも言える事だが、攻撃対象が見えず、どこにいるかわからなければ誰も攻撃を当てることはできないだろう。どこにいるかわかっているからこそ攻撃は当てることが出来るだ。


どうしようもないので、ボスにどうにかして私がどこにいるかわからなくなるように、誘導をかけ、その後一気に最大火力で叩くという方法を考える。そうこう考えていると身代わりの人形の一つが押し潰されて消えた。時間がない…。これしか方法を今は思いつかなかった。今までの戦闘を思い出すと、エクスヒールを唱えると、ボスは極光に飲み込まれしばらくの間見えなくなる。その間ボスは私の姿が見えなくなっているのではないかと、仮定すると、そこに可能性があるのではないかと思われた。


私は、なんとかして「エクスヒール」を唱える。ボスが極光に包まれると同時に、体が軽くなる。どうやらエクスヒールを受けている間は、重力魔法を使えないようだ。移動しながら、エクスヒールを連続で、唱えていると、残りMPが3割を切ったのを確認する。このまま押し切れるだろうか?自信がないのでボスの様子を伺ってみることにした。極光が収まると、そこには、フードが取れたどこか親近感を覚える聖職者が立っていた。正直アンデッドには見えないが、聖魔法が効いていることには違いない。しかし、どうやら耐性を持っているようで、かなりダメージを負ってはいるようだが、致命傷には至っておらず、討伐にはまだしばらく時間が、かかりそうだと思った。


時間をかければ、私に不利になるためできるだけ早くこの戦闘を終わらせなければならないのだが、このままではMP残量的に無理そうだと思った。こうなれば、聖属性魔法を強化する短剣にエンチャントを付与した上で、物理的に斬るしかないと思った。「エクスヒール」何度か唱えながら、私はボスに近づきエンチャントを付与した短剣で、ボスの首を狙う。イメージはできている。あとはその想像通りに剣を振るだけだった。これで決められなければ、私は死ぬかもしれないのに、とても落ち着いている。余計な力も入っていない。そしてその時、初めて私は理想の剣が振れた。ボスの体が、ゆっくりと光の粒子となって消えていく。短剣は耐えきれなかったか、その役割を終えてしまったのか、ボスを斬ったのちに粉々に砕け散ってしまった。


そう、ようやくボスを倒したのだ。体から力が抜ける。正直いえばこのまま眠りたい。だが寮に帰らなければならないことを思い出して、携帯で今の時間を確認する。そんなに長く戦っていたつもりはなかったのだが、どうやら19時を回ったところのようだ。門限まで後1時間しかない。なんとか宝箱の前に立ち、宝箱を開くとその中には、一着の可愛らしいシスター用の服が入っていた。とりあえず、戦利品を回収して、魔法陣に乗り、帰る事にする。体が、重たく歩くのもしんどいのだが、ミラージュを再度掛け直し、這々の体でなんとか寮まで帰ってくる。学生証を端末にかざし、僕は自室に帰りベットに横になるとすぐに寝てしまった。


不思議な夢を見た。そこには、私と同じくらいの背丈の少女がおり、鈴を転がすような声で、「よくやったわ!私の聖女ちゃん。私はあなたを信じていたわ。今回聖女ちゃんが倒したのは、過去闇堕ちした聖女なの。彼女は私の聖女じゃないんだけど、お礼を言うわ。ありがとう私の聖女ちゃん。さて、頑張った聖女ちゃんには、ご褒美をあげちゃうわ。後で確認してね。また会えるのを楽しみにしてるわよ。私の可愛い聖女ちゃん」と言っていたのを覚えている。私は、女神様にあったのだろうか?あまり思い出せなかった。なので昨日ボスも倒した事だし、ステータスを確認してみる。


レベル 18→35

職業 救国の聖女


HP 9500

MP 15500

力 620

知力 811

身の守り 330

魔力 1350


Skill

剣術Lv5 隠密Lv10(Max) 投擲Lv6 光魔法Lv7→8  聖女の祈り 天啓 転移魔法 

New

聖魔法Lv10→神聖魔法Lv1



どうやら、昨日夢でもらったご褒美とは、神聖魔法のようだ。この魔法は、聖魔法の上位互換の魔法のようだ。だが、聖魔法を失ったようで、「ハイヒール」や「エクスヒール」などの強力な回復魔法を失ってしまったようだ。神聖魔法lv1では、「ヒール」だけ使えるようだ。光魔法でも同名の回復魔法が、存在するがどうやら別魔法の扱いで、私が使いたいと思った方を使うことができるらしい。神聖魔法のヒールは、万能なイメージだった。生きてさえいてくれれば、どんな怪我や状態異常も瞬間的に治すことができると思う。MPの消費は、一回あたり100となっているようだ。蘇生魔法が使えなくなった事は、不便だと思うし、少し困ったが、どうせ自身を対象にすることはできなかったので、まあいいかと思うことができた。


アンデッドダンジョンばかりに挑んでいたので、特に気にしていなかったのだが、いくつかの新しい光魔法を覚えていた。一つ目は、MP10で発動する「フラッシュ」という目眩しの呪文だ。二つ目に「キュア」これは、MP15を消費して、対象の誰か一人の状態異常を回復させる魔法のようだった。それから最後に、MP30を使って発動する「ライトアロー」という光の矢を飛ばす魔法を覚えた。このうち、フラッシュはとても便利な魔法であると思った。今後の戦闘でも使っていこうと思った。


さて、エンチャントが使えなくなった事で。アンデッドダンジョン以外に行くには現状火力不足だと思う。それは主に武器のせいではあると思うが、持っている武器の中に私が使えそうなものがないから仕方ないのかもしれない。


学校に行かないといけなかったので、朝食を済ませてから準備をしようと思っていたのが、体を動かそうとすると痛みが走る。どうやら筋肉痛になっているようだった。回復魔法でどうにかしてもよかったが、それをしたら筋肉がつかないかもしれないと思い直し、やめることにした。それから学園を休む旨を連絡した。寮では、風邪を引いたりして部屋から出られない時、職員が部屋まで食事を持ってきてくれるらしく、これから部屋へと朝食を持っていきます。という連絡があった。


それから筋肉痛が治るまで、二日かかった。学園を休んだ翌日は、土曜日で学校が休みだったため、特段なんの問題もなく過ごすことができた。日曜日になると完全に治ったようで、動けるようになった。なので、神聖魔法の試し撃ちも兼ねてアンデッドダンジョンの続きに向かうことにした。


飲み物とおやつを買ってダンジョンへと向かう。日曜日だからだろうか?普段より人が多いようで、ダンジョンの前に入るための列が一列できていた。余談だが、ダンジョンに入るだけであれば、2列で入ることができるが、ダンジョンから出たい人が困るため、入る時の列は一列と指定されているのである。これを破ると罰金が言い渡されることがあるようだ。ダンジョンでは、怪我人が出ることが当然ながらあるわけだが、全てをダンジョン内で治すことはできないので、怪我人を運ぶルートを用意しておく必要があるそうで、そのためにも入り口が混雑していたら、非常に困るので、このようなルールが制定されているようだ。


列に並んで順番を待っていると、 私の順番が回ってきた。ダンジョンの中に入る。そこには多くの人がPTを組んでいるようだった。バレないようにフードを被り、人混みの中で隠密を発動したのだが、魔法陣のある場所に行くのも一苦労だ。このダンジョンに来る人たちは、回復職が多くいるPTを組んでいるグループのようだった。それからカメラを持ってダンジョンの中に入っているひとや、ドローンを用意しているもの、もいるようだ。何をしているだろうか?気にはなったが、とりあえず攻略を進めることにした。


20層へと飛ぶ。ここまで到達している人はいないはずなので、ここで準備することにした。フードを脱いで、昨日ボスを倒した時に出てきた、可愛らしいシスター服を着る。宝箱から出てきたときは、疲れていて装備の効果について考える時間がなかったのだが、この装備はかなり良い装備のようだ。闇属性に対する高い耐性と、魔法に対する耐性もついているようだ。布で作られているようだが、意外に頑丈でそれなりの攻撃であれば、弾くこともできるだろうということがわかる。それからこのシスター服を着るとどこか落ち着くので、精神的にも効果があるようだった。


21層に、進むことにする。降りてみるとどこか不思議な感覚がある。今までの階層とは違い、多くの墓地のようなものがあるフロアだった。しばらく見ていると違和感の正体に気がつく。それは、このフロアには敵がいないかったからだ。フロア内に敵性モンスターがいない事など考えられるのだろうか?わからないが、私の直感は集中を解いてはいけないと警告をしていた。とりあえず、先に進んでみることにする、するとお墓の中からモンスターの手が出てくる。私は、「ぴぃ。もうやだぁ、おうち帰る」と言いながら逃げ出した。20層に戻ることにした。


21層があんなフロアだとは知らなかったとはいえ、知っていてもかなり怖いことには違いない。おうちに帰りたい。でもレベル上げもしないといけないことはわかっている。僕は、レベル上げるためと決意を固めて先に進むことにした。


21層に戻ってくる。すると先ほどと同じく、そこにはモンスターはいなかった。息を整えてから先に進むことにする。先ほどと同じ場所で、墓地から腕が出てくる。モンスターが出てこようとしているみたいだ。私の体は、ビクッとしたが、先ほどとは違い出てくることはわかっていたので、神聖魔法「ヒール」を唱えると敵は霧散した。ヒール一回で倒せることがわかった私は次の階をめざして、先に進むことにした。

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