第6話 ダンジョン攻略を目指して(1)

ダンジョン高校に進学したい私だが、いまだ両親を説得する言葉を思いついてはいない。しばらく悩んでも答えは出てこなかったので、もう直接思いを伝えることが最善なのでは?と思い、両親がそろっているときに話をすることに決めた。


さて、ダンジョンからの氾濫が起きてからというもの世界的に誰でもダンジョンに入ることが許されるようになり、日本でも15歳以上であればダンジョンに入ることが認められるようになった。それから探索者組合という組織が正式に発足し、専用アプリでダンジョンがどこにあるか見ることができるようになったり、ダンジョン関連のものを買い取ってもらえるようになった。各ダンジョンの前には警備員が常時駐在するようになり、探索者として登録していないものはダンジョンに入れないようになっていた。


それから、しばらく掲示板を見ていなかったなと思い、掲示板での情報を集めることにした。

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探索者スレpart203


1 ここではダンジョン、職業にかかわることのみの会話にしてください。


212 最近どうなの?なんか新しい職業発見された?


213 見つかったで。聖女っていう職らしい。職の発現条件はわかってない。


215 聖女?それってどんな職業なん?


216 なんか回復に特化した職業らしくて聖魔法?が使えるらしいよ。なんか欠損も直せるらしい


217 まじか。聖女スゲーな。俺僧侶やってるけどそれなりのケガまでは治せると思ってたんだが欠損は治せない。


218 >217そうなんか。聖女ってやっぱすげーんだな。


220 そういえば勇者ってどうなの?


222 かなり強い。何でもできるオールラウンダーみたいな感じ。勇者がいたら戦闘がかなり楽になる。攻撃もかなり強い。


230 まじか。やっぱつよいよな。てか、今ダンジョン攻略したことがある人ってどれぐらいいるの?


234 探索者全体の5割らしいよ。ボス部屋までは、意外と簡単に行けるんだけどボス戦で少なくない死傷者がでたらしいから挑むのをためらってる人も多いらしい。


235 確かにボス倒さなくてもゴブリンとか倒しておけばそれなりに稼げるもんな。宝箱見つけたらそれもかなりの収入になるし。ところで今一番熱いのってマジックバック?


236 >235そう。指輪型、袋型のアイテムボックスもあるんだがボスからしか出ないから戸数がそこまで出回ってないが、通常の宝箱から出るマジックバックはかなりねらい目。誰でも狙えるのがよき。


237(235) >236ありがとう。


238 ちなみにアイテムボックスとマジックバックの違いって何?


240 >238 アイテムボックスには、まず2つのタイプがあってそれが指輪型と袋型、袋型はかなりの容量が入って腰に下げておくことができるので量を持ち運びたいならこっち、指輪型は指輪だから指につけておくだけで使えて容量はそこまで大きくはないが利便性は指輪一択みたいな感じやな。マジックバックはそもそもがでかいのがある。ちょっとしたリュックくらいの大きさなんやが見た目の10倍ぐらい入るが、積載量が小さい指輪型でもこれ以上は入るから下位互換であることは間違いない。でもマジックバックはまだ手が出しやすい値段やし、いろいろなところから需要あるらしいで


241(238)>240 説明ありがとう。まじかめっちゃ参考になったわ。俺も探しに行ってくる。


500 やべーテレビ見ろ。ダンジョン氾濫起こしたらしいぞ


501 まじか


502 マジか


505 これどうなるんやろうな


803 ダンジョン高校(仮)設立決定についてw これどうなの?


804 よいと思うよ。これからダンジョン産の物資は需要上がり続けるだろうし、魔法っていう全く新しい未知の学問ができたわけだから専門学校があってもいいと思う。


805 なるほど。確かにあったほうがいいかもな。でも探索科ってあるけど安全性はどうなん?


806 学校の説明を簡単に読んでると学生同士で5人PTを組んでそこに引率2人の教師がつくらしい。危なくなったら教師が残って戦って生徒を逃がすようになってるらしいで。それでも危険であることには違いないやろうけどな。


807 教員は基本自衛隊員で構成されててかつ、全員ダンジョン攻略者で構成されてるらしいで、しかもPTに回復役が1人はいるようになってるらしく、教員は応急手当なんかにも造詣が深いらしいで。


808 >806.807詳しいなお前らw


809 >808 学校のホームページに書いてあるで。


810 なるほど


以下続く


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どうやら、聖女はレアジョブであることには間違いないようだが私専用の職業っていうわけではないらしい。まあ当然かと思いつつもどこか残念な気持ちになった私もいた。探索者でも5割くらいの人しかダンジョン攻略ができていなかったことは少し意外で、もっと多くの人が攻略していると思っていたがそんなことはないようだ。そしてダンジョン高校についての情報についても軽く知れたのでラッキーだと思っている。


さて、情報も集められたことだし墓地ダンジョンに向かうことにする。ダンジョンの前に警備員が駐在してるんじゃないかって?それは隠密で通れることはわかっているし、あそこのダンジョンは不人気で氾濫しないように組合から依頼を受けた冒険者しか寄り付いていないから戦闘中にばったり会ってとかいうのも確立として低いので問題ないと思っている。


さていつも通りにコンビニの前に自転車を止めて、ダンジョンに向かう。ここしばらくで、かなりダンジョン攻略も進んだと思う。階層にして13階層まで下りることができたからだ。ちなみに10階層にもボスは出てきたがリッチになりそこなったスケルトン?みたいなボスが出てきたが、聖魔法の前には脅威足りなかった。距離をとって相手が何かする前に聖魔法を連射したらすぐに倒せてしまったのだ。ちなみに宝箱からは禍々しい杖が出てきており、どうやら闇魔法を強化する効果があるようだった。効果としてはかなり強力なものだとは思うが闇属性魔法は使えないからもったいないがこれは怖いので箪笥の中にしまってある。ちなみに闇魔法が使えたとしてもちょっと怖いから扱いたくはないというのは秘密である。


それから分かったこともある、それは私は魔石を時間の無駄だからという理由で回収していなかったのだが、次に来るときいつもなくなっているのでどこに行っているのか気になったのでモンスターを倒して魔石を放置した状態で隠れてみていた。するとまた別のモンスターが現れてその魔石を食べてしまったのだ。たくさん食べるとどうなるのか気になった私は、レイスに多くの魔石を食べさせてみたのだがそうしたらレイスが進化してしまった。突然レイスが光りだしたので、直感がこのままでは危ないというのでレイスに聖魔法をかけるもダメージを与えることには成功していたが倒すには至っていなかった。進化したレイスは状態異常をまき散らすかなり厄介なモンスターになっていたが、あらかじめダンジョンに入ってからすぐに聖女の祈りを自身にかけていたことで事なきを得た。しばらく、聖魔法を進化個体にかけ続けいてたら倒すこともできた。だが、かなり強力なモンスターが生まれることもあってそれ以降は試したりしていない。ちなみに進化個体を倒した時には、通常のレイスがドロップする魔石の数倍の大きさの魔石が残った。それなりの数のレイスを倒し続けたが魔力を見るであろう力については何もわからなかったの現状であった。


今日も早速アンデッドダンジョンに入っていく。アンデッドが出現するだけあって薄気味悪い場所ではあるが、においがひどかったりとかはなかった。どこか湿ったにおいがするだけであった。ちなみに毎回1層から攻略しているのかと言われたらそういうわけではない。ダンジョンには隠し転移陣があり、各フロアのボスを倒したものはそれが使えるようになっているのだ。私は今10層のボスまで倒しているので10層まで転移することができる。魔法陣に乗り10層に飛ぶ、いまだなれない一瞬の浮遊感を感じ視界が光で覆いつくされる光がやむと同時に10層にワープしてきた。


10層以降では、動物型のスケルトンと動物のアンデッドが出てくるようになってきた。代表的なものは蛇、ウサギ、犬、そしてオオカミのアンデッドであった。これらの動物は聴覚が発達していたり、嗅覚が鋭いだろうことはわかるがアンデッドになった際にそれらの能力は失ったらしい。ちなみにアンデッドの大半は音が聞こえないものが多く視覚に依存しきっている者が多い。なので、聖魔法で戦える私にとってはこのダンジョンは絶好の狩場と化していた。今の私の聖魔法の射程は、大体100メートルくらいはあることが分かっているので、かなり安全をもって戦うことができている。何も初めから子の射程であったわけではない。それこそ初めは、射程が20メートル届くか届かないかという射程しかなかった。鍛錬を積めば魔法の射程が伸びるということも分かったのでステータス外のスキルも磨いていくようにしている。


攻略済みの11層から12層を隠密を使いつつかける。階段のありかが分かっているので10分もかからずに、目的の13層に到着する。13層のモンスターもすでに分かっており、それはオオカミのアンデッドの群れであった。アンデッドなのに連携取れるの?と思うかもしれないが、なぜか取れているので意思疎通はできるのだろう。一体どのようにしてコミュニケーションをとっているかはとても興味深いことだが、考えても答えは出ないのであきらめることにしている。ちなみにオオカミの群れと対するときは、聖女の祈りで範囲攻撃を行ったのちにハイヒールで残りを倒すという方法をとっている。聖女の魔法やスキルはアンデッドに対して非常に効果的であるようでソロではあるのだが、安全マージンはPTを組んでいる者よりも取れていると思えるぐらいには取れているし、火力も問題ないためこのダンジョンは私にとって大当たりのダンジョンだろう。唯一の問題としては、私がアンデッドが嫌いなことだ。アンデッドが嫌いなことだ。重要なことだったので2度いうことにした。ソロなのに虚空に向かってしゃべりかけるので、はたから見ると可哀そうな子と思われるかもしれないと思う、恥ずかしくなってしまった。


さて、水を軽く飲みのどを潤した後に探索を始めることにした。戦闘は無駄だと思っているので、できるだけ敵と遭遇しないようなルートを選びつつ敵に気づかれないよう慎重に進んでいく。すると、今まで探索していたのである程度次の階層に進むための階段の場所の目星がついていたのか、次に進む階段を見つけた。


14層に降りてみるとそこには、他のアンデッドオオカミの2倍を超えるボスオオカミが指示を出して、部下のオオカミが巡回しているようだった。なるほどこれはめんどくさいと思ったが、少し考えてみると意外と悪くないということに気づけた。なぜなら指揮がとれる程度の知恵があるということは次の階に進ませないように命令を出していると推測できるので、巡回しているオオカミが多い場所や回数が多い所が次の階層へとつながる階段があるルートだろうと予想し、進んでみることにした。隠密を使い巡回の隙をつきつつ次の階を目指す。隠密の発動中はボスであっても私に気づいていないようだったので簡単に次の階へつながる階段を見つけることができた。


早速15層に上がってみるといつも通りボス部屋のようだった。いつものように水を飲んで今日は杏子グミを食べる。MPを確認すると9割以上残っていたこともありすぐにでも挑めることが分かった。特にダメージを受けたわけでもないが、「ハイヒール」を自身にかけたのち聖女の祈りをかける。当然ながら状態異常攻撃を受けたわけではなかったので、無効に終わった。これは、知らないうちにダメージをもらうこともあるし、聖女の祈りが消えていることがあるかもしれないから、保険でかけるようにしているのだ。最初のダンジョン攻略で慢心よくないということは学んでいたので、かけることができる保険は可能な範囲でかけるようにしている。


準備が終わったのでボスと戦うことにする。ボスの扉開けて中に入るしばらくすると魔法陣がいつも以上に強く光を発していた。

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