知的飲料
「ほんとにドクペなんだ……」
「体にいいらしいぞ。 なんかいっぱい健康に良さそうなものが入ってる。 最初は炭酸の杏仁豆腐みたいだけど慣れるから、 美味いから」
「いらないよ!」
渡り廊下に置いてある自販機で誤魔化しのために森永を連れてドクペを奢った……?いや、買収……? したがどうやらお気に召さなかったようだ。
仕方ないからパックのイチゴミルクを渡したら納得したように飲んでいた。
俺はドクペを平気そうに飲んでいたら森永からは変なものを見る目で見られた。
「それで、 なんで部長ばっかみてたの?」
「観察というか……、 部長っていつも寝てるかぼーっとしてるだろ? なのに文集は必ず仕上げてくるじゃんか。 今だって俺たちが作業してる横でうたた寝してたろ」
「まぁ、 確かに部長って少しミステリアスなところあるよね。 話しかけたらおっとりしてるしなんかちっこいのに。 一つ上の余裕? かな、 書いてるものもなんかつかみにくいけどしっかりしてるもんね」
ちっこいとかなかなかひどい言われようだが確かにそうなのだ。
文芸部部長こと、『櫻井 月乃』はちっこくておっとりしていてそのくせ書く小説も詩もつかみにくいもので難解で、でも読んだ後はすっきりする不思議な作品だ。
実際、俺たち文芸組も先代の文芸部員の作品を読んだが書くのを決めたのは部長の作品を読んだからだった。
「それでたっくんは気になったんだ。 でも、 あんまりジロジロ見ない方がいいと思うな」
「なんで? ていうかジロジロまで見てないよ」
「女の勘かな」
「そういわれると納得してしまう」
「じゃあ、 ごちそうさま」
そう言って森永は部室の方へ歩いて行った。
暗いうちに @takaryan060530
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