第九章  死の再会 ~積もる話でも~

何か朝が来るのはあっという間だった。

眠ってしまったらあの瞬間は夢のようだった。

だが、何よりその泡沫の様な夢よりはっきりしているアスカへの”誓い”。

先生に朝御飯を戴いて登校する、そんな以前と変わらない生活が待っているはずだ。


瞬「おはようございます!」


先生「おぉ、おはよう…。」


瞬の変わりようは驚くものがあった、でも基本的には変わっていない。

ただ瞬が包み隠さず自分を曝け出し、緩んでいた気を引き締めたからに違いなかった。

先生に朝御飯をご馳走になって、さぁ学校に行こうかと思ったら、家のチャイムが鳴った。


先生「ん? はーい!」


ガチャリ、と開けた扉の先には笑顔のアスカがいた。

やっぱり敬礼するような手振りをして会釈をし、待っているのだ。


アスカ「せーんせっ、おはようございますっ!」


先生「おや、アスカ君でしたか。 おはよう。」


アスカ「あっ…。」


瞬の姿をみるとアスカは少し頬を赤らめた。


瞬「おはよっ! アスカ!」


アスカ「あっ、う、うん。 おはよ。」


とびっきりの笑顔でアスカに瞬は挨拶をした。


瞬「アスカと先生はよく一緒に学校に行くんですか?」


先生「そうですよ。

  今まで瞬君は朝真っ先に学校に行ってましたから知らないでしょうが。

  アスカ君と私の家はそんなに離れてはいないんですよ。 …直線距離では。」


瞬「飛んでくるのか、いいなぁ。 便利そうで。」


アスカ「空飛ぶのは意外に魔力と体力使うのよ?」


瞬「ふむ、ならアスカの最大魔力はそれを補うほどってわけだ。」


アスカ「そんな大したもんじゃないってばぁ。」


登校道中、ちょっとぎこちなかったアスカもすぐ打ち解けて瞬と話に参加する。


そんなこんなで30分も歩いたら瞬達は学校に着いた。


アスカ「瞬のクラスはこっちだよ。 ささ、こっちこっち。」


瞬「ちょちょ、待ってよ。 先生は…、」


先生「あれ、アスカ君から聞いてませんでしたか? 

  私はアスカ君のクラスも受け持っているんですよ、ですから同じ方向ですよ。」


瞬「そうだったんですか。」


先生「…いきなり自己紹介ですから覚悟しておいてくださいね。」


心情を読んでか読まずか、先生はにんまりする。


瞬「うげっ! いきなりっていつですか!?」


先生「教室に入ったらすぐですよ。」


瞬「あぇ!? マジッすか!?」


先生「はい、マジっす。」


瞬「…如月 瞬、あえなく昇天。 ちーん。」


キーンコーンカーンコーン…


瞬「おうっ!? イッツショゥターイム!? 心の準備がぁぁぁっ!!」


先生「はっはっは! 君の反応を見てると飽きませんね。」 


瞬「しくしく、いきなりの試練にくじけそう。

 でも覚悟を決めなければいけないな。

 …よしっ!! 行くぞっ! (これが”誓い”決行第一決戦だ!)」


先生「…。

  (やはり、彼の中で何かが変わり始めている。

  そんな気がしてならない。)」


アスカ「何してんの、しゅーんっ! 早く来なよーっ!」


いつの間にやら教室に行ってしまったアスカが窓から顔を覗かせて大声で瞬を呼ぶ。


瞬「ええいっ、大声で人の名前を呼ぶなって恥ずかしい! 今行くよ!」


先生と瞬の2人が教室前に着き、先生がガラリと扉を開ける。

途端に静かになる教室、地球の学校とは大違いだ。

覚悟はしても高まる緊張感。

瞬は開いた扉の前で立ち尽くしていた。


先生「ん? 瞬君、入って下さい。」


その瞬間、瞬の脳裏に浮かんだ一つの言葉。


?「人は変わってはくれません、瞬さんが変わらないと。」


…僕を天球に導いてくれた光龍の言葉だった。


?「この際駄目で元々と思ってやってみましょう。 天球では”想い”が力になります。  

 まず瞬さんが変わってみるんです。 そうしたら周りだってきっと変わります。

 私にはあなたには人を惹きつけるような、そんな”力”があるような気がするんです。」


それはまるでこの瞬間、彼女が瞬を支え、後押ししてくれているようだった。


瞬「…。

 (この際やってみよう。 僕が変わるには…、”僕自身を壊す”しかないっ!!)」


先生「瞬君…?」


瞬「ヘイッ!?」


教室から小さい笑いがこぼれる。


アスカ「---。 (あちゃぁ~、完全にアガッちゃってるよ…。)」


瞬は緊張のあまり覚束ない足取りで教室に入る。

目視4メートルほどの教壇があまりに遠い。 頭が痛いくらいボーっとしている。

頭が右側に、足全体が左側に押して引っ張られてるみたいだ。 …ここは斜め床なのか?

見た目は真っ平らなのに僕が足を踏みしめた先から床は斜めになる。

頭が真っ白だ、心臓の音が聞こえる、僕は何でここにいるんだ?


ガシッ。


何かに足をとられた。


瞬「ぬをっ!?」


ベシャッ、ガアァァン!


派手にすっころんで教壇に顔面直撃。 

足をとった”何か”は自分の反対の足、最悪。

一瞬しん、としたと思ったら教室は大爆笑の渦。 

アスカはお腹を抱えて涙をこぼしながら大爆笑している、失敬な。

こっちは痛いのに。

先生の方を向けば意外なことに先生までもが似たような始末。

あぁもう心も痛い。

人間万事塞翁が馬とはよく言ったものである。

結果、瞬は緊張を逆手に取ったのだ。

クラスのつかみをバッチリ取った瞬は真っ赤になりながら自己紹介をしていった。


瞬「えーっと、知ってる人も多いと思いますが、

 初っ端から派手にコケて非常に恥ずかしい如月 瞬です。

 特に隠したいわけではないので言っちゃいますが、僕は”地球人”です。」


瞬が地球人、そう聞くとクラスから驚きの声がこぼれる。

一瞬驚いていたアスカも、やっぱりかぁ、と言った顔をしている。


瞬「特にこれと言ったようなものは無い人間ですが、よろしくお願いします。」


?「しつもーん! キング隊を壊滅させた感想は?」

一通り言い終わって安心しかけたら質問が飛んできた。


瞬「んー、実は覚えてないんだなぁ。 まだ覚醒したての力なのか制御できないんです。

 なのに! ヘ、某校長によって、 ヘ、ボゥ校長によって、ヘボ校長、おっととクシャミが。

 某校長によってバトルクルーバー送りになってしまう始末な今日この頃です。」

再びクラス中が笑いの渦にさらわれる。 先生はさすがに苦笑いだった。

それから2、3質問に答えて瞬の”誓い”決行第一決戦と名の付いていた自己紹介は終わった。

ここでは授業らしい授業なんてものは少なかった。

ただ個人個人が自分のしたい特訓を設備のある学校でするのだ。

瞬のクラスアップの意味は使える施設が増えた。 そういうことになる。

人によってはお喋りしてたり、戦闘学を勉強していたり、筋力トレーニングする生徒もいた。

自由性が高い分、戦闘ランクが下がってしまうと取り残されたりするそうなのだが、

ランクが高くなったらいい思いができるので、そういった生徒はまずいないらしい。


?「よーう、瞬。 面白かったぜ、自己紹介、いや派手にコケた”事故紹介”か?」


瞬「言うなよ、いっぱいいっぱいで…、 …って、あれ?」


愛想良く瞬に話しかけてきた男は、どこか見覚えがあった。


瞬「----っ!! とっ、聡哉ぁ!?」


聡哉「おぉ、この親友の九城聡哉くじょうとしやを忘れてなかったな、えらいえらい。」 


九城 聡哉、彼は瞬の唯一無二の同級生の親友だ。

地球に一緒にいた同級生時代で一番女の子にモテていた。

男が見ても悔しくなるくらいいい男だ、”それは”認める。


瞬「えっ、ほんとに聡哉なのか!? ここにいるって事は…。」


聡哉「いやぁ、それがダサい話でだな。

  原付ノーヘル無免許運転してたら警察に見つかったんだ。

  だもんで逃げたらこれがまた派手にコケちゃってな、瞬じゃないけどよ。

  んで、治療の甲斐なくご愁傷様。」


瞬「いつの話だよ? 小学校卒業したら音沙汰無しだったじゃん。」


聡哉「小学校卒業原付ツーリングツアーでの災難だったんだな、これが。」


瞬「卒業してすぐか!?」


聡哉「おう。」


瞬「そのほぼ小学生をも参加させる悪質なツーリングツアーは誰の主催なんだよ、

 まさかとは思うけど、聡哉…。」


聡哉「そのまさか、主催者俺。」


瞬「どうせ聡哉一人で勝手に単独主催、勝手に単独実行したんだろ?」


聡哉「ご名答。 さすが、親友。 俺の事をよく分かっていらっしゃる。」


瞬「あ、あのなぁ…。」


このザマだ、聡哉はちょっと軽すぎるところがあるんだよなぁ…。


聡哉「そう言うなって、こう見えても反省してるんだよ。 

  親はわぁわぁ泣いてたしよ、てめえ自身が引き起こした事とはいえ馬鹿なことやったよ。」


瞬「そっか、最後に会ったのが4年くらい前だから…。 

 相当長くここにいるって事か、このクラスにいるって事は聡哉強いんだ?」


聡哉「強くはねぇな、そこそこさ。 拙い灯火みたいな魔法使ってさ。」


瞬「えーっ!? 聡哉魔法使えるの!?」


聡哉「貰った、ってのに近いかな。

  使えなくはないけどよ、これがまたショボいんだって。」


瞬「どうやって貰ったんさ?」


聡哉「死んで親の顔見てから目の前が真っ暗んなってさ、そしたら誰かが現れてこう

言うんだよ。

  ”お前に力を与えよう、何がいい、言ってみよ。”ってな。」


瞬「その人って綺麗な女の人だったでしょ?」


聡哉「うんにゃ、男だったぜ?」


瞬「! (…どういうことだ? 皆に聞いているんじゃなかったのか?)」


聡哉「それがどうかしたのか?」


瞬「ううん、何でもない。 で、続きを聞かせてよ。」


聡哉「おう、だから俺は何かと便利な火の魔法をくれって言ったんさ、んで使ってみてびっくり。

  …ライターくらいの火がポワワン。」   


瞬「あははっ!! それ絶対日ごろの行いが悪かったんだよ!」


聡哉「だよなぁ絶対、心底後悔させられたよマジで。

  見た瞬間、ポックリ、みたいなさ。

  それからは死に物狂いで特訓したな、4年経った今になってやっと前よりはマシ程度。

  あんまりにも上達しないもんだから悔し涙がこぼれたある日、涙でもらった魔法の炎がジュッ。 

  一発消化完了、みたいな。

  もう涙も出やしねぇ、いや、出せやしねぇ。」


瞬「ハハハハッ! もう悲惨としか言いようが無い。」


聡哉「いや、自己紹介であんなお笑いバリバリ全開の美しい教壇ダイブほどでは。

  しかも自分の足につまずく徹底振りはもう見事としか言いようが無い。」


瞬「言うなーーっ!!」


聡哉「ハッハッハッ!!」


そんな会話をしながら再会を喜び合う二人。

そんな聡哉が真面目な顔をして瞬に語りかけたのは

積もる長い笑い話による笑いが収まって、それから少ししてからの事だった。


聡哉「ところで瞬よ、お前は…、何でこっちに来たんだ?」


瞬「ん…、それは…。」


聡哉「チッ…、田崎のヤロウかっ!?」


少し曇った瞬の表情と口調で一気に悟った聡哉は言いかかる瞬より先に解答を切った。


一気に険しくなる聡哉の表情、彼は軽そうに見えて実は喧嘩っ早い。

でも、心の優しい熱血的な人間なのだ。

瞬は気まずそうに頷く。

小学時代は彼にいつも助けてもらっていた、だから申し訳なくて仕方なかった。


聡哉「…俺が死んでから数年間か?

  お前はずっと耐えてきたんだな。

  悪かったな…、勝手に死んだりしてよ…。」


瞬「ううん、聡哉は悪くないさ。 あとちょっと僕に力があったら…。」


聡哉「それはありえねぇな!

  あのバカヤローは瞬が弱いのを知っててやってやがったんだ。

  死んだ暁に一矢報いてきたってバチなんか当たりゃしねぇだろうが…、

  どうせお前の事だ、やらなかったんだろ?」


瞬「…うん。 と言うよりそんな暇無かった。」


聡哉「あん?」


瞬「トラックにドン、だったせいか、

 自殺のせいかは分からないけど、いきなり目の前真っ暗になってさ。」


聡哉「…それほどアイツに追い詰められたってのかよ。 

  ”生きていればいつかは絶対いいことある”って頑張ってきてたのによ。」


瞬「…ごめん、聡哉。」


聡哉「何でお前が謝るんだよバーカ。 お前の悪い癖だ。 

  ヒトに合わし過ぎてすぐ謝る。 …いや待てよ。

  そんな瞬にした張本人こそあの大馬鹿野郎だな、瞬スマン。」


瞬「いいよ、聡哉もちっとも変わってないね。」


聡哉「おめぇは変わりすぎだ。」


歯を見せて笑う聡哉を見て瞬も思わずにやけてしまう。

僕と聡哉は性格が正反対だ。

多分無意識のうちにお互いがお互いの無い部分を求めて惹かれあったに違いない。

だからこそ今の付き合いがあるんじゃないだろうか。 そう思う。


聡哉「なぁー、瞬。 俺らの初めて会った時の事、まだ覚えてっか?」


瞬「またえらく懐かしい、話を切り出すね。 …忘れるわけ無いよ。」


聡哉「幼稚園だったよなぁ。 あん時の俺ってば粗暴でなぁ。」


瞬「幼稚園児にしてはワルだったよね。」


聡哉「女の子のスカートめくりしまくったり、保母さんに…、」


瞬「もういい!もういいって!!」


聡哉「何だよ、相変わらずソッチ系はダメか?

  …しゃあねぇな、まぁ言いてぇ事はそれじゃないんだが…、

  瞬はそん時の俺見てどう思ったよ?」

瞬「なぁんて、悪い奴だ。 だったな。」


聡哉「俺は気にもとめてなかった。 でも、いつだったかな、…そうそう。

  忘れもしねぇ、今日みてぇな真夏日だったよな。

  瞬の好きだった子、ちづるちゃんだったか?

  ひっでぇ意地悪したらお前怒ったんだよな。

  保育士さんも止められねぇ程の大喧嘩にまで発展してさぁ、

  まぁ結果は見えてたけどよ。」


瞬「勝ち目無いのに喧嘩して聡哉にボロ負けしたんだ、確か。」


聡哉「ああ、でも正直言うとそん時のお前は怖かった。 

  大抵の奴なんて反抗なんてしてこねぇしさ。

  反抗してきて喧嘩になったってすぐ倒しちゃってたからさ。

  …でもお前は違った、何度も何度も立ち上がって来るんだもんよ。

  お前本気で怒ったら何か雰囲気変わって凄むしよぉ…。

  さっすがに恐怖を覚えたねぇ。

  …それからだよ、如月 瞬って人間に興味持ったのは。

  別に変な意味じゃねえぜ? 

  そん時の俺は何で何回も立ち向かって来た理由とその底力が知りたかった。

  ただ単にそんだけ、でも次第に自分に無いものを瞬が持ってる事に気付いた。

  それが”ヒトを思いやる気持ち”だったんだよな。

  始めは馬鹿馬鹿しいって思ってたよ。

  …でも、ある時お前が俺に対して見せてくれた、それ。

  仲間はずれにされてた俺をさ、みんなを説得して仲間に入れてくれた。

  嬉しかったねぇ、俺は何もしないで1人でいいって情けなくイジけてさ。

  だから瞬の持つ”思いやり”ってのが何かすごく羨ましくなった。

  俺に集まる奴は俺の力に怯えてる奴ばっかで笑ってる奴なんていなかった。

  瞬を慕って集まる奴らは皆ニコニコしてお前に集まってんだもんよ。

  だから俺は瞬を知りたくなったね、親友になりたかった。

  俺がヒトの思いやり方を知りたがってるって知ったら丁寧に教えてくれたよな。

  おかげで俺にも少しずついいダチが出来てきた。

  その時俺は決めたね、こんなにいい奴のよさに漬け込む奴がいたら絶対許さないって。

  瞬が困っていたら助けてあげようってな。」


瞬「照れるなぁ、そうだったのかぁ。

 僕だって聡哉から学んだことはいっぱいあったんだよ。」


聡哉「あ? どこからよ?」


瞬「僕は始め、スカートめくりしたり女子トイレに目いっぱいカエル放ったりする

 嫌がらせ大王の聡哉が全く理解できなかった。

 何でこんなヒドい事するんだろうって。

 聡哉に興味を持ったきっかけはやっぱあの喧嘩だったな。

 聡哉を見ていくうちに自分の心に直情的なまでに素直になれる聡哉が羨ましくなった。

 僕はヒトに嫌われるのが怖かった。

 だからヒトに合わせて自分の心を押し殺して付き合う事だってよくあった。

 聡哉は自分に素直に生きているのに僕は自分を偽って生きている。

 だからあんなに感情を剥き出して怒ったなんて初めてだった。

 本当の自分が分からなくなってしまった自分の辛さを知ってもらいたい、拭ってもらいたい。

 聡哉だけ僕のそれに気付いて叱ってくれた。

 皆になんて好かれる訳無い、それって本当に友達なのかって。

 聡哉との付き合いにまで偽りを持ってきてるんじゃないかって言われた時ショックだった。

 今すぐ自分を変えたかった、聡哉は丁寧に教えてくれた。

 やりたきゃやりたい事やりゃあいいって。

 結果嫌われる子もできちゃったけど好かれる子にはもっと好かれた。

 何より気兼ね無しに心からの付き合いができるのが嬉しかった。

 だから、もし聡哉が困ってたりしてたら出来る限り助けてあげようって思ったな。」


聡哉「ほへぇー、そうだったんだぁ、意外に俺ってば役に立ってたんだ。」


瞬「かなりね。」


聡哉「…、ところで俺とあんな大喧嘩するほど好きだったちづるちゃんとはどうなったんだ?」


瞬「んー、仲良くはなったんだけど好きな子がいたみたいで

 中途半端に仲良くなったのが大祟り、ちづるちゃんの恋のキューピットに転身、大変身。」


聡哉「本日は故、如月 瞬の通夜にお越しいただき…、」


瞬「アホかっ! 殺すなっ!」


聡哉「ははは、んじゃあ瞬さ、今は好きな子とかいないのか?」


瞬「んー…、いなくはないけど。 気持ちが落ち着いてないし、何とも。」


聡哉「本日は故、如月 瞬の葬儀、告別式にお越しいただき…、」


瞬「オイっ!! 式が先に進んでるじゃないかっ!!」


聡哉「みなさーん、火が入りますよーっ、最後のお別れですよーっ。」


瞬「待てーっ! 燃やすなあぁぁっ!!」


聡哉「ハッハッハッハ…!!」


瞬「ハハハハ…!!」


二人の幼稚園の想いは”死”による天球においての”再会”という形で叶うこことなった。

しかし、これから起こるであろう事態をこの学校の一体誰が予測できただろうか?

…いや、いないはずだ。

瞬と聡哉達の朗らかな笑いを遮るものが刻一刻と迫りつつあった。

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