第二章  天球 ~Heven Earth~

ふと気が付くと外で目が覚めた、ボーッと立っていた。


瞬「…? (夢だったのか?)」


あまりに現実感のある夢だったが所詮夢は夢でしかない。 

…違う、地球じゃない! そう確信したのは空に図鑑で見たような地球が浮かんでいたからだ。


瞬「…、夢…、じゃ無かったみたいだ。 ん?」


目を下にやると綺麗な装飾が施された刀が地面にささっていた。


瞬「何だろう、これは…。」


鞘から刀を抜いてみようと思ったが…、抜けない。


瞬「…? 何だこれ? 何かのレプリカかな?」


そうこう考えているとそう遠くないところで獣のいななきが聞こえた。 

何か、獲物を見つけて満足げないやらしいいななきだった。

瞬はたじろいだ、ありきたり過ぎるシチュエーションだが、相手はどう見たって友好的ではない。

姿はよくRPG何かに出てきそうなゴブリンのようにも見えた。


獣「グェヘヘヘ…!」


あぁ、何ていやらしい鳴き声。

…、というか獲物は僕じゃないか!!


瞬「うわぁぁぁぁっ!」


自分自身意外だった。

怖いのに持っていた鞘から抜けない棒にしかならない刀で斬り…、いや、殴りかかったのだ!

ドカッ!

鈍い音がする、手に跳ね返る振動、どれをとっても正に無我夢中。


獣「ガァァァッ!」


逆上してしまった、それに驚いてコケてしまった、これは参った。


瞬「うわぁっ!」


いきなりもう駄目だ! と思った瞬間!


?「バーニングフレアーッ!!」


ボォウッ!!


獣「ギィヤァァァッ!」


いきなりゴブリンらしき獣が炎に包まれたかと思ったら、断末魔の叫びを上げてその場に倒れた。

瞬は恐怖のあまり声が出なかった。

未だに腰を抜かしている瞬に同じくらいの年齢の、茶色い髪を持つ細身の女の子が近づいてきた。


?「なっさけないわねー、たかだかゴブリンごときに腰抜かしちゃう何て!」


瞬「なっ!」


?「あら何よ、助けてあげたってーのにいきなり文句言うわけ?」


瞬「う…、あ、ありがとう。 あ、あのさ、さっきのって魔法!?」


?「そうだけど…、ふーん、貴方最近ここに来たの?」


瞬「え、ついさっき…、かな。」  


?「そぅ、魔法を珍しがる人はそうそういないからね。 

  …私、陽河ひのかわ アスカ。 貴方は?」


瞬「瞬、如月 瞬。」


アスカ「んー、瞬ね。 覚えとくよ、ゴブリン相手に腰抜かした英雄として!」


アスカと名乗る女の子は初対面にもかかわらず人懐っこい笑顔で瞬をからかう。


瞬「英雄じゃないってそれ、あんなの初めて見たんだから仕方ないじゃないか。」


アスカ「あら、男の子なのに言い訳しちゃうんだ~。 

    …何てうそうそ、まぁそうよね。 

    魔法はー…、使えないよね、きっと。」


瞬「無理無理!」


アスカ「んー、だよね。 なら早いとこ警察行って申請した方がいいんじゃないかな。 

    多分学校行った方がいいだろうし…。」


瞬「申請? 学校?」


アスカ「瞬という人間が来ました、ってのを申請するのよ。 学校では戦闘の訓練ね。」


瞬はアスカに言われるまま申請して天球の一員となった。 と同時にカードが渡された。


瞬「何これ、L・I-10?」


アスカ「あぁ、それ瞬のランクの事だよ。 

    ここってさっきのみたいなモンスターがよく出るから個人個人に戦闘ランクがついてるの。

    何かと便利だよ。 下のランクほど扱いはよくないんだけど、まぁその人の努力次第かな。」 


瞬「へぇぇ、でL・I-10ってどの辺のランクなの?」


アスカ「…、最低ランクだよ。」


瞬「…、ま、そうだろうね。 ところで陽河さんはどの辺のランクなの?」


アスカ「やだなぁ、”アスカ”でいいよ。 私のランクは…、まぁいいじゃない。 

    学校はここら辺ならノースウルグ島立戦闘学校が近いかな、あっちに見えるあの建物。

    んじゃあ瞬、頑張ってね!」


瞬「え! あ、ちょっと…!」


ふわりと宙を舞ってアスカは行ってしまった。


瞬「うわぁ、飛んでっちゃったよ…。 あんな事が出来るようになったらいいなぁ~。

  これからどうするんだっけ…、あ、そうだ。」


ボーッとして忘れそうになったけど今さっき学校に行った方がいいって言われたんだった。

新たなる世界で生きる術を学ぶべく綺麗な剣を携え、瞬は学校に向かった。

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