第7話 美咲の正体
平成22年(西暦2010年)4月27日、「刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律」(平成22年法律第26号)が成立し、人を死亡させ死刑に当たるものについて公訴時効が廃止されるなどの改正が行われた。
「人を死亡させた罪」のうち傷害致死罪の場合は10年から20年に改正された。
父龍馬は刃物で背後からメッタ刺しにされ暗がりの路地で発見された。犯人は傷害致死罪に問われていたが、海外へ逃避行してしまった。その男というのがマジックのナンバー1ホスト「ジン」だった。
実は……ジンはフィリピンと日本のハーフだった。フィリピンは物価も安いし生活するのは低所得者にとっては日本より住みやすいと言える。更にはジンは市民権も取得していた。そしてジンの夢は母の故郷で起業する事だった。
だから、この男が犯人の可能性は十分に考えられる。30年以上日本にいながら今更母の故郷フィリピンで起業したい等、ただの言い逃れにしか聞こえない。色んな事があったにせよ源氏名「龍」殺害事件の、5年後に日本を経ってたっている
★☆
この事件には46歳の木村刑事と新米刑事中野27歳が担当している。
2005年には、当時の東京都知事の提案で「歌舞伎町浄化作戦」により200店ほどのホストクラブが摘発・閉店している。当時、ホストクラブでは違法な深夜営業やキャッチ(客引き)が横行していたため、治安を守るための措置として同施策が講じられた。
どういう事かというと、ホストクラブは禁じられた深夜営業と女性客を風俗業に転職させる闇金融との関係性が問題視されていた。こうして強引なキャッチの禁止と、風俗営業法の午前零時までの客の退店の厳守を求め、これに準じない場合はホストクラブを摘発した。
「オイ!調べで分かったことだが、暴力団と関わりのあったホストクラブ『マジック』のオーナーは龍馬が『アイドルスター』に移ったことによって客の流出を食い止め切れず、仕方なく違法な深夜営業や強引なキャッチの客引きで2005年に摘発され閉店している。だから根こそぎ客を奪った龍馬を恨んでいることは確かだ」
「だってそれは仕方ないでしょう。お客様がお店を選ぶのだから恨むのは筋違い。稼ぎ頭のホストを大切に扱わなかったのが悪いんじゃないですか?『マジック』自体が手荒な真似をするホストクラブなので、逃げられても文句はいえませんよ。自業自得ってやつです」
「だが……オーナーは、亡くなったので全く関係ないと思っていたが、父の龍馬が殺害された2000年は、まだオーナーが生きていた。亡くなったのは2006年だから十分容疑者と考えることが出来る。それから……ジンも十分に犯人と考えられる。だって龍馬が客を奪ったので『マジック』が倒産に追い込まれた。そしてナンバー1ホストの地位を失い職も失った」
「それはそうですが……?」
警察が次に疑った人物それはズバリ美咲の母真理子だった。
「あの当時母の真理子は38歳だったが、スナックに勤務していた。深夜遅くの帰宅が続いていた。そして夫に『働いて』と懇願するも反対に暴力でかえされた。そして真理子の働いたなけなしのお金を持ってパチンコ三昧。これにブチ切れて殺害したという事は考えられる」
「どうも真理子は店に通ってくるお客の1人次郎に入れあげていた。だから働かない夫に嫌気がさして殺害したことは十分に考えられる」
「だが、龍馬がパチンコが終わって帰り道で殺害された時間が、11時30分頃と推測されているが、その日は真理子はスナックで働いていた。だからアリバイがある」
「って事は共犯者がいるってこと?」
「嗚呼……それは十分考えられる。どうも龍馬は母真理子をぞんざいに扱っているくせに、やきもちは酷いらしい。近所のアパートの住人の話では『夫婦喧嘩が絶えなかった』と聞いている。ハッキリ聞き取れないが、どうもスナックのお客様と親しい関係になった事が夫龍馬に分かって嫉妬で暴力を振るうらしい」
一体だれが父龍馬を殺害したのだろうか?3人とも明確な殺人動機がある。
ホストクラブ「マジック」のオーナ-は龍馬という人気のホストが辞めたことで閉店に追い込まれた。
一方のホストクラブ「マジック」のナンバー1ホストジンは、ホストを辞める羽目になってしまった。
それと美咲の母真理子だが、あまりの身勝手な龍馬に愛想尽かして別れたがっているが、別れ話をすると酷い暴力を振るうし、店のお客様に嫉妬して仕事にならない。
★☆
そして「パックン」の経営者で息子の賢三氏は美咲を見るなり何か……抑えきれない胸騒ぎを感じたが、その胸騒ぎの正体は何だったのか?
(どこかで見たことあるんだよな?どこだったのか……嗚呼……分からない……分からない?そういえば雑誌に………?)
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