第11話 初めて貰ったレビューと拡散

 秋から冬の厳しい寒さが到来し、1年が終わりを迎える頃の季節。


 学校は冬休みへと入り光輝としてはじっくり小説が書ける時間が増える、学校からどっさりと冬の宿題を出されてそこから目をそらしたい気持ちはあったりするが。


 ちなみに玲央はこれを出された時真っ青となって固まっていた、その時の顔を思い出せば彼には失礼だが光輝は吹き出しそうになってしまう。


「…あれ?」


 何時ものように自室にてPCから小説サイトへと飛んで執筆に取り掛かろうとしていた光輝の目が止まる、通知が来ているがこれは別に珍しい事ではない。


 最近はありがたい事に書いている小説へ評価や応援を送ってくれるのが増えて来て反応が秋辺りから上昇しているのだ。


 だから今日も来ているが、その中の通知に何時もとは違う事が書かれていた。






 あなたの小説に対してレビューが書かれました。



「(え、レ…レビュー?嘘?)」


 小説サイトでは評価やコメントだけではない、その作品がどういうのか紹介するレビューが読者の手によって気軽に書かれる事がある。


 だがこちらはそう頻繁に貰えるような簡単な物じゃなく読者が手間暇かけてその作品に対してどういう物なのかを表現し、紹介する物だ。


 余程その作品に愛着でも無ければ早々書かれる事はおそらく無いだろうと光輝は考えていてレビューには正直期待はしていなかった、自分程度でそれが貰える訳が無いと。


 それが通知には自分の小説にレビューが書かれたというのが間違いなく来ている、一体どういう事を書かれたのか光輝は胸高鳴りつつ自分のレビューを見に行こうとするがマウスをクリックする手が緊張で中々動かない。


 期待と不安が入り混じり何が書いてあるのか楽しみという気持ちがあるのと実は悪い事書いてあるのではという不安があったりと、かなり複雑な気持ちだ。



 とりあえず見なければ何も始まらないと思い光輝はマウスをクリックしてページへと飛ぶ。



 そこに書かれていたのはこの小説はオススメ、皆見た方が良いと光輝の小説を強く推してくれる内容だった。


 帯となるタイトルもしっかり書かれてあって今まで自分の作品が表示されても帯無しが当たり前なのが初めてレビューがついて下にそれが表示されるようになる、それが見えて光輝はただただ嬉しいという気持ちでいっぱい。


 ちょっとしたクリスマスプレゼントを貰ったような気分、この人がサンタだとすればレビューという名のプレゼントを自分へとくれた。



 これに光輝は思わず椅子から立ち上がり小さく何度もガッツポーズを取る、そしてそのまま下へと降りて行き「お父さん、お母さん、レビューもらったー!」と嬉しくて両親に報告。



「おー、つまりこの人は光輝の小説のファンという事じゃないか。良かったな!ファンは大事にするんだぞ」


「まあ~光輝にファン、このまま有名人にでもなっちゃうのかしら?」


「おいおい、そんな甘くはないだろ。でもまあ少しくらい世間の皆さんからは知られて行くんだろうな、とりあえず今日は赤飯でも炊こうか!」


 秋吉と麻美子の2人は光輝がレビューを貰った事を祝福し、今日は麻美子がこれで料理に腕をかけて作り赤飯と共にご馳走で光輝の初レビューを祝った。


 なんだかんだで2人の両親も我が子が小説で活躍している事が嬉しく思い、光輝の一桁のPVスタートから結構な躍進が始まって行く。




 光輝はどんどんと執筆を続けていき、話は順調に更新出来ていった。冬休みの間は明日の学校について考える心配がなく集中出来て書けるので調子が良い事を自分でも感じ、止まらず書けている。


 主人公達だけでなく周囲のサブキャラも作り登場させていき、その話限りのキャラを書いたら予想外に限定だったキャラが読者に人気であり再登場してほしいという声がコメントに届く時もあった。


 段々と光輝の小説は読まれる人が増えてPVは4桁を突破し、5桁も夢ではなく現実味を帯びてきている。


 レビュー効果が更に読者を呼んで読む人が増えて来ている、あのレビュー以降PVは伸びてその力の凄さが伝わった。



 光輝はPVの力と思っているようだが何もそれだけで伸びるとは限らない、ちゃんと作品も面白いと思わなければ見てはくれないはずだ。伸びているという事は見てくれている証拠、それが数多くとなれば1話だけでなく全話見てくれている可能性が高くなる。


「(何か僕の小説どんどん凄い事になってる…?)」


 結構凄い事になってきて段々光輝は喜びと同時に戸惑いも生まれていた、あまりにも予想していなかった事が起こっているせいか。



 そこにスマホの通知が来ていた、グルチャの方でガールズバンドの彼女達からのメッセージがある事に気付き光輝は見てみる。



「回りの友達に光輝君の小説勧めて来たよー、何人か面白いって思ってるみたい!」


「私も家族とか親戚に言ってみた~」


「あたしも知り合いに伝えたー」


「私もクラスメイトにオススメって言っておいたから」



 此処最近の伸び、それはレビューの力だけでなく彼女達4人が伝えてくれたおかげもあった。


 そして今年が終わる前に光輝の小説のPVはとうとう5桁を超える事となる…。

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