第3話 初めての応援コメントの喜び
少し蒸し暑さを感じ始め、何かと雨の降りやすい季節。
今日も何時も通り学校へと来ている光輝の周囲では昨日のサッカー日本代表についての試合の感想だったり今日のオンラインゲームで合流とゲームで遊ぶ予定に関して楽しく話し合ったりと、光輝の耳にはそういった事が入ってばかりだ。
「(小説とか多分見てない…かな?)」
活発そうなクラスメイト達の姿を見れば文字ばかりの小説よりハッキリ分かりやすく面白さが伝わる漫画の方を好んで読みそう、自分の席からチラ見していた光輝にはなんとなくそう思えた。
思わず出てきそうなため息を飲み込み、光輝は頭の中で考えている。
昨日初めての投稿を終えてその後すぐに就寝、朝起きれば学校に行く支度があるので自分の小説をチェックする余裕は無く昨日投稿した小説がどうなっているのか確認出来ないままだ。
あの後見てくれているのか、それとも誰にも見られず0PVのままなのだろうか。
初めての投稿を終えた後の光輝はその後自分の小説がどうなっているのか考えれば考える程不安になってくる。
どんよりとした空はまるで今の心を現しているのかもしれない、授業が終わってそれぞれ帰宅する中で光輝が帰る頃には空が泣き出し始めた頃だった。
雨が激しくなる前に帰るのも大事だがそれ以上に気になる事があり傘を差す光輝の足は家へと急がせて向かって行く。
「ただいまー」
「おかえりなさい」
母麻美子がタオルを持って出迎えると光輝は受け取り軽く濡れた部分をタオルで拭き、洗面所へ行って手洗いとうがいを済ませば二階へと上がり真っ直ぐ自室へと行ってパソコンと向かい合う。
やっと見れる、あれからどうなったのか。
正直見るのが少し怖く思えて来る。
怖いが見なければ何も始まらない、光輝は緊張しつつもパソコンを起動させて小説サイトをチェックする。
自分のページからファイナル・パスワードがどうなっているのか見てみると…。
ファイナル・パスワード 今日 5PV
とりあえず0PVという事は無かった、1話投稿して5PVという事は5人に見てもらったという事だ。
その5人は自分の小説を見てどう思ったか光輝は気になったが特に評価やコメントの通知は何も来ていない。
「(どうなんだろこれ?つまらないと思って何も評価しなかったのか分かんない…)」
面白いと言われてる訳ではなければつまらないと言われている訳でもない、何も無くただ見ているという記録がついただけ。
ちなみに光輝が見ている馴染みの異世界ファンタジーの方は1日だけで5000PV、累計で100万PVを記録している人気っぷりだった。
ランキングでも上位となっていて書籍化やコミカライズあるんじゃないかとファンからはそう言われている。
自分の方のPVを見る限りその世界は果てしなく程遠く無理だと感じてしまう、ただ少なくとも見てる人は居た。
とりあえず2話目を書こうと光輝はキーボードを操作、光輝の部屋にキーボードを叩くカタカタする音がして2話目の話を作り上げていく。
外は先程よりも土砂降りとなっていた。
「はぁ~…」
2000文字ぐらい書いて少し休憩と光輝は椅子の背もたれに身を預け休憩。
このまま行けば今日中には投稿出来るかもしれない、そう思った時。
「(あれ、何か通知来てる…)」
右上のベルに小さな丸い赤が付いている、何か通知が来たという物であり光輝は見てみればそれは自分の小説に応援コメントが来ていると分かった。
「!ど、どっち…?」
ついに面白いのかつまらないのかという白黒ハッキリさせるコメントが来たのか、光輝の右手に持つマウスが緊張してくる。
光輝は自分の作品へ送られた応援コメントをチェックすると…。
「だけだの部分がだけ「た」になっていますよー」
「!?」
そのコメントを見て光輝は慌てて自分の小説を編集でチェックする。
細かく見てみればワンシーンの所、だけだと書いたつもりが「だ」ではなく「た」になってしまっていた。
これに気付き焦りながらも修正すると光輝は先程のコメントへと返信。
「教えてくれてありがとうございます、直しました!」
初めて来た応援コメントは文字を間違えたという指摘だった。
投稿する時チェックして気をつけたつもりが見逃してしまう、こういう指摘が無かったらずっとこのままだったかもしれない。
光輝は教えてくれた事に感謝しつつ2話目の執筆へと向けて作業を再開する。
途中でおやつや夕飯に呼ばれて中断しつつ執筆は進んで行き、気づけば更に2000文字を追加して合計4000文字程の2話目が完成していた。
とりあえずこれを投稿したらお風呂に入ろうと決めていた光輝、そろそろ母麻美子からお風呂入って来なさいと言われる時間帯だ。
二度目の投稿となると最初の頃よりはそんなに緊張せずに投稿ボタンをクリックする事が出来て2話目の投稿に成功したのを見届ければ光輝は風呂へ向かおうと椅子を離れようとしていた。
そんな時に再び通知は来る。
さっき間違っていた所は直してあれから他に無いかとチェックして特に何処も無かった、今度はその報告じゃないはずだ。
そこには自分の作品に応援コメントが来ているという物であり光輝はコメント欄を見てみる。
「面白いです、天才ハッカーいいね♪」
来ていたのは光輝の小説に対して面白いというコメント。
自分の小説が面白いと思ってくれて光輝の顔から自然と笑みが溢れてくる、自分がコメントを送って作者の人からコメントを返してもらった時とはまた違う喜びや嬉しさがあった。
これがモチベーションとなり3話目も書こうという気持ちにさせてくれて光輝は風呂で入浴しつつ3話目を考え始めるのだった。
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