第2話:いきなりですけど私とお付き合いして・・・。

「あの・・・北村さん、お話があるんですけど・・・お時間あります?」


「え?話・・・僕に?・・・なにか相談ごと?」


「ああ・・・まあ相談事みたいたものです」


(わざわざ僕なんかに?)

(相談事なら僕よりもっと親しい常連客だっているだろ?)

(それに大将だって女将さんだって・・・)


「あ、そ・・・なに?困ったことでも?」


「はい、困ってます」


「いいよ、ろくなアドバイスできないかもしれないけど言ってみて?」

「聞いてあげるから・・・」


「あの、お店の外でもいいですか?」


「うん・・」


そう言うと僕と花音ちゃんは笑屋の外に出た。


「はい、で?なに?」


「北村さん・・・あの、いきなりですけど私とお付き合いしていただけませんか?」


「・・・・・・」


「あ、いや〜もしかして空耳かなぁ?」


「違います、私とお付き合いしてほしいって言ったんです」


「待った・・・僕がおじさんだからってからかってる?」


「そんなことしません」

「私、真面目に言ってるんです、真剣なんです」


「だってさ、僕と花音ちゃん・・・歳いくつ離れてると思ってんの?」

「僕はさ、もう45のおじさんだよ?」

「花音ちゃん、歳、いくつだっけ?」


「20歳です」


「だったらさ・・・え〜と僕と25も離れてるじゃん・・・25歳差はマズい

でしょ?・・・それってもう親子じゃん、下手すると淫行だよ・・・」

「普通なら付き合うなんてありえない歳の差だよね?」


「なんて言ったらいいのか・・・北村さん私のタイプなんです」

「私と北村さん生まれた世代が少しズレただけじゃないですか?」

「もし歳が三つくらいの差ならおっけ〜してくれるんですか?」


「そう言われるとな・・・なんて言っていいか・・・」


「最初、北村さんがお店にいらっしゃった時に見つけたって・・・この人だって

思ったんです」

「だけどいいなって思っても既婚者だって可能性のほうが大きいでしょ?」

「でも、そうじゃないって分かったから・・・」


「ああ〜僕が少し飲みすぎると「奥さんが体のこと心配なさいますよ」って

花音ちゃんよく言ってたなあ・・・覚えてるわ」

「あれ、僕にカマかけてたのか?」


「で、北村さんに奥さんがいないって知ってラッキーって思ったんです」

「だから思い切って自分の気持ちを告白しようと思って・・・」

「私、いつも何かをする時、つい迷い過ぎちゃってチャンスを逃して来たから

今度逃しちゃったら絶対後悔するって思って・・」


「まあ、たしかに僕は独り身だから君と万が一付き合うようなことになったと

しても浮気とか不倫にはならないからいいけど・・・」

「でもさ、こんな歳まで独身やってる男なんてどこかに欠陥あるって思わな

かったの?」


「あるんですか?」


「ないよ・・・」


「ないんじゃないですか?」

「まあそれに、おじさんって、みんな大なり小なりどこか欠陥ありますよ」


「あはは・・・面白い・・・たしかにな・・・あはは」


「で、もし花音ちゃんが僕の彼女なら、そりゃ男冥利に尽きるってもんだけどさ」

「それにしたって・・・ジェネレーションギャップ酷くない?」


「君みたいな若くて可愛い子なら、いくらでも彼氏になりたいって男いるでしょ?」

「店に来る客の中にだって、そう言う人たくさん来るんじゃないの?」

「すくなくとも君が目的で店に来てる客だっていると思うよ」


「来ますけど、いくらたくさんお客さんが来ても、私にも選ぶ権利ありますから

私がその気にならないと意味ないでしょ?」

「どっちにしても私にとっては北村さんがマストなんです。」


「そうなんだ・・・困ったな〜」


「ダメでしょうか?」


「ちょっと考えさせてくれる?あまりに唐突なことだからさ・・・」

「こう言うのって常識からずれてるから戸惑っちゃうんだよな」


「じゃ〜せめて連絡先交換してもらってもいいですか?」


ってことで僕と花音ちゃんは付き合うかどうかは別にして一応この時点で

繋がった。


つづく。

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