第3話  舞子、求婚される!

 チャールズ王子の綺麗な瞳に吸いこまれていた舞子は、チャールズからの、


「ダメでしょうか?」


の一言で我に返った。


 そして気付いた、チャールズからはドロドロした性欲が感じられない。チャールズは性欲抜きで自分に求婚してくれているのだ。この男性(ひと)を逃したら、もう自分を救ってくれる男性はいないかもしれない。それに、女神様? も言っていた。流れに身を任せれば良いと。何より、舞子はチャールズに一目惚れしてしまっている。


「私でよろしければ」

「よし、話は決まった。一緒に王宮に行きましょう」

「チャールズ様、よろしいのですか? このような怪しい女性と婚約して」

「ハクオウ、こちらの女性を僕の馬車へ。僕も馬車に乗るよ」

「はい、チャールズ様がそうおっしゃるのでしたら」


 舞子はチャールズと馬車に乗った。緊張はしない。まだ、白馬の王子様との出会いが信じられず、夢を見ているかのようだったからだ。


「良かった、一応、馬車を用意していて。普段は馬車は使わないんですけどね。馬に乗る方が好きなので」

「そうですか」

「あ、舞子さん、ご家族がいらっしゃるならお招きしますが」

「あ、大丈夫です。私1人でこの国に来ましたので」

「そうですか、1人じゃいろいろ大変でしょう? でも、もう大丈夫です。僕が舞子さんの家族になりますから」

「あの、私みたいな庶民が王子様と結婚してよろしいのでしょうか?」

「大丈夫です。僕に任せてください。やっと見つけた花嫁です。絶対に舞子さんを離しません」

「あの、私、花嫁なんですか? 側室じゃなくて」

「僕に側室は必要ありませんよ」

「そうなんですか?」

「何人も愛せるほど器用じゃありませんので」


 なんというカッコイイ台詞、舞子は気を失いそうになるくらい痺れた。


「舞子さん、あまり喋りませんね」

「相手が素敵な王子様ですので、何を離せば良いのか」

「まあ、突然のプロポーズでしたからね、その内に慣れますよ」

「はあ……」



 王宮に着いた。


「ドレスを用意しますから、着替えてください」


 チャールズは、侍女に指示をして、


「では、また後で」


と言って去って行った。


「舞子様、舞子様付けに任命されました、侍女のサヤカです」

「あ、サヤカさんね、よろしくお願いします」


 サヤカは二十歳前だろう。かわいい女性だった。舞子は一目でサヤカを気に入った。サヤカは昔から妹が欲しかったのだ。“こんな妹がほしい!”と思った。


「まず、お風呂でゆっくりしてください」

「お風呂があるの?」

「はい、ご案内します」


「何これ? スゴイ、大浴場ね」

「王族専用の大浴場です。ちなみに、女性用です」

「サヤカさん、あなた、なんでタオルを持って立ってるの?」

「お背中を流します」

「やめてよ~私、庶民なのよ」

「今は、チャールズ様の婚約者でいらっしゃいます」

「じゃあ、サヤカさん、あなたも一緒に入りましょうよ」

「そんな恐れ多いことは出来ません」

「誰にも見つからないでしょう?」

「それはそうですけど」

「じゃあ、一緒に入りましょう! ほら、脱いで! 私も脱ぐから」


「お背中を流します」

「こんなVIP待遇でいいのかしら?」

「いかがですか?」

「うん、気持ちよかった。今度は私がサヤカさんの背中を流してあげる」

「そんな恐れ多いこと、出来ません」

「いいじゃん、いいじゃん」


「王太子妃と一緒に湯船に浸かっていいのでしょうか?」

「一緒に入ってくれないと、私が困るわ」


「上がります」

「じゃあ、私も上がるわ」

「すみません、スグに着替えます」

「急がなくてもいいわよ」


「着がえ終わりました。舞子様のお着替えをお手伝いします」



 ドレスアップした舞子は、サヤカに連れられてチャールズの部屋を訪れた。







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