第7話
「ブンブンブンブン!」
「ケ…ケモ神様…右腕をあんなに回転させて…」
「ブンブンブンブン!」
「そんなところで右腕を回して何になる、哀れだな」
哀れ⁉いくらでも言ってくれ、今のオレにはこれしかできない。
だがな必ずお前を倒してやる!
「バラ、バラバラ、ドサッ」
よし!右腕を高速で回したおかげで大岩から抜け出せた!
そのまま右腕でジャンプを……ダメだ…左側が地面に接して、右腕を地面に着けられない…ジャンプができない…。
「ガシャンガシャンガシャン」
「まさに滑稽、なぜその場で何度も腕を伸ばすのか。 全く無意味と気づかぬのか⁉」
無意味だろうとオレはできることをやる!
オレにできることはこの右腕を伸ばすことだけだ!
とどけ!とどけ!とどけ!オレの右腕よとどいてくれ!
「
止めろー!その牙をホルンに向けるな!
「キャーーーッ、ケモ神様ー!」
とどけ!とどけ!とどけ!とどけーーーっ!!
「ガシュ、ピューン!」
あれ、壊れた。
右腕の先端の塊が壊れて飛んでいった!
「グハァーーー!」
「ドサッ」
「ケ…ケモ神様…ケモ神様の攻撃がバロンに当たって…バロンに倒しちゃった」
はははぁ、右腕が壊れて最後はよく分からんけど……勝っちまった!
「ケモ神様!あ、ありがとう!助けてくれてありがとう!」
おいおい!ホルン、そんなに涙を流したらオレのボディが錆びちまうよ。
…でもホントに良かった…いくつかの偶然が重なってなんとか勝てて…。
ホゲゾウや何人かは重症みたいだが命には別状はないみたいだ。
「クッ、ウゥ……」
おいおい…止めてくれよ…立ち上がるな…これ以上戦っても勝ち目を感じんぞ。
フラフラでも戦う気が⁉ホルン逃げろ!オレから離れるんだっ!
止めろそれ以上近づくなっ!
「あ…
……どういうこと??
「我らガロン族は
…つまりオレがラスボスのバロンを倒したから、ガロン族がオレの手下になるってこと?
どうしよう…さっきまでケモ耳達に酷いことをしてた相手を受け入れられるのか…まぁオレは鉄壁のおかげで無傷だったけど、ホルン達はどう思うんだ…?
「そんなの受けいれられるわけないでしょっ! みんなに…みんなに酷いことをしたのにっ!」
そうだよな…ホルンの言い分は分かるよ。
でもここで拒否したらどうなる…?
またガロン族との戦いが始まるかもしれない…ガロン族にとってオレが主にふさわしい存在だけど、ケモ耳達はそうじゃないからな…。
平和的な解決を取るとしたら、ガロン族の眷属を受け入れた方がいいかもしれない。
「な…なに?ケモ耳様、何をするの?」
こういうことをするんだよ。
「ギュイーン」
ほらオレの右手を掴んでくれホルン。
「え?なに?ケモ耳様。 ケモ耳様の右手を掴めってこと?」
そうだよ。よし、ホルンがオレの右手を掴んでくれた。
「ガシャンガシャンガシャン」
そして手を掴んだまま180度旋回して…。
「ちょっ、ちょっとケモ耳様どこへ連れて行くきなの」
「ガシャンガシャンガシャン」
それはバロンのところまでだよ。
「え、え、えー⁉ バロンの右前足のところって…バロンと握手しろってことなのケモ耳様⁉」
そういうことだ! いろいろあったけどケモ耳達とガロン族、みんな仲良くしてくれて、それが一番良い解決法だからな。
「主様がそのような事を願うなら我は不服はございませぬ。 ケモ耳達よ、先の非礼を許していただきたい。 我らガロン族は、今後一切ケモ耳らに牙を向けぬ。 仮におぬしらが許してくれるのであれば、我らは永遠の友の誓いを立てよう」
「…ち、長老…ど…どうしよう……」
なにを言ってるんだホルン。よく見てみろ!
長老を含めみんな笑顔で頷いてるだろ。
それがどういう意味か分かるよな。
「…うぅ…ホントに許してないんだからね…みんなに酷いことをして……ホントに許してないんだから……」
…そんなすぐには許せないよな…でも今は我慢してくれ…これからみんなで笑顔で暮らせるために。
「…だ、だけど…許すよ……。 ウチはこれ以上みんなに傷ついてほしくないから…」
「ケモ耳の娘、さらにケモ耳の者達。 我らの願いを受け入れてくれて感謝する」
これで一件落着か⁉
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