ゴジラの世界〜海外版
海外版といえば、トライスター版『ゴジラ』。
(東宝作品の再編集版は除く)
『インデペンデンス•デイ』のローランド•エメリッヒ監督作品だ。
監督の作品らしくブラックユーモアを交えたNYの破壊シーンなど、今、見直すと決してつまらない作品ではない。
今回、少し調べたら興行的には良かったらしい。
まぁ、3部作の予定が1作品で終わったので、評判の方は推して知るべし。
検索してみると、監督の悔しさが滲み出ているコメントがいろいろとヒットしてくる。
きっと作品には手応えがあり、世間の評価に納得できなかったんだろうな。
もし、“ゴジラ”ではなく“ゴロザウルス”として本作が作られたとしたら、リブート作品として評価されたかも知れない。
その場合、興行的には惨憺たるものとなったかもしれないが。
今回見直して、そうそう酷いと決めつけるような作品ではないなと思ったのは、『GMK』で日本の学者のゴジラではないとの学説が提示され、『ファイナル•ウォーズ』で“ジラ”という存在に昇華されたため、見る私の心にも“寛容”さが生まれたのかもしれない。
公開当時は、これは『ジュラシックパーク』の世界で『ゴジラ』の世界観ではないとイラつきながら見てたマジソンスクエアでの攻防も、“ジラ”の映画として見ると、“ジラ”って子沢山だし、子供も皆元気ねと、なかなかの見応えで楽しめた。
見るべき“ゴジラ”映画を選べと言われた時には真っ先に落ちるが、『ゴジラ×コング』の公開、『ゴジラ−1』のソフトリリースに合わせたのだろう、現在、配信でも課金せずに見ることが出来るので、時間に余裕があるのなら見ても損はしないと思う。
*
版権がトライスターにいっている間に、日本では、モスラ3部作が制作され、どちらかと言えば大人しめの怪獣だったモスラが海に潜るわ、時を超えるわ、虹色に染まるわの大活躍をすることになる。
最強のキングギドラとまで、タイマンを張ってしまうという主役として見事な成長ぶりだったが、再び“ゴジラシリーズ”が始まると、また穏やかなモスラに戻る。
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そして、ゴジラの冬の時代に突然、レジェンダリー版『ゴジラ』が登場する。
曇天から突然に陽光が差し込んだような気分だった。
モンスターバースの記念すべき一作目。
思っても見ないアメリカでの復活に喜んだ。
ゴジラ単体での登場のように予告編では思わせておいて、新怪獣ムートーの登場というサプライズが用意されていた。
が、公開初日、終演後は混むからと早めにプログラムを買いに訪れた物販コーナーでブリスターパックのフィギュアセットにムートーが納められているのをしっかりと見てしまった。
映画館のせいで、軽く興醒めだ。
2回目に見に行った時には、そのブリスターパックの見本には、ムートーのところに見えないようにネタバレ厳禁のシールが貼り付けてあった。
出来れば公開前に、それがネタバレだと気付いて対応して欲しかったと思う。
その点、本作後に公開された東宝版ゴジラの復活作『シン•ゴジラ』では、ネタバレ防止は徹底されていて、嬉しかった。
レジェンダリー版は、東宝版VSシリーズをまんま引き継いだ作風で、それが良かった。
本作より、現在の“ゴジラ”ムーブメントが本格化する。
そして、本作に続き、モンスターバースシリーズの2作目として登場したのが『コング』であるが、エンドタイトル後の壁画でゴジラだけでなくモスラ、キングギドラの存在も暗示された時には映画館の暗闇の中で胸が高まったな。
そして、『キング・オブ・モンスターズ』。
昭和のキングギドラ初登場作品である『三大怪獣』をモチーフとしている作品だ。
もちろん小美人は出てこないし、キングギドラはすでに地球に現れた後の設定だ。
そして、最大の差はラドンの大活躍。
『けものフレンズ』から引用された“ゴマすりクソバード”の称号まで与えられ、SNSで大バズり。
ラドンは欧米で結構知名度が高く、スティーブン•キングの『IT』でも少年の1人のトラウマとして登場しているし(映画版ではペニーワイズのみに焦点が当たっているが、分厚い原作版ではラドンの他にも狼男とか色々なトラウマの素が登場する)、確かエリザベス女王が来日した時のコメントの中に、幼いチャールズ現国王とテレビで『ラドン』を見たというのがあった。
また、翼がデカいキングギドラのデザインが美しかった。
CGが見事で、予算があるって素晴らしいことだな、、、と思った。
(その後、『ゴジラ-1』で、予算がなくとも世界は傑作を認めるということを証明したが)
『ゴジラVSコング』
それまでのモンスターバースの3作に比べ、突然に娯楽色が増した作品。
これが狙いなのか、偶然なのかは分からないが、アメリカではコロナ明けの時期に重なり、当初、配信中心で映画館での上映は添え物だったはずが、映画館に観客が集まりヒットしたと記憶している。
確かに、本作は大きなスクリーンがよく似合うジェットコースタームービーに仕上がっている。
地底世界へ突入するシーンやら、最終決戦場となる香港のイルミネーションの派手で綺麗なこと。
さらに、テンポがあって派手だから、多少の安直な展開も、まぁいいかと横に置いてしまう。
“ゴジラ”と“コング”の雌雄決定戦も、“ゾイド”系メカゴジラの乱入で有耶無耶にしてしまう。
ここで、次回作決定と思いつつエンドクレジット後の映像を待っていたら無し。
げ、、、これでシリーズ終了か?と心配したが、自作が公開されて良かった。
『ゴジラ×コング 新たなる帝国』。
最新作である。
『ゴジラ-1』とは真逆で、判断な予算をCG、海外ロケにつぎ込み、人間ドラマを極力抑え、ド派手な場面の連続で客を魅了する。
ジェットコースターのテイストは加速しまくりである。
もう、考察なんてものは劇中になく、予定調和でどんどん話が続いていく。
特に私が面白かったのは、古代の石碑に書かれた文言が、なんの捻りもなくそのまま起こり、救世主とされた少女が進むとあっさりモスラ復活。
なぜ封印されたか、なぜ復活したか、ま〜ったく説明無し。
復活の映像が綺麗だし、ここでモスラが復活しなきゃ話が進まないよな、、、という感じで、客席であっさりと受け入れてしまう。
モスラ好きの私としては、卵→幼虫→蛹→成虫とたっぷり見せてもらいたいところだったが、それを全部やるには尺が足りなかったんだろうなと推察。
そして、私が好きだったのは、言葉はなくとも、コング、そして、ゴジラの感情、会話が伝わってくるところ。
正直、怪獣好きの私にはとってつけたような人間ドラマは要らない。
本作は、そんな期待に応えてくれる。
3画面で楽しめるスクリーンXでの鑑賞がわたしとしては、お勧め。
そして、Apple TVではテレビシリーズの『モナーク』が登場した。
このためだけに、Apple TVと契約しましたよ。
配信戦国時代で、各配信チャンネルが、それぞれに目玉を繰り出してくるから、財布に痛い。
実は、あまり期待していなかったのだけれど、これがしっかりとした作品だった。
どうせ、ゴジラは振り程度にしか出てこないだろうと思っていたらば、要所要所でしっかりと出てくる。
さらに、地下世界の設定がややこしくなったな、、、と思っていたらば、しっかりと『ゴジラ×コング』にもその設定は受け継がれ、地下世界が単に地底に広がっているだけではない未知の世界に変わっていた。
未知で探索領域が少ないということは、続編を作るネタも沢山あるということだね、、、と心の中で喜ぶ。
ストーリーは、モンスターバース1作目の『ゴジラ』の後の時間軸で、親子3代に渡る過去と現在が交差するミステリー仕立てになっていて、引き込まれる。
導入の舞台が新宿で、土地勘のある私には嬉しかった。
明示はされていなかったが、どう考えても西武新宿駅(メチャクチャ近未来的な装飾だったが)が出てきたり、新宿三丁目駅がシェルターの入り口になっていたり、ストーリーそっちのけで喜んだ。
ゴジラ回顧録 奈良原透 @106NARAHARA
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