ゴジラの時代〜VS定着•平成期

私が成人を迎える年、1984年にゴジラの復活。


嬉しかった。


コンテンツビジネスと言うのは発達していなかった当時で、長期のキャラ物というと日本ではフーテンの寅さん、海外では007くらい(ジェイソンもキャラ物か?)。


海外ではアベンジャーズ、ジャスティス•リーグ、モンスター•バース、日本では戦隊物+仮面ライダー、ドラえもん、ポケモン、コナンなどのシリーズ物が間をおかずに公開される現在からは想像できないだろう。

(間を置かなすぎて着いていくのに精一杯、かつ、乱発でパターン化してしまったと言う弊害はあるけど)


そんな中でのゴジラの復活は、ゴジラを求めている人々が多いという証明でもあり、嬉しかった。


1984年と言えばバブル景気に向けて世の中が派手になっていき始めた時期。


あのド派手な開会式で度肝を抜いたロスアンゼルスオリンピックの開催された年だ。


この頃から世界的に派手さを追求する傾向が強まり、特に日本経済はその後に手痛いしっぺ返しをくらうバブル期に突入していくのであるが、“ゴジラ”も例外に漏れず、ド派手な宣伝を繰り広げた。


着ぐるみ以外にサイボットゴジラという機械仕掛けのゴジラが作成され喧伝され、CMにも登場し、また、カメオ出演を含め、錚々たるメンバーの登場など。


当時できたばかりの有楽町マリオンが破壊されるということもアナウンスされた。


まあ、その結果は、作品を見ていただくとして、結局、3度、劇場に行きました。


ショッキラス、、、


スーパーX、、、


帰巣本能、、、


そして、大森一樹監督が登場する1989年、平成元年の『ゴジラVSビオランテ』。


私は快哉を叫びました。


いや、面白かった。


ラストの沢口靖子のアップには、身体が固まった。


けれど、本作で提示されたG細胞という存在が、その後の作品に影響を与える。


スペースゴジラ、オルガは直接的にG細胞由来の存在だし、他にもゴジラの細胞を元にした設定はしばしば登場し、作品世界を広げている。


直近では『ゴジラ-1』のラストの解釈にも影響している。

(山崎監督はインタビューでその点については語らないとされていたけれど)


冷静に平成ゴジラのラインナップを見てみると、“ゴジラ”、“キングギドラ”、“モスラ”、“メカゴジラ”は昭和ゴジラの立役者、タイトルとなった新怪獣は“ビオランテ”、“スペースゴジラ”、“デストロイア”とゴジラの細胞•オキシジェンデストロイヤーという昭和作品由来の怪獣が並び、昭和期、特に前半の作品の影響力が感じられる。


“ラドン”、“モゲラ”(『地球防衛軍』)もまた、昭和の作品からの登場である。


そう考えると、平成ゴジラは、私のような昭和ゴジラを愛した者のノスタルジーと、平成で新たにゴジラに触れる若い観客の双方に向けたシリーズだったのだな、、、と思う。


タイトル外の新怪獣としては、ショッキラス、バトラになるが、私はバトラが好きで、『ゴジラVSモスラ』のみの登場ではもったいないな、、、と感じる。

(キングギドラの素、ドラットは、怪獣になるのだろうか、、、ペットだからならないよね、、、)


ゴジラ平成 1984ー2004


『ゴジラ』

本作が作られたおかげで、ゴジラ映画が復活した記念碑。


また、2作目から前作までの物語が全てチャラで一作目からの直接の続編という設定も、ミレニアム期に影響を与えた。


考えてみれば、昭和期は大雑把な流れだけで細かい設定は要求しないおおらかな時代であったということか。


『ゴジラVSビオランテ』

私は、本作が好きだ。


冒頭からのテンポの良さ。


戦闘シーンの重厚さ。


三枝未希という秀逸な設定の役。


言うまでもなく、本作のみでなく次作以降も登場し、シリーズに一本の筋を通すとともに、他の怪獣映画にも影響を与えた登場人物である。


『ゴジラVSキングギドラ』

やはり“キングギドラ”は美しい怪獣だと、しみじみと感じた作品。


『バック•トゥ•ザ•フューチャー』?

『ターミネーター』?


と首を傾げる部分はあったけれど、北海道の原野•新宿の高層ビル群での決闘はお見事。


また、過去シーンのゴジラサウルスにまつわるエピソードは好きだった。


『ゴジラVSモスラ』

本作は、冷静に見直すと深いテーマを抱えた作品である。


共に地球を守護する存在であるが、“モスラ”は人類を肯定し、“バトラ”は人類を地球を害するものと否定し、両者はぶつかることになる。


そこへ、共通の敵である“ゴジラ”が現れ、両者は共闘する。


そのため、人類が地球にとって善か?悪か?という大きな問題が、ゴジラの登場によりサラッとうやむやになってしまうのであるが、もし、ゴジラが現れなかったら、どちらに軍配が上がるのか?そして、それが正解なのかと、いまだに考えてしまう。


本作で、バトラは幼虫から成虫にフラッシュと共に変体するのであるけれど、デザイン画のみ存在する繭の状態は画面で見たかった。


『ゴジラVSメカゴジラ』

メカゴジラが人類の兵器として登場。


ラドンもスタイリッシュにデザインを変え登場。


ゴジラが托卵することに驚く。


そして、ベビーゴジラという新たな存在の登場。


確かにミニラよりゴジラの子供時代として説得力があるなと納得。


ベビーゴジラも三枝未希とともにシリーズをつながる存在となる。


『ゴジラVSスペースゴジラ』

宇宙からゴジラ細胞由来の怪獣登場。


本作では、私は“モゲラ”の登場が嬉しかった。


ゴジラシリーズ以外にも東宝の特撮映画は多く存在し、その中の一本『地球防衛軍』に登場する宇宙人ミステリアンの侵略兵器“モゲラ”は、デザインがカッコよく好きだった。


そして、爬虫類色が強かったベビーゴジラが、愛くるしいリトルゴジラに成長。


生物の成長を考えると見た目的にはリトルの方が赤ん坊に近い気もするが、深く考えないようにした。


ベビー、リトルともに人気が高く、それぞれの支持者がどちらがいいか議論する場に何度か居合わせたことがある。


『ゴジラVSデストロイア』

“ゴジラ死す”という煽り文句が刺激的だった作品。


その結果は本作のラストを観た方ならばお分かりだと思うが。


本作の白眉は、やはり“バーニングゴジラ”だろう。


そのビジュアルは、ゴジラの表皮に対し固定観念を持っていた人間には衝撃だった。


香港の場面は美しかった。


この“バーニングゴジラ”は、人気が高い。


レジェンダリー作品『キング•オブ•モンスターズ』のクライマックスも、もろ“バーニングゴジラ”だったものね。


“ゴジラ”が核の脅威のメタファーとして登場したということを、“バーニングゴジラ”が現代的にアップデートして提示してくれたようにも思う。


かつては核実験に対する危機感だったが、現代では原子力発電所の事故に対する危機感の方がより現実味が高い。


ラストの場面でその後を予感させつつ、トライスター版にバトンを渡し、世の中はしばらく“モスラ”の時代となる。





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