ゴジラの時代~時代の変遷・昭和期

ゴジラの姿・あり方は時代とともに変わっていく。


制作年次からザクっと分けるならば、現時点で以下の4時代に分けるのが妥当だろう。


(1998年のトライスター版「ゴジラ」に関しては、日本の学者にゴジラではないとされ(『ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃』)、❝ジラ❞という呼称になってしまったため(『ゴジラ FINAL WARS』)、ここでは別扱いの❝亜種❞とする)


・ゴジラ昭和 1954ー1975


・ゴジラ平成 1984ー1995


 (*1998年 ジラ NYに現れる)


・ゴジラミレニアム 1999-2004


・「モンスター・バース」始動・「シン・ゴジラ」以降 2014~


ゴジラ平成といっても、その期の1作目『ゴジラ」は、1984年公開でまだ昭和だが、自作の『ゴジラVSビオランテ』から平成になるので、平成に纏めさせていただいた。


この期はVSシリーズとも呼ばれるが、一作目のみ単体(ショッキラスというオマケはいるが)なので、平成とする。


4~10年のインターバルを挟んでゴジラ作品は展開されているわけだが、その作品のテイストと共にゴジラファンの認識も変わっていくのが面白い。


昭和期からずっとゴジラを追いかけていたおかげで、歳の離れた若いオタク仲間と知り合い、ゴジラの話題で意気投合することも多いのだが、最初に見たゴジラ作品でゴジラ観が変わってくるのが面白い。


私が初めて❝ゴジラ❞作品を映画館で見たのは、小学1年生の夏休み、1971年に子供向け❝東宝チャンピオンまつり❞の一本として新作披露された『ゴジラ対ヘドラ』だった。


余談になるが、当時は現在のシネコンのような指定席はあっても一部だけで、チケットを買ったら自由に場内に入り、人気作で席が埋まっていたら立ち見し、誰かが立ったらそこに座るというのが当たり前だった。


この時も、開映時間に少し遅れて、混雑する場内に入り、しばらく立ち見をし、途中で空いた席に座ったのだけれど、大人の間をすり抜け、見上げたスクリーンにシャーレに入ったオタマジャクシ状の幼体ヘドラが映っていた時のことは、50年以上経った今でも鮮明に覚えている。


暗闇の中、鮮明に浮かび上がる映像、耳に響く音響。


それまでも映画館に行ったことはあったが、この『ゴジラ対ヘドラ』を見た小学一年生の夏の衝撃が、後年の私に大きな影響を与えたのは間違いがない。


上の時代分けで考えると❝ゴジラ昭和期❞の後半から私のゴジラ人生が始まったわけである。


❝ゴジラ昭和期❞はエポックメーキングであった初代の登場から始まり、黎明期ということもあり様々な試行錯誤が行われた時代だと思う。


未知の脅威としての存在から、キングコング・モスラ・キングギドラといったライバルと闘う怪獣の中の一存在、子供の人気がすごいということで子供はできるは、おどけるは、人気テレビ番組の主人公の所作を真似るはと次第に擬人化された茶目っ気も出し、顔も柔和になる。


『三大怪獣 地球最大の決戦』でラドンと共に小美人(後年、コスモスとも呼ばれる双子の妖精)に説得されキングギドラと闘って以来、人間の味方としての側面を強くしていく。


この昭和期の後期は、❝ゴジラシリーズ全体を通しての❞異色作『ゴジラ対ヘドラ』を除き、大人の考えた子供が喜ぶ要素が次第に大きくなるのだが、得てして子供はその大人の魂胆を見抜くものであり、それが昭和期終焉の一因にはなったと思う。

(この傾向がさらに顕著だったのが❝ガメラシリーズ❞で、後半の作品は子供の見方を打ち出し過ぎて失速し、復権は金子修介監督の登場を待たねばならなかった)


吹き出しでゴジラとアンギラスがしゃべったり、ロボットが脈絡もなく巨大化したり、海底王国の怪獣が虫型だったり、、、


この時期量産されていたテレビでやっている特撮番組でも子供だましのトホホな展開は多かったのだが、一年に一作公開される❝ゴジラ❞でそんな生ぬるいことをして欲しくなかったのは事実だ。


まあ、ここまで書いて、これは❝ゴジラシリーズ❞だけではなく、特撮全般に言えて、量産された上に、子供向けという言葉で隠した安直な子供だましが横行したから、第二次特撮ブームは終わり、『宇宙戦艦ヤマト』、『銀河鉄道999』、『機動戦士ガンダム』といったアニメブームに取って代わられちゃったのかなと思う。


もちろん、子供心に軽い幻滅は覚えたものの、“ゴジラ”好きという根本には揺らぎがなかった。



ゴジラ昭和 1954-1975


『ゴジラ』 

金字塔と言える作品。

平成以降のファンで本作を見ていない方も多いのだけれど、その後に与えた影響、そして、大戸島、オキシジェンデストロイヤー、機龍の骨etc本作に起源を発する小ネタも多いので、ぜひ見て欲しい。


『ゴジラの逆襲』

アンギラスとの死闘場面は、ゴジラ作品飲みならず、特撮黎明期の試行錯誤を知ることが出来る。


『キングコング対ゴジラ』

前作でもアンギラスと戦ってはいたけれど、いわゆるVSシリーズに繋がる怪獣プロレスの原点。


『モスラ対ゴジラ』

単品作品から“モスラ”登場。

本作のモスラと双子の幼虫の触れ合いが、この後の怪獣擬人化の原点のようにも思う。

モスラは、トライスター版ゴジラの期間に東宝特撮を支える。


『三大怪獣 地球最大の決戦』

キングギドラの初登場シーンは何度見ても感動。

現代のCG技術でこの場面を再現してもらえないだろうか。

キングギドラという宇宙からのヒール登場で、ゴジラは人間の味方という役割を担い始める。


『怪獣大戦争』

ゴジラ、宇宙へ。

そして、X星人登場。

ゴジラとラドンが円盤で宇宙に運ばれる場面は興奮した。


『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』

エビラ、モスラが登場。

後にデカい伊勢エビなどと揶揄する人もいたが、映画館で見た時の迫力は忘れられない。

そして、タイトルに出てきたモスラ、、、あまり活躍せず残念。


『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』

ラストシーンが私は好き。

『巨人の星』がヒットした時代を反映してか、ゴジラが教育パパに。

小学生の頃は好きな映画、成人してビデオで見た時には子供騙しの映画、最近はノスタルジーも含め愛すべき一作と、年齢により好き嫌いが変化した作品。


『怪獣総進撃』

これは、思い入れのある作品。

一本にあれだけ怪獣が出てくるなんて、子供にとって、贅沢な一品。

さらに、私の住んでいた地域の児童課がフィルムを持っていたのか、小学校や児童館で催された映画鑑賞会でなんども上映された。

私にとって初のリピート映画であった。


『ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃』

この作品に関しては、評価が別れており、私もいろいろと思うところはあるが、やはり映像の使い回しは子供心に寂しかった。


『ゴジラ対ヘドラ』

ハードテイスト。

前述のように、映画館での初ゴジラだったので、思い入れはあるし、作品的にもクオリティは高いと思う。


『地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン』

ガイガン、初登場作品。

当時の子供心には、近未来的なデザインで好きだったが、お腹のノコギリ攻撃が、怖かった。


『ゴジラ対メガロ』

マンダ・轟天の出てくる『海底軍艦』が大好き(特にラストシーン)だったので、本作のシートピア海底王国がムウ帝国に重なる。

当時、『海底軍艦』のムウ帝国が滅亡せずにシートピア海底王国になったという記事を読んだ気がするが、長じて調べると、ムウ帝国は名前の通りムウ大陸の末裔、シートピア海底王国はレムリア大陸の末裔ということで、関係ないらしい。

メガロのデザインは好きだったのだが、海底王国の怪獣ならマンダタイプにして欲しかったなあ、、、と言うのは、子供の頃から一貫して変わらない。


『ゴジラ対メカゴジラ』

メカゴジラというアイデアは、お見事だったなと思う。

メカニコング(『キングコングの逆襲』)という前例はあるけれど、最初にゴジラの皮を被り、それが剥がれて機械の内部が見え、全身を表す演出は見事だったし、造形もカッコよかった。

メカゴジラは、その後もVSシリーズ、そして、機龍に続き、海外のレジェンダリー版にまで進出する。

お見事な活躍だ。


『メカゴジラの逆襲』

この作品は、ゴジラとメカゴジラ、チタノザウルスの戦いよりも、ヒロインの存在が、子供心にただただ悲しかった記憶がある。

映画館とはいえ、家族に涙を見られるのが嫌で、必死に涙を堪えた記憶が。

この作品で、昭和ゴジラは途絶えるのだが、子供の私は、そんなことは知らず、当然に翌年もゴジラの新作を見ることができると信じていた。


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