ゴジラ回顧録
奈良原透
1971年という時代〜ゴジラは別格だった。
最近、ゴジラが熱い。
嬉しいことだ。
『ゴジラ FINAL WARS』で一端の終止符が打たれた後、一部からはオワコン扱いされ悔しい思いをしていた私としては、レジェンダリー版の登場、『シン・ゴジラ』の大ヒットあたりからしっかりと復権してくれたのが嬉しい限りである。
それにしても、あの頃、❝ゴジラ❞をオワコン扱いしていた方々はどこへ消えたのだろうか…
私は、第二次特撮ブームの始まりと言える『仮面ライダー』、『帰ってきたウルトラマン』放送開始の1971年4月に、幼稚園から小学校に上がるという一大イベントを迎えた。
その第二次特撮ブームの中で、過去の特撮作品も子供向け雑誌で大きく紹介され、怪獣百科などの書籍も次々刊行された。
小学校という人間形成の時期を怪獣と共に過ごしたといえる。
その中で、❝ゴジラシリーズ❞は、他のシリーズとは別格の印象だった。
例えば、❝ウルトラマンシリーズ❞は、本放送の『帰ってきたウルトラマン』だけではなく、過去作である『ウルトラQ』、『ウルトラマン』、『ウルトラセブン』の再放送も頻繁にされていたし、『ウルトラファイト』という過去映像のダイジェスト、着ぐるみによる寸劇で構成された短い番組も帯で放映されていた。
『仮面ライダー』は社会現象にまでなり、カード付きのライダースナックといった今でいうコラボ商品により、身近な存在であった。
それ以外にも、『ジャイアントロボ』、『仮面の忍者 赤影』、たまに『キャプテンウルトラ』などが、朝、夕方、そして、夏休み、春休みの午前中に毎日、放映され、テレビで放送された特撮シリーズは、子供たちにとって身近な存在だった。
が、❝ゴジラ❞シリーズは映画作品ゆえ、たまのテレビ放送を待たなければ動く彼らに会えない。
出版されているゴジラ百科のような本を友達同士で回し読みをし、そこに使われている写真がどのように動いているか想像するしかなかった。
私の中の強烈な思い出は、持っていたゴジラの本に載っていたモノクロのミニラ誕生の場面。
タマゴに群がるカマキラスからミニラの誕生まで、小さな写真が並び、最後にミニラの上半身が大きく載せられ、❝カマキラスに襲われる!❞というようなキャプションが添えられていた。
言わずと知れた『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』の一場面であるが、何度も何度も見直したこの場面を、映画館で初めて見たときの感動、喜びと言ったら、、、
子供心に鮮烈に刻まれた。
このようにビデオのない時代、ゴジラの映画を見ることは本当に貴重な機会で、それ故、❝ゴジラシリーズ❞は、私の中で特別なものと化していったのである。
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