白39




「おはようございます」


「おはようございます」



決まった時間に目を覚まし、朝の挨拶を交わす。


シャワーを浴びに行く。身体を隅々まで綺麗に洗って清潔に保つ。



「寝ている間に溜まってしまった毒素は全て絞り出してしまいましょう。1番汚れているところはお口で洗わないといけませんね」



外側だけでなく身体の内側も綺麗にする。溜まった不純物は綺麗さっぱり吐き出してしまう。


シャワーを終えてスッキリしたら、服を着て身嗜みを整える。シワのひとつもない綺麗な学生服に身を包む。


艶々の肌でエプロンを身につけ、後ろ髪を結ってポニーテールにしながらキッチンに向かう那由多。朝食の準備を始めた、その背に声をかける。



「何か手伝えることはある?」


「気遣い出来て偉いですね正義くん。でも大丈夫ですよ。テーブルについて待っていてください」


「はい」



大人しく椅子に座り、手際よく調理する那由多の後ろ姿を眺めて過ごす。


しばらくして朝食の支度を終えた那由多は椅子と椅子をくっ付けて、俺の隣にピタリと寄り添い腰を下ろした。



「いただきます」


「いただきます」



不純物など一切ないかのような那由多手製の真っ白な食事にありつく。



「いつも美味しいご飯をありがとう那由多ちゃん」


「はい。どういたしまして」



掛け値なしの感謝の言葉に柔らかな微笑みで返される。


返答はどうあれ、思った事はしっかりと言葉にする。思っているだけでは相手に何も伝わらない。言葉にして口から出すのは大事なことだ。



朝食を終えて歯を磨く。しっかり綺麗に隅から隅まで磨きあげる。



「ちゃんと歯磨き出来たかチェックしますね。はい。お口を開けてください。あー……んっ、ちゅっ」



口を開けると覆い被せるように口と口が重なった。ぬるりと口内に滑り込んでくる那由多の舌が、磨いた歯の1本1本を念入りに舐めまわしてチェックしてくる。歯磨きの仕上げはいつもコレだ。


チェックを終えて口を離し、垂れた涎は丹念に舐め取られる。



「ちゃんと磨けているようですね。よく出来ました」


「それじゃ今度は俺の番だね」


「はい。よろしくお願いします」



口を開ける那由多に自分の口を重ねて、那由多のした行動を繰り返す。歯磨き直後の口内はスッキリとしたミントの味がした。



「那由多ちゃんは今日も綺麗だね」


「はい、ありがとうございます」


「愛してるよ」


「そうですか」



今度はなんの意図もなく、純粋に口付けを交わす。満足するまで唇の触れ合いを繰り返した。



家を出て学校を目指す。指と指を絡め、腕を組んで寄り添って歩く。まだ少し早い時間帯、通学路の生徒はまばらだが、那由多の美貌は否応無しに人目を引いた。当然その隣の俺にもその視線は向けられる。


一時前ならいざ知らず、今はそれなりの見てくれにはなった。元はそこまで悪くはなかったようで、磨いてそこそこ。超絶美少女の隣では見劣りはするが、ギリ許容範囲というところだと思う。


釣り合ってないと言えばそれまでだが、今じゃお馴染みの光景になっているので、ギャーギャーと騒がれることも無くなった。


とにもかくにも那由多の隣に居て恥ずかしくないように自分を磨いていかなければならないと思ってる。




授業は真面目に受けて勉学に励む。下の上ぐらいだった成績もだいぶ上がった。テストの順位も1桁台に入ることが多くなった。常に1位の天使様に比べればまだまだで大きな隔たりはあるが。


授業の合間の休み時間には率先して教師陣の手伝いやら、クラスメイトとのコミュニケーションをはかり、何か困ってることは無いか等の相談に乗るようにした。ただし男子限定。女子と会話すると隣に控える那由多に……それはとりあえず置いておく。



「ーー実は最近、幼なじみと付き合うことになってな」


「そっか、おめでとう翔くん」


「あっ、ありがとう……。んで、女子と付き合うとか初めてだからさ。ちょっとどうしたらいいか分かんなくてだな。どうすりゃいいの?」


「なるほど。とりあえずーー」




などなど。




昼休みは当然のように那由多と一緒に那由多手製の無駄に白い弁当を食べる。

「はい、あーん」



というか食べさせられる。


すっかり日常の一風景と化した光景をクラスメイト達はいつもお熱いことで的な呆れられた視線を向けてくる。もう慣れた。




午後の授業を終えて放課後。ボランティアなどといった慈善活動に従事した。


校内清掃、ゴミ拾い。花壇の世話やら、困ってる人の手伝いやら、多岐にわたる。それは校内だけに留まらず近隣の商店街や老人ホームなどでも人の助けな必要な場所で尽くした。


そんなことをしていれば直ぐに日が暮れて、那由多と一緒に帰宅する。



そこから……。






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