白『永続』

白38



【分岐2】








ガチャガチャガチャッバンッ!ガンッ!



扉が吹っ飛ぶ勢いで開け放たれた。



「許されませんっ!」



そして、そこから同じみニコニコ笑顔の超絶美少女が現れた。のっけから何故か呼吸が若干荒く、頬が赤らんで上気している。



「那由多、ちゃん……?」


「会えない時間が想いを育むなどという戯言があったので、試しにと暫く正義くんを放置観察しようと思いましたが、やはり戯言は戯言。空腹は最高のスパイスと言いますが、真に美味しいものというものは、どんなに満腹でお腹いっぱいになっていたとしても美味しいのです。四六時中一緒に居た方が育めるに決まっているでしょうに。もはや、辛抱たまりません。むしろ、だいたい1日我慢したのがよく耐えたと褒めるべきところでしょう!」



うんうんと1人で頷き自己完結している模様。



「あっ、あ、あの……那由多ちゃん、これ、その、えっと……花」


「まあっ!素敵なお花ですねっ!」


「な、那由多ちゃんに……似合うと、思って……プレゼント」


「………………ふぅぅぅ。悪逆非道な正義くんが随分と可愛らしい真似をするでは無いですか。お金を置いておけば全部使い込んでこういったモノを買ってしまうんですね。こうなってしまうのであれば、やはりおいそれと正義くんにお金は渡せないでは無いですか」


「気に、いらなかった……かな?」


「いえいえ。そんなことはありません。とっても素敵な花束をありがとうございます」



白い花の花束を受けっとった那由多はそれをふんわり抱きしめると、まるで花のような満面の笑みを浮かべた。



「というわけでベッドに行きましょうか」



ガシッ!



力強めに肩を掴まれ、ベッドの方へと誘導される。心做しか目が血走ってるような気がした。ご馳走を前にした空腹の白熊のような印象を受ける。


そして、問答無用でベッドに押し倒された。













「…………(ゲソッ)」


「(艶艶々)」



いつものように根こそぎ搾り取られた。まるで雑巾を絞るかのように。ギチギチと一雫足りとも許さんとばかりひねり上げられた。ぺったんこの湿った布みたくなった。


だが、おかげで気持ちがクリアだ。邪念、雑念、全てが取り払われて綺麗な心になった気分だ。



ベッドの上で那由多と向き合わされる。お互い一糸まとわぬ生まれたままの姿で正座した状態で。



「いいですか正義くん」



諭すように那由多は口を開く。



「貴方はどうしようもない悪人です」


「はい」


「貴方は最低最悪の糞野郎です」


「はい」


「貴方は卑怯で卑劣な屑です」


「はい」


「貴方は平気で人を騙す嘘つきです」


「はい」


「貴方は許されていい人間ではありません」


「はい」


「犯したい罪は償わなくてはなりません」


「はい」


「犯したい罪から目を背けてはいけません」


「はい」


「新たに罪を犯してもいけません」


「はい」


「犯した罪は消えません」


「はい」


「犯した罪と向き合い続けなければなりません」


「はい」


「償い続けなくてはなりません」


「はい」


「許されることはありません」


「はい」


「自らの誤ちに責任を取らねばなりません」


「はい」





「正義くん。貴方の犯した罪はなんですか?」





「…………。白井那由多を卑怯な手段で騙して、無理矢理、処女を奪いました」





「貴方はその罪に対する責任をどう取りますか?」





「……分からない」





「貴方が私に与えた 生涯 癒えることの無い傷はどうしたら癒すことが出来ますか?」





「分からない」





「違います」





「…………」





「貴方は分かっています。この傷がどう足掻いても決して癒せぬ傷だということを」





「……はい」




「この傷は……ーー貴方が犯した罪は決して消えることはありません」



「はい」




「だから私は貴方を絶対に許しません」




「はい」




「私は貴方のような悪人が好きではありません」


「はい」


「これから好きになることもありません」


「はい」


「私は貴方のような汚れた人は愛せません」


「はい」


「これから愛することもありません」


「はい」


「許されません」


「はい」


「だから、私に許されるまでずっと償ってください」


「はい」


「好きになりません」


「はい」


「だから、私が好きになれる善人になってください」


「はい」


「愛せません」


「はい」


「だから、私が愛せる綺麗な人になってください」


「はい」


「これからずっと贖い、改め、償い、真っ当に生きてもらいます」


「はい」


「決して許されない罪が許されるまで償ってもらいます」


「はい」


「決して好きになってくれない相手に好意を持たれるようこれからずっと誠実に生きてもらいます」


「はい」


「決して愛されないのに、愛される為に、愛し続けてもらいます」


「はい」





「これが貴方が犯した罪への罰です」








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