紫40
小さい頃の私。
大人しくていい子。
悪く言えば内気で自己主張が苦手で、根暗で陰鬱としていた私はそのせいで友達はまったく居ない。ダメダメな私はいつも一人ぼっちで遊んでた。
そんな一人ぼっちの私はみんなから虐められていた。
何をやってもやり返してこない。言い返してこない。私はみんなの丁度いいサンドバックだったんだ。
「オマエら、ヤメロよ!イジメなんてみっともない!」
そんな私をいつも助けてくれたのが
「大丈夫だ!俺がオマエとずっと一緒に居て、守ってやるから!約束だ!」
嬉しかった。こんなダメな私のことをちゃんと見てくれて、それで守ってくれる。
私が翔くんのことを好きになるのに時間はあまりかからなかった。
それからも翔くんは約束通りずっと一緒に居てくれた。いつも傍で私を守ってくれた。
それで、私も今のままじゃダメだって思った。このままダメな私のままでは居られない。翔くんと一緒に居て恥ずかしくない存在になりたくて、それで自分を変えようと頑張った。
◇
月日は流れて、私と翔くんは高校生になった。勿論、二人一緒に同じ高校に入学した。
ちょっと勉強が苦手な翔くんは受験勉強に苦労したけど、それでも2人で同じ高校に通いたかったから翔くんは頑張ってくれた。
頑張り屋さんな翔くんの事が私は大好きだった。
「私、翔くんのことが好き。もう今のままの関係じゃ嫌なの。だから私と恋人として付き合ってください!」
私から告白した。
鈍感な翔くんは私がどんなにアピールしても反応はイマイチだった。
明るくて正義感が強い翔くんはみんなの人気者だ。翔くんを好きだって言う子はいっぱいいた。
それに危機感を覚えて、他の誰かに取られたくなかったから、だから私から告白した。
「あっ、えっ!?そ、その……俺もオマエのこと……その、なんていうか、好き?だから……えーっと、よ、よろしくお願いします!」
照れたように笑う翔くんはちょっとだけ可愛かった。
こうして私と翔くんは付き合うことになった。
翔くんは私を選んでくれた。嬉しかった。
「これから2人で楽しい思い出いっぱい作ろうね!」
幸せだ。大好きな人と一緒になって、これからもずっと一緒にいられる。
きっとこんな幸せな日々がずっと続いていく。
楽しい高校生活を送って卒業したら、一緒の大学に行って、社会人になって、それで結婚して、子供も出来て、おじいちゃんおばあちゃんになっても、ずっと仲良くて。
そんな幸せな人生が続いて行くんだ。
ああ、わたし、しあわせだ。
かけるくん。だいすきだよ。
「やめろォオオオオッッッ!!!」
かけるくんのこえがきこえる。
あれ?わたし、いま、なにしてたんだっけ?
「頼むッ……!もうやめてくれっ!なんでこんなことするんだよ!お願いだ……!もう、もう……やめてくれっ!」
あたまがふわふわする。
なんだろ。これ。
すごく、きもちいいな。
「かけるくん、これ、みてぇ。これ、すっごくきもちいいの。かけるくん、のなんかより、とっても、きもちいいの」
「ああっ……あああ……ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ッッッ!!!」
かけるくん?
なんでないてるの?
こんなにきもちいいのに。
おかしいなぁ。
あれ?
わたしもないてる?
なんで?
こんなにきもちいいのに。
なんでないてるんだろ?
あっ。
そっか。
きもちいいから、ないてるんだ。
かけるくんもきもちいいんだね。
きもちいいから、ないてるんだね。
うれしいな。
それなら、もっときもちよくならないと。
「はひッ……はははっ、ハハハハハハハハッ……!」
「あっれぇ?彼氏くんの方も壊れちゃったかなぁ?目がイッちゃったね?うわっ、そんなヨダレたらして……イイ表情だね!素敵っ!」
「こっちも、もうダメだなコレ。完全にイカれた。薬の量が多すぎたか?おい、村崎。また新しいの探しに行くぞ」
「ちょっと待ってねぇ。動画編集して那由多ちゃんに送り付けるから……はい、おっけー!んじゃ、行こっか黒田!」
あれ?
もうおわり?
きもちいいのおわり?
もっといっぱいしたいのに。
あっ。
かけるくんがいる。
かけるくんでいっか。
「あれ?かけるくん?あんまりきもちよくないよ?ねえ。もっとがんばって?かけるくんはがんばりやさんでしょ?ほら、ねえ。もっとがんばって?ねえ?ねえ?ねえ?」
「……………………」
これからもかけるくんとはいっしょ。
ずっといっしょ。
ああ、しあわせだな。
こんなしあわせがいつまでもつづきますように。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます