紫39
「村崎。那由多は……何処だ?」
「那由多ちゃんには今おねんねしてもらってるよ。邪魔されない様に、ねっ」
「そうか」
「あの天使ちゃんから逃げ出して薬盛るのホント大変だったんだから。かなぁり凶悪な睡眠薬盛ったんだけど……相手はあの那由多ちゃんだし、あんまり時間は無い、かも?ホント、アレ、天使の皮を被った飛んだ化け物だよねぇー」
「あぁん?那由多はどっからどうみても中も外も最高に天使だろ。ぶっ殺すぞ、テメェ」
「あはっー♡ヤダー!こわぁいっ!過激派拗らせガチ恋勢超キショいんですけどっ!」
ケラケラと笑いながら村崎はしなだれかかってくる。
やっと見つけた宝物を愛でるように、村崎の指が俺の胸をなぞり、首を履い、顎に触れて、頬を撫でる。
「零菜ね……。本当はね。ずっとアンタに期待してたの。アンタの心の奥底には零菜好みのドロっドロっのコールタールみたいな、粘着質で、汚ったなくて、くっさーい、最悪な感情が燻ってるの知ってたの。アンタはそれをずっと馬鹿みたいに押し殺してきた。全部、ぶちまけて、気持ちよくなっちゃえばいいのにって、ずっと、ずっと、思ってたの」
ぴたりと張り付いて全身で絡みつかれる。
「やっと壊れちゃったね」
村崎は恍惚とした表情を浮かべながら、俺の太ももに下半身を押し付け、上下に擦り付ける。
「ほらほらっ……。アンタ、零菜に も したかったこと……あるでしょ?」
確かに、それをしたいと思ったことはあるが。するまでの相手じゃないとも思っていた。
だが、もう関係無い。止める理由も、止まる理由も無い。
「ヤッちゃえ黒田。わからせちゃえ」
ブツンッと俺の中で何かが切れた。
染まる。黒く。黒く。染まっていく。
衝動の赴く間に、村崎の首を掴んで引き離し、力任せに床に叩きつける。
「ぐげッ」
潰されたカエルのような声を漏らす様は実に滑稽で、嗜虐心を掻き立てる。
俺は仰向けに倒れた村崎の腹部を容赦なく踏みつけた。
「お”ぐぅッ」
そして、命じる。
「脱げ」
「ヤダッ♡」
即拒否。村崎はニンマリと口元を歪めて挑発するように拒否。ふざけやがって。
華奢な身体に馬乗りになる。村崎が着ていた服に手をかけ乱暴に引き裂き、最後の1枚まで残らず全て剥ぎ取る。
「やあだぁー!おねがぁい、おねがぁい、ゆるしてぇー?らんぼーしないでぇー♡♡♡」
あからさまに巫山戯ている事が分かる演技がかった口調で、煽られる。 非常に癪に障る言動だが止めるつもりは無い。
化け物のまぐわい。
「ああ……いたい、いたい……。イイ……すごくイイ。さいていさいあくのはつたいけん……すごくイタくて……最高に気持ちイイッッッ!!!」
一方的で暴力的な行為。ただ自分が気持ちよくなるためだけの身勝手な行い。なのにも関わらず村崎は終始、嬉しそうな悲鳴を上げ続けた。
◇
真っ白だ。
誰よりも何よりも、白い。
この世のありとあらゆるモノ。
その全てよりも、白い。
白く。
綺麗で。
美しく。
万物の頂点。
唯一無二の絶対的な、白。
果たして、
それに対抗するにはどうしたらいい?
それを穢すにはどうしたらいい?
それをどう壊してやればいい?
それをこの手で染め上げるにはどうしたらいい?
染まれ。
黒く、染まれ。
より黒く。
暗く。
全てを呑み込めるほど、漆黒に。
あの絶対的な極光の白き化け物を喰らい尽くせるほどの邪悪で醜悪な黒き化け物となれ。
染まれ、染まれ、染まれ。
黒く染まれ。
全てを黒く塗りつぶして。
絶対に、手に入れろ。
◇
「きゃはっ♡うんうん。よく撮れてるっ♡」
「何見てんだ、それ」
「さっきの素人JK無修正生ハメ生出し初体験ハメ撮り動画!んふふっ、これを編集してビデオテープに焼いて那由多ちゃんに送り付けちゃおっ」
「……ビデオテープって、なんだ?」
「えっ?知らないのー???NTRビデオレターって言えば分かる?有名でしょっ?」
「いや知らんが」
「うっそー!?まぁ、いっか。気になるなら自分で調べて?うーん。タイトルはどうしよっかなぁ。『くろちゃん×れいな♡初体験記念♡』とかでいいかな?いやーんっ!なにそれイタすぎっ(笑)でも、これで脳ぶっ壊れちゃうかな?たのしみっ」
「ああ……。それは、楽しみだな」
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