19



紆余曲折あったがバイト最終日、終了。



「私の黒田くんが今まで大変ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。ほら、黒田くんもごめんなさいしましょう」


「申し訳ありませんでした……」


「いや、そこまで謝ってくれなくて大丈夫だよ。うん。なんていうか……お疲れ様、黒田くん。あといろいろと……頑張って?」



心配された。この店長、いい人だったなぁ。


聖女様と一緒に深々と頭を下げて店長にごめんなさいした。店長はとても苦笑いしていた。いやホント申し訳ない気持ちでいっぱいである。主にこの女を連れてきたことに対する申し訳なさである。



「それでは帰りましょうか黒田くん」



それが当然だと言わんばかりに、俺をタコ殴りにした腕を絡めて密着してくる。デカチチむにゃり。やわらかい。相変わらずミルクみたいな甘ったるい良い匂いがする。それに伴ってボコボコにされて、しこたまビンタされたつい先程の記憶が蘇る。情緒がぐちゃぐちゃだよ。



「ふぅ……。少々、体を動かしたので血が滾ってしまいましたねぇ」



おい待て。このクリーチャーなんか物騒なこと言ってないか?不穏なんだが。



「家の近くにコンビニがありましたよね。そこに寄ってから帰りましょう」



コンビニか……。なんの用だろうか。食材は昨日、買い込んでいたから家にあるはずだ。食糧を買う訳では無いと思う。


コンビニに凶器は……売ってないよな?いや、大丈夫だ。家の近くのコンビニには売っていなかった筈。


というわけでコンビニに寄ることになった。






ーーーーー






ドサッ!!!



「……れ、レジ袋は必要でしょうか?」


「あっ、すぐに使いますので必要無いです。このままで大丈夫です」


「か、かしこまりましたー……。お会計10点で10780円になります……」



レジに積み上げられた、箱。『うすぴた』と表記された12個入りの箱である(×10箱)


ナニに使うものかと言うとナニにしか使わないものである。一応、空気入れたり水入れたりして膨らませて遊ぶことも出来るが利用目的はひとつしかないモノである。


12個入り10箱だから……120個か。


どうやら白井はそれをすぐに使うらしい。


会計の際ですら白井はニッコリ笑顔で俺の腕を掴んで離さない。これではそのブツを誰と使うのかすら明白だろう。


店員さんがドン引きしてる。1個、2個だったらまだ可愛げもあったが、このエグい量では可愛げなどあるはずも無く、恐怖すら覚える。



「さあ!早く帰りましょう黒田くん!」



家に帰ると一体何が始まるのか。期待と恐怖が入り交じり、やはり俺の情緒はぐちゃぐちゃである。



そのあとめちゃくちゃぐちゃぐちゃにされた。






ーーーーー






日曜日になった。本日も学校は休みだ。


前日、土曜日の記憶は曖昧で飛び飛びになっている。




『まだ満足していませんね?本当に黒田くんはケダモノですね。どれだけすれば満足するのでしょうか?仕方ありませんね』


『まだこんなに残っていますよ?ちゃんと使い切らないといけません。ほら、がんばれっ♡がんばれっ♡』


『ちゃんと勉強してきました。ここを……こうすると……。まだ元気になりますね!それでは続けますね!』




……………………。



…………とりあえず腰が痛い。


むしろ全身痛い。筋肉痛か?


肉食系大性女様は全体的に引き締まっていて太っているという印象は無いが、胸とケツがデカくて圧倒的質量で押し潰してくる。オマケに体力は底なしで、フィジカルも激強だ。あの細腕の何処にあんな力があるというのか。


ちなみに120個は使いきれなかった。使い切れるわけが無い。残弾的にも、そもそも時間的にも無理だ。



「さて黒田くん!昨日は黒田くんの精で丸1日無駄にしてしまったのが、ヤルことがいっぱいあります!というわけで本日はお買い物に行きますよ!」



元気いっぱい。白井は満面の笑みで宣言する。



「いや無理……まともに歩けない……」



対して俺は子鹿の様に足を震わせていた。まともに立っていることすらキツい。



「ダメです!男の子でしょう?気合いで何とかしてください!」



脳筋かよ。そのデカチチには脂肪じゃなくて筋肉でも詰まってるんか?



「ほらほら。一緒にシャワーを浴びて、服を着て、お出かけしますよ!」



そうして俺はズルズルと引き摺られて行った。











  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る