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「いいですか黒田くん?他人に暴力を振るってはいけません。暴力は振るう側も振るわれる側も痛い思いをします。例えどんなに理由があっても暴力はダメなんです(パシーンッ!)ほら、ね。痛いでしょう?(パシーンッ!パシーンッ!パシーンッ!)痛いですよね?この痛みが人が生きているという証(パシーンッ!)ではなくて、こうして頬を平手打ちにされると痛いです。叩いた私の手も痛いです。された側も(パシーンッ!)した側も(パシーンッ!)痛いんです。だから暴力はいけません(パシーンッ!)どんな理由があっても(パシーンッ!)暴力を振るってはいけないんです(パシーンッ!パシーンッ!パシーンッ!パシーンッ!)」



どの口。


もうしないと約束するので、そろそろ許して貰いたい。



白井に手を出したガラの悪い連中に衝動的に殴りかかった俺。あわや大乱闘へと発展するところだったが……あっさりと大天使那由多様に制圧された。拳で。ボコボコにされた。俺が。


『私の黒田くんが大変ご迷惑をお掛けして誠に申し訳ございません。少々、お説教の方をして参りますのでこの場は失礼させて頂きますね。ほら黒田くん行きますよ(ズルズルズル)』


『…………(虫の息)』


首根っこ掴まれてお外に引きずられていく。


そうして店外に出て大天使様のお説教開始。


そのあとめちゃくちゃビンタされた。


衆人観衆の中、俺は胸ぐらを掴まれて説教されながら往復ビンタである。普通に痛い。とてもいい音が鳴る。手首のスナップ効いてんね。



「ああ、可哀想に。こんなに頬が腫れてしまって。暴力を振るうから、こんな風になってしまうんですよ?簡単に暴力を振るう乱暴者の黒田くん。その行いはしっかりと悔い改めないといけません。やはり私の言った通りでしたね。黒田くんのような社会不適合者がまともにお仕事出来るわけがありません。現にこうして周囲にご迷惑をかけて、どう責任を取るつもりですか?ただ謝れば済むという問題でもないんですよ?一度、ヤッてしまえば、もう取り返しがつかないんです。ちゃんとそのことをその短絡的で考えの足らない程度の低い脳みそに叩き込んで、胸に刻んでください」



くどくどくどくど、と説教を垂れ流しながらもパシンパシンと頬を引っぱたかれる。


心と身体を容赦無くへし折りにくる。しんどい。



「まあ。なんて情けない顔をしているのでしょうか。そんな今にも泣き出しそうな顔になってしまって……(ぞくぞくぞくっ♡)……そもそもの話になりますが、もしかして黒田くんは私があの方達にどうこうされてしまうとでも思ったのでしょうか?それで、もしかして助けに入ったつもりだったのでしょうか?大変残念な話ではありますが、私はあの方達に良いようにされるほど弱くはありませんよ?なんの問題も無かったんです。それなのに危機的なお姫様を守る騎士のように格好つけて割って入って来たんですね?それともアレでしょうか。私が他の誰かに触れられるのが嫌だったのでしょうか?私が手を触れられたら黒田くんは来ましたよね?私を他の誰にも触れさせたくないと?私は黒田くんのモノではありませんよ?それなのに独占欲を丸出しにして醜悪な形相で暴力を振るうなんて黒田くんは本当に気持ち悪いですね。自分が気持ち悪いことをしてるという自覚はありますか?ありませんね?ちゃんと自覚を持たないといけませんよ?自分は最低で気持ち悪くて浅ましい人間以下の下等生物だという自覚を持ってください。いいですね?」



………………。



…………。



……。




ふう……。






「黒田くん「ふう……」じゃないんですよ。何をヤレヤレみたいな感じになっているのでしょうか?地の文だからバレないと思ったのでしょうか?無駄ですよ黒田くんのことは全てお見通しですから」






そこに干渉してくるのは、ズルくない?




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