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「いらっしゃいませっー!」



出来上がった料理を運んできたら、何故か白井が接客をしている現場を目撃した。普段より店内が騒がしいと思ったら原因はコレか。


いつの間にかにしっかり店の制服に身に付けている白井。ウチのファミレスの女子制服は可愛いと評判だ。


フリフリピンクのミニスカ爆乳ウェイトレスが誕生していた。それを一目見て控えめにクソ可愛いと思ってしまった。


そんじょそこらのアイドルでは相手にならない程の美少女である白井がデカチチを揺らしながら笑顔で接客をしている。


お陰様で店内は満席。それになんか行列が出来てるが……。ここチェーン店のファミレスだぞ?あんな行列バイトしてて初めて見たわ。


やはり、いろいろと規格外だな、あの女神様は。末恐ろしい。 



「いやー、やっぱり黒田くんの彼女さん可愛いね。こんなお客さん来たの初めてだよ」



俺の隣に店長がひょっこり現れた。感心しつつも白井を眺めながら鼻の下を少し伸ばしていた。



「店長、鼻の下伸びてますよ」


「えっ!?あ、ああ、ごめんごめん……。でもアレは仕方なく無い?」


「まぁ……分かりますけど」



店長の言うアレとは間違いなく白井のデカチチの事であろう。だって歩く度にたゆんたゆん揺れるもの。あんなもの全人類等しく視線を奪われるわ。現に店内に居る男性客だけに留まらず女性客の注目すら奪っている。



「そもそもなんでアイツが接客してるんですか?一応は客でしょう」


「それは彼女たっての希望でね。「黒田くんを見張っている間、席を占領してしまうのもどうかと思いますので、よろしければ何かお手伝いさせて貰えないでしょうか?」ってね。そう言うならと思って接客をお願いしたんだ」



研修も指導も何も受けてない白井にいきなり接客を任せるとは……。この店長も大概だと思った。



「しっかし、最初はちょっと怖いかと思ったけど、黒田くんの彼女さん可愛いしめちゃくちゃいい子だね?ちょっと教えただけで接客もほぼ完璧にこなしてるし要領もいいし。ホント凄いよ。黒田くん、あんないい子どこで捕まえてきたの?」


「そもそも白井は彼女じゃないです」


「えっ!?そうなのっ!?アレで!?」


「アレで、って……」


「いや、だって……ねぇ?」



店長は白井のことを俺の彼女と繰り返す。状況的に見ればそう見られても当然と言えば当然。


だが、俺と白井は恋人同士という訳では無い……多分

。突き合いはしたが付き合いはしてない。身体は交わしたが、そういう言葉を交わしたこともない。


俺と白井の関係性とは一体なんなんだろうか。



「黒田くんは辞めちゃうから、変わりに彼女が働いてくれたりしないかなぁ。即採用するんだけどなぁ」


「一応、ダメ元で聞いときます」



ほぼほぼ無理だろうとは思う。


でも、あの可愛らしいウェイトレス姿をこれっきりにしてしまうのも勿体無い気もする。



白井を見る。笑顔で愛想を振りまいて接客している。ちょっとした冗談でも交わしているのか、客と一緒に楽しそうに笑っている。


容姿は完璧、対人スキルも問題無し、仕事もそつなくこなす。まさに非の打ち所がない。


こうして見れば本当にただの女神で天使で聖女だ。


だが……その内側には特大の漆黒に歪んだ感情を抱えている。



そして、それは俺も……。



接客をする白井。俺以外と会話をする白井。


それを見ていると、どうしようもなく暗い感情が湧いてくる。


これは、嫉妬か。


結局、俺も白井に魅了されたその他大勢の1人に過ぎない。タチが悪いのは気持ちを抑えきれず狂行に至るまでに拗らせたことだ。



「あっ……。黒田くん……アレ、ちょっと不味いかも」



見ると白井がガラの悪い客数人に囲まれていた。


こんな人が多ければ、あんな輩も湧いて出てくるのは必然か。






「店員さん可愛いね。初めて見るけど新しいバイトの子?」


「いえいえ。今日だけちょっとお手伝いさせてもらっているだけですので」


「そうだったんだ。えっ、それじゃ店員さんに会えるの今日だけってこと?」


「うわっ。マジかよー!こんな可愛い店員居るなら俺ここに通っちゃおうかと思ってたのに。今日だけかよー」


「そんなこと言わずにこれからここで働いたら?そしたら俺らとまた会えるよ?」


「そうだよ。店員さんずっと居てくれたら俺ら毎日ここ通っちゃうし注文もいっぱいするぜ?」


「悩ましい提案ですが、ちょっと無理ですね。普段はたくさんヤルことがあるので、アルバイトに費やす時間は無いです」


「そっかー。残念だわー。それじゃあさ。バイト終わってから俺らと遊びに行かない?」


「それいいわ!今日だけなのにここで会ったのはもはや運命でしょ!これは店員さん俺らと遊びに行くしかないっしょ!」


「いいじゃん!いいじゃん!遊びに行こうぜ!俺ら店員さんが仕事終わるまで待ってるから、そのあと皆で遊ぶって事で!はい決定!」


「それに店員さん学生でしょ?明日土曜で休みだよね?これはもうオールで遊び倒すしかないわ!」


「あー、今日は忘れられない夜になりそうだわー!楽しくなってきたぜ!」



白井の意見など聞かずに勝手に盛り上がる連中を前に白井はキョトンと首を傾げた。



「何を言ってるのかちょっとよく分からないんですが……。とりあえずお断りしておきますね!」


「は?ノリ悪くね?」


「何言ってんの?俺らをその気にさせて店員さんに拒否権とかあるわけないじゃん」


「これからの予定はもう決まってっから」


「大人しく言うこと聞いとけよ」



連中の1人が白井の肩に手を回す。



それを見た。



カッと頭に血が上る。


気がつけば反射的に駆け出していた。


向かう先は勿論、白井の元で。


勢いはそのままに。


俺は白井に触れたゴミを。


力の限り、ぶん殴った。










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