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「ちょっとスースーしますね」



白井は自分の学生服のスカートをたくしあげて、その中を確認する。パンツを曝け出すとてもスケベなポーズな訳だが、スカートの中に見えるパンツに色っぽさは欠片もなかった。


なぜならそれは俺が普段穿いている俺のパンツだからである。


パッと見は短パンを穿いているようで味気ない。これはこれで別の方向で興奮するは興奮するが、それは置いておく。


どうしてこうなったのか理由は簡単で白井が穿いていたパンティ&ストッキングを俺が破り捨てたからである。


替えの下着は無く、外に出るには致し方なく俺のパンツを穿いた。ノーパンよりはマシ。



「別にノーパンでも問題ないと思うんですが。どうせスカートの中は黒田くん以外に見せませんし。それにブラも付けてませんし」



制服越しに自分で自分のデカイ胸をモミモミとして遊ぶ白井。ふたつの膨らみに2箇所の出っ張っている部分があった。白井は間違いなくノーブラだということがわかった。


柔らかそう。いや実際柔らかい(経験談)。白井のおっぱいは無限に揉んでられる。


ちなみに白井のブラジャーを使い物にならなくしたのも俺である。


ノーパン、ノーブラでも特に問題ないと言う白井。問題は大ありだろうに。ただの痴女だ。



「ふふーん……」



そんなことを考えていたら、気がつくと白井は俺の顔を下から覗き込み、意味ありげな笑みを浮かべていた。



「なるほど。そういう事ですか。独占欲が強い黒田くんは私の裸体を他の人には一切見せたくないんですね?それで見られる可能性があるのも嫌で嫌で仕方ないんですね。それでヤケに下着を付けろと提案してくるんですね?」


「いや……普通に下着はつけた方がいいと思っただけだが……」


「安心してください。黒田くん以外の人に裸を晒すつもりはありませんよ。私の裸を見ていいのは黒田くんだけですから。私の身体は黒田くん専用ですよ」



白井とのやり取りは何かがズレる。会話が微妙に成立しない。



「黒田くんは私だけを見てください。他の人を見てはいけません。見ようと思ってもいけません。黒田くんが舐め回すような下品な視線で視姦していいのは私だけです。そんな気持ち悪い視線を他の人に向けて気分を害してはいけません。いいですね?」



にこにこと笑ってはいるが、放つ言葉はやはり辛辣だった。






ーーーーー






「ねえねえ!もしかして白井さんって黒田と付き合い始めたの!?」


「そうそう!それ!それ凄い気になった!今日の朝もなんか2人で腕組んで登校してきてラブラブだったし!その後もずっとベッタリだっし!」


「そこら辺どうなの白井さん!教えてよー!」



我らが聖女様の噂話は瞬く間に校内に広がっていた。


まあ、アレだけ目立った行動をしていれば当然だろう。


お陰様で朝から分かりやすく周囲はザワついていた。それは今にも決壊しそうなダムのようで。そして、今、昼休みとなってそれが決壊した。


洪水のように人がなだれ込み、聖女様の周りをクラスメイトが取り囲む。これが聖女様の人望か。逆に俺の周りには人っ子一人いない。まざまざと差を見せつけられた気分だ。


あー、眩しい。眩しい。



「皆さん、何を言ってるんでしょうか?私と黒田くんが付き合ってるハズないじゃないですか」



キョトンと可愛らしく首を傾げて、白井は真っ向から否定する。



「えっ、あ、ああ……そ、そうなんだー」


「あ、アレで付き合って、無いの……?」


「で、でも、まぁ、そうだよねー……!」


「確かにあの白井さんが黒田なんかと、付き合うはずないよねー!」



色めき立っていたクラスメイト諸君が白井の発言を受けて、一瞬にして変な空気となった。みな一様に戸惑いを隠せない様子だ。



「で、でも、それならなんで、あんなに黒田とベッタリしてるの?」



クラスメイトの1人が子度の案件の確信をつく問いを投げた。それに対して白井は……。



「それはですね。黒田くんはとっても危険人物なので悪さをしないように私が捕まえて見張ってるんです!」



予想はしてたが……終わったな。



「危険人物?」


「悪さ?」


「見張ってる?」


「えっ……それって……」



戸惑いはさらに広がる。何人かは俺の方に訝しげな視線を向けている。



「いいですか、皆さん?黒田くんは最低の悪人で卑怯極まりない嘘つきの危険人物です!ですから黒田くんのことは私が責任を持って管理するので皆さんは黒田くんに近寄ってはダメですよ。不用意に近寄ってはナニをされるかわかりません!女の人は特に危険です!赤ちゃんを身篭ってしまうかも知れません!だから絶対に私以外が黒田くんに近寄ってはダメですからね!」



「「「…………」」」



教室内は静寂に包まれた。



まぁ……。結局の所は俺の自業自得だ。受け入れるしかない。



これからの学園生活を想像すると胃が猛烈に痛くなってきた。





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