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「お気持ち発表のお時間です!」
「……はい?」
裸エプロン姿の白井は唐突にそう言った。あまりに唐突な事に俺は鳩が豆鉄砲をくらったような間の抜けた返事を返した。
お気持ち?発表?なんだそれは急になんなんだ?
「黒田くん。今の私の格好は一体なんと言うのでしょうか?」
「は……?いや、それは、えっと……裸エプロン?」
「はい!正解です!そうですね。私は今、エプロン1枚しか身につけておらず、下着すらつけていません。つまり世間一般で言うところの裸エプロンという格好をしています」
「そ、そうだな」
「さて、それではそんな裸エプロン姿の私を見て、黒田くんは何を考えたのか……そのお気持ちを洗いざらい発表してもらいましょう!」
「…………いやいやいや。待て待て待て。なんだそれ?普通に嫌なんだが」
「嫌なんですか?そうですか。残念ですね。それでは発表してもらいましょう!」
「いや……。「発表してもらいましょう!」じゃないから。そんなこと発表するわけないだろ」
「まず黒田くんは裸エプロン姿の私の後ろ姿を見た訳ですが、その時どう思いましたか?どんな気持ちでしたか?」
「もう勝手に話を進めるじゃん……」
「まず黒田くんは裸エプロン姿の私の後ろ姿を見た訳ですが、その時どう思いましたか?どんな気持ちでしたか?どんなえっちな妄想をしましたか?」
「なんかループした?これ答えないと永遠と同じ質問が繰り返される奴か?」
「黒田くん。ダメですよ?私の質問には嘘偽り無く正直に答えないと。黒田くんは最底辺のクソゴミカスキショキショ野郎なんですから、そんなあなたが私にNOと言えるわけがありませんよね?グズグズ言ってないで早く答えてくださいね♡」
「それはホントぐうの音も出ないから困る……。わかった。わかったよ。どう思ったのか、お気持ち発表すればいいんだろ……」
「そうですよぉ。私の言ってることが理解出来て偉いですよ黒田くん。腰を振ることしか頭に無くて、まともに言葉も理解できないのではないかと心配しましたが杞憂だったようですね。よかったですぅ」
「普段は温和で陽だまりのような雰囲気なのに、なんで発する言葉はそんな妖刀みたいな切れ味してるの白井さん」
「妖刀ってなんかカッコイイですね!」
「そうだな……」
キャッキャッとはしゃぐ白井。
なんか朝からもう既に大分疲れた。ああ、可愛い可愛い。白井可愛い。
「それでは気を取り直しまして、裸エプロンの私の後ろ姿を見た黒田くんはどう思いましたか?」
「…………でっかい餅があると思いました」
「それは私の生のお尻を見たお気持ちですね?そうですか、黒田くんには私のお尻がお餅のように見えたんですね」
「はい」
「ではそこら辺をもう少し詳しくお願いしますね」
「えっと……ちょっと動く度にふるふるして凄く食欲をそそられました。かぶりついたら食感ヤバいだろうと思いました。これ絶対柔らかくて口の中で溶けるヤツとか思いました」
「そうですか黒田くんは私のお尻を食べちゃいたいと思ったんですね。お尻を食べたいとか本当に気持ち悪いですね。流石は黒田くんです」
「それ褒めてんの?貶してんの?」
「褒めてますよ?」
「褒めてんのかよ……」
「お尻のことは分かりました。それ以外の部分にも触れていきましょうか。穴があったらとりあえずツッコミたいと思ってしまうド変態の黒田くんは私のお尻以外の部分にも劣情を滾らせたかと思うんですが。そちらの説明もお願いしますね」
「…………まずはその長い金髪だな」
「あっ、私、お料理する時は髪を結ってポニーテールにするんですよ。それにこの方が私の背中も良く見えますよね。どうです?ポニーテールも可愛いですよね?」
「まぁ…………可愛いな…………」
「えへっ、ありがとうございますぅ」
頬を少し赤く染めつつ照れ笑いする白井。非常にあざとい反応だが。お世辞抜きにバチくそ可愛いから情緒が狂う。こういうところが白井の天使たる所以だろう。なお現状。
「それで?黒田くんは私の髪を見てどのようなお気持ちに?」
「正直、麺のようにすすってみたいと思った」
「とってもおぞましいですね!色は少し似ていますが私の髪はラーメンでは無いですよ?黒田くんが私の各種部位を体内に摂取したいお気持ちは分かりますが、改めて面と向かって宣言されるとゾッとして鳥肌が立ってしまいますね!」
「ちなみに……うなじと背中は隈無く舐め回したいと思ったし、脇に挟まれて深呼吸でニオイを嗅ぎたいと思ったし、太ももにはむしゃぶりついて心ゆくまで堪能したいと思った」
「吐き気を催す気持ち悪さですね!食べたい、すすりたい、舐めたい、嗅ぎたい、むしゃぶりつきたいと私の身体を食べ物か何かと勘違いしているんでしょうか?あくまで食べられる側であるのは黒田くんであって私では無いんですよ?黒田くんはまだそこの理解が甘いようですね。いいですか?食べる側は私であって、食べられる側は黒田くんです。自分の立場をちゃんと弁えてください」
「はい……申し訳ありません……」
なんで俺が謝っているのかは分からなかったが、とりあえず謝罪しておいた。
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