第2話 

達也は困惑していた。

目の前で起こっている事象に上手く脳が働かないのだ。無理もない。左手には先ほどまで死人のように眠っていた全裸の少年、右手にはそんな少年に拳銃を向け、極悪人のような笑みを溢す自分の尊敬する兄のような人。二人の間には決して見えない、否見えてはいけない無言の圧力を感じる。まるで視線で殺し合っているかのようなそんな時間に、達也は己の心臓が口から出ないように沈黙を保つしかなかった。


「おいおい!ウチで物騒なもん出してくれるな。はあ、最近の若いのは血の気が多くて困るわい」


「じ、爺ちゃん!」


爺ちゃんもとい辰彦は、張り詰めた空気など気にもしていない様子で部屋に入ってきた。自分の建てた城を壊されたくないという気持ちが行動に出た結果、思考が止まっていた達也の心臓を助けたことになったのだ。当の辰彦は知る由もないだろうが。


「フッ...。これは牽制だ爺さん...。俺だって丸腰のガキに弾を打つほど性根は腐ってねぇが、こいつは俺の客だ、ちいとばかし大目に見てくれ」


「...聖兄さん」


なぜそこまでこの少年に過剰とも思えるほどの警戒をするのか、達也には分らなかった。しかし、七聖には理解できてしまった。この少年のもつ独特の空気を。肌の香りを。


「お前に聞くことがある」


ここで言うお前とは、いまだ全裸でいる少年のことなのだろう。早くその子に服を着せてあげたい達也は散らばっていた服をさっと拾い上げ腕に抱えた。

いま、達也と辰彦にできることは対峙する二人を見守ること一択なのだ。


「名前は?」


「......」


少年は少しの時間をおいて、首を微かに振る。その意味は名前を忘れたのか、知らないのか、そもそもそんなもの持ち合わせていないということなのか、誰も分からない。まあ、日本語が伝わることがわかっただけ良しと思いたい。


「...どこから来た」


「...た、ぶん、五、の区」


掠れた声がゆっくりと発された。


「えっ。 五の区って確か8年前に...」


でも、そんなはずは...。とこぼす達也、部屋の後方で腕を組みながらことを見ていた辰彦も眉根を寄せて


「うむ、人が住める状態ではなかったはずだが...これは」


と言うほどだった。


「その傷は、誰にやられた」


その傷と言われた傷がどれのことなのか分からないほどガーゼと包帯が少年の体を飾っているが、傷だらけの本人は起き上がった時から一度も痛がる様子を見せなっかた


「その首輪は何だ」


「...わか、らない」


いまだ顔色一つ変えない七聖の言葉に、少年の指先が首輪にちょんと触れた。先ほどの分からないというのは、自分が首輪をつけていることは知っているが、これがどういう品であるかは分からないということなのだろう。




「...ここは...」


今度は少年が三人に問う。


「ここか?ここは、八の区にあるワシの家兼仕事場だ。お前さんがいたっていう五の区から大体...70㎞ぐらい離れた場所だな。なんだってこんな場所に来ちまったんだいお前さんは」


「...わか、らない」


「...そっか。もしかしたら、お家の人が心配してるかもしれないよね。あっ、でも名前が分からないんじゃID登録も調べられないし、それにいまは行方不明者サイトも機能してるようでしてないから」


少年のことを純粋な優しさで心配する達也にその場の空気がほんの少し緩んだ。

名前も分からないような奴に家族と呼べる人間がいるのか、七聖は疑念を抱いたが消して口には出さなかった。そんなこと達也に聞かせたくなかったのだ。



「はあぁぁぁ...」


その溜め息に七聖はいったい何を乗せたのか。どうせ、面倒くさいとかだろうと辰彦は感じ取った。しかし、呆れたような顔だった七聖はその余韻さえもなくし元の顔に戻った。


「いったいお前は、何者だ」


七聖の言葉に少年は視線を七聖から外し、顔をやや俯かせた。七聖の語気が強まったのが分かったのだろうか。少し考えるような様子を見せる少年に他三人の視線がぐっと集まる。心配の視線、疑いの視線、警戒の視線。少年は三者三様のまなざしにいたたまれない気持ちになっていた。






「俺は.........」









ぐぅぅぅうう____


「っ...」


「............」


「あっ。ご、ごめん...。僕です」


頬と耳を真っ赤に染め上げて、照れながら謝る達也に叱咤をかけることは誰もしない。思いがけない出来事に、けして表情には出ていないが面を食らった少年と、やれやれと思いながらも何処か微笑ましい気持ちになっている辰彦。


苦しいほどの静謐に訪れた達也の空腹を告げる音に、凍り付いていた空気がトロトロと溶けていく。


「ふむ。そう言えば、夕餉の時間をだいぶ過ぎているじゃないか。どうだ、達也の腹を満たしてからでも話をするには遅くはないだろう。どうする七聖」


「はあ、そうだな。食いしん坊が暴れたら俺でも手が付けられないだろう。腹がってはなんとやら...か」


「く、食いしん坊なのは否定できないけど、暴れたりなんかしたことないから!」


「ハッハッハッ!お前さんも来い!いま、点滴を抜いてやろう」


「...あぁ...」


三人の流れに飲み込まれ、目が点になっていた少年に辰彦が声を掛けながら近づいて行く。テキパキと処置をしていく辰彦の姿を横目に、少年を睨みつけていた拳銃が下ろされていた。


「...い、いのか...警戒し、なくて」


「フッ。言っただろ、俺は丸腰のガキに弾は打たねぇんだよ」


そう言って七聖は持っていた拳銃のトリガーをニヤニヤした顔で引いた。

カチッという軽々とした音が鳴り上向きの銃口から出たのは、危険な銃弾ではなくガスライター特有の青い炎だった。


「フフフ。聖兄さんの十八番なんだ、それ。ハンマーが下がる仕様になっているから意地が悪いのなんのって、引っかかった人が皆そろって言ってた。はい、これ君の服ね」


「あ、あぁ」


「ワシは先に行っとるぞ。今日は四人分の飯を用意しなきゃならんからな」


腕が鳴るわ!と辰彦はその場を後にして下の住居スペースに下りて行った。



「俺も先に下りてるわ...。達也」


「ん?」


「...いや、なんでもねぇ。さっさと下りて来いよー」


達也たちに背を向け右手を振って部屋を出ていく七聖。いったい七聖は何が言いたかったのか達也には分からず、頭上に?を浮かばせ首を傾げていた。










四人が座ったリビングルームのテーブルには、鶏肉と大根の煮物、ごぼうのサラダ、きゅうりとかぶの漬け物、白いご飯、味噌汁。けして贅沢ではないが、和食の持つ特有の温かさが胃にも心にも優しさを運んでくれる。そんな中、達也と辰彦の皿の上には、これから冬眠でもするのかと思うほど大盛りの料理が盛られていた。それを少年は物珍しそうに見つめていた。


「僕も爺ちゃんも燃費が悪くてね、ご飯はいつもこれぐらい大盛りなんだ。あ、君は無理に全部食べようとしなくていいからね。残ったら僕が食べるし」


「......ありがとう」


「いいえー、どういたしまして!」


食欲が無いのか、あまり箸が進んでいない少年に達也は気にしないで良いと声をかけた。しかしその言葉は、優しさ故なのか胃袋から来る自信故なのか誰にも分からないが、少年にとっては有難い言葉だった。


「それにしても、名前が分からない覚えてないんじゃ会話がどうも詰まるな...。いっそのこと俺らで考えちまうか。無いものは、奪うか作れって言うし、どうだ」


「...かまわない...」


各々が空腹を満たし食べ終わった食器などが粗方片付け終わったころ、七聖からの提案にいまだ決まった呼称が無い少年が数十分前より血の気のある顔で応えた。


「あっ!そういえば、自己紹介してないじゃん!ごめんね、全然気づかないまま会話してた...。コホン、改めまして僕は達也、押江達也です!で、こっちの白衣を着てる人がじいちゃ...じゃなかった押江辰彦。君の傷を手当した人で僕の祖父だよ」


「うむ。大先生と呼んでくれてもいいぞ。ガッハッハッハッ!」


「...何が大先生だよ。ただの変態爺さんだろ。 ...はぁ。えー俺は、お前のことを拾った張本人の伏見七聖だ。こいつらとはいろいろと縁があってな」


「俺を...拾った...」


少年の小さな声で紡がれた疑問は、七聖の鼓膜に届いた。


「ああ。お前は、大雨に打たれながら俺の家の前でぶっ倒れてたんだ。何度か声はかけたぞ。でも起きる気配がなくてな、面倒くせぇなと思ったよ。しかし!傷だらけの奴を外に放っておくほどの不人情でも、得体のしれない奴を自宅に連れ込むほどお人よしなわけでもない俺は、こいつら以外に御免こうむれる奴もいないと思い、渋々変態爺のいる【押江診察所】に転がり込んだんだ。OK?ここまでお分かり?」


おどけたように語り始めた七聖の話は、少年にとって霞がかかったように思い出せない数時間前の自分を説明していた。


「...ありが、とう...」


「...お、おう。くるしゅうない...」


少年は自分を嫌々ながら拾ってくれた七聖へ、無表情は崩さず謝意を示した。しかし七聖は己の行いに感謝している少年に驚いたのか、それとも礼を言われ慣れていないせいで照れているのか、反応にまごまごしていた。


「フッ。七聖め、ワシなら深くは探らんと見越してここに来おった。やらしい男だ」




「まあまあ...。は、話がそれたけど名前!決めないとね。うーーーーーん。顔立ち的にアジア系ぽいけど」


「母親が、中国人だ...。父親は、知らない...生まれは上海だと、聞いた...」 


「ほぇ~。じゃあそれっぽい名前が良いよね」


達也は与えられたヒントから、目の前にいる少年に合う名前を顎に手を当てながら考えている。一方で七聖は少年の言った言葉に顔を俯かせていた。


「...ジン...」


「...っ?」


少年に届いた七聖の声はなぜか哀愁を帯びたような細い声だった。誰かの名前なのかと聞くことは野暮のように感じ、少年は首を傾げるだけだった。


「...じん、ジン...。うん、いいんじゃない!ジン君てなんかしっくりくるよ。どうかな?」


七聖は不覚にも自分の口から洩れ出てしまったと悔やみ眉を顰めるが、七聖の声は達也にも届いていたようで後の祭りになってしまっていた。達也からウルウルとした目線を向けられた七聖は、それを聞くのは俺じゃないだろうと達也に言い呆れたように笑みを浮かべた。


「確か、日本語で静という漢字が、中国でジンと読むんだったか?いいじゃないかジン。ワシの口にも馴染む」


「どうかな?」


達也は再び目をウルウルとさせながら少年、ジン(仮称)に迫る。自分の名前など興味がないと相変わらず無表情の少年と、どうしても了承を得てからその名で呼びたい達也が見つめ合う。


「...あぁ」


「やったー!よろしくねジン君!」


ほとんど、達也のごり押しのようにも見えるやり取りは達也の勝利で幕を閉じた。その後も達也のお喋りマシンガンは止まらず、数時間たって船をこきながらもにょもにょと口を動かしていた達也は、ついに眠気に完敗しテーブルに突っ伏した。それをきっかけにその場はお開きとなった。


辰彦は完全に伸びきっている達也を見て、ジンに達也を部屋まで送ってくれと頼み酒瓶片手に自分の部屋に帰っていってしまった。自分に、そんなことを任せるほど辰彦から警戒されていないことに一種の困惑を覚えるジンだが、衣食住を与えてもらった恩を返せるならとぎこちなく達也を横抱きにした。


「...部屋、どこだ」


「ん、あぁ。そこの扉を開けて、左側に木製の扉がある、そこだ。...達也を置いたらここに戻ってこい、話がある」


「...」


七聖の説明に耳を傾けていたジンは七聖からの指示に頷きで応え、部屋を出た。ここが地下だからなのか、外の音が聞こえず自分の足音だけがこだまする廊下をジンは子供体温なのかしっとりと温かい達也を抱え進んだ。












「チビも眠ったことだ、そろそろ話の続きと行こうか」


達也をベッドに寝かせ終えたジンは、言われたとおりに七聖のもとへ戻っていた。七聖は扉の前で突っ立っているジンに、真正面の席に座れと顎で指示をだした。ジンは椅子を引き浅く腰掛ける。


「...お前は......何者だ?...」


診察室で感じたような圧は少ないものの、七聖から向けられる静かな視線で身体の隅々まで探られるような感覚にジンはとてつもない不快感を覚えた。


「...俺は......緋川の、クラッチだ...五の区の、ルーマから逃げた...」


ジンは俯きがちに己の持つ仄暗い事実を七聖に吐露した。


「はぁ...。やっぱりねぇ...。その首輪といい、耳裏のナンバーといい、七聖ちゃん...嫌な予感をお前からプンプン感じてたのよね...」


まるで、初めから分かっていたかのような反応をする七聖に、ジンは動揺する...ことはなくただ七聖を己が持つ黒い瞳で見つめるだけであった。しかし、耳の裏にあるナンバーについて知っているということには、ジンが七聖のことを警戒するには十分な材料が含まれていた。


ジンは七聖に向ける目を変えた。


「...お前は...翠禪の仲間なのか...」


ジンの言葉には、九割の警戒と一割の願望が籠っていた。願望といえどそれは切なる思いなどではなく、予想される返答にどう動こうかと思考したさいに一番体力を消費しない行動がしたいという願いだ。


「...だった。というべきか...。いまは違うというべきか。まぁ、お前にとって害ある存在であるか否かで言えば...それは否と言える」


「...」


「緋川グループ先代会長、緋川康夫の案により30年前五の区で密かに建てられたクラッチの育成兼、研究機関【ルーマ】。 ...一部の住人の間で流行った都市伝説として、トガラのアングラ雑誌に載ったこともあったな」


ジンからの問いに、何か含みを残すような回答をした七聖は、昔を懐かしむような表情で懐から紙たばこを取り出し火をつけた。


七聖の口からフーと白い煙が吐き出され、日中深夜と関わらず静かな室内に鼻の奥がスッとなる匂いが広がる。その煙とともに吐き出された話は、トガラの陰謀だということで主にお薬でイッちゃってる人やそういう話題が趣味の人の間で流行ったもの。


「どこから洩れたのかと騒ぎになっていたが...力業で収めたか。フッ、天下の翠禪らしい」


「......2週間前...ルーマに、翠禪の傭兵が、奇襲をかけてきた...。研究員のほとんどは殺され...俺以外のクラッチは...たぶん、翠禪に吸われた...」


「...それで...のこのこ70キロも逃げてきたのか。そりゃ難儀なことで。だが...何故八の区に来た。何故俺の家の前で伸びてた。...腹に何を隠してやがる...」


「...」


ジンは顔を俯かせ、この場に至るまでの記憶を思い出していた。それもそのはず、ジンには七聖や達也の会話のなかで、自分で解消できない疑問があった。それは...自分が倒れていた場所だ。翠禪の傭兵から負わされた傷は、痛みこそないがかわいらしものではない。そんな中およそ70キロを身一つで逃げるなど無理な話。金銭も身分を証明できるような物も所持していないジンは、区をまたぐことも難しいだろう。


「...ルーマの中で、傭兵からの奇襲を躱しながら、脱出を、試みていたが...。頭に、強い、衝撃を感じた後から...なにも、覚えていない...」


「...」


「......」



僅かな静寂のはずが、このまま永遠に続いてしまうのではと思ってしまう。知らない。分からない。覚えていない。そう答えるしかできないジンに一番腹を立てているのはジン自身なのだ。


歯切れが悪い返事にうんともすんとも言わず、テーブルに肘を付け頬杖をつき、ただただジンを見つめ続ける七聖。その目はジンへの警戒や興味の目ではなく〈あの人〉をジンに重ねて見ているような、ただ見つめるだけの目。


「お前、この先どうする...」


嫌というほどの静けさに別れを告げるように、七聖が口を開いた。


「.........」


首を左右に弱く振るジン。


「金も、身分も、当ても...自由もなしか」


七聖は、ジンの首につく白い機械を一瞥した。


「...ジン...」


「...?」

 

ジンは首を傾げ、すっかり耳に馴染んだ名前に続く話を待つ。









「俺のカモになれ」







「......?......」


ジンは、意味が分からないと言いたげにまた首を傾げた。そんなジンに、こちらもまた極悪人のような微笑みで応える七聖。


「俺もお前と同じ年の頃、翠禪にそれはそれは良くしてもらってな。その時のお礼参りをしたいんだが、どうにも人手が足りなくてほとほと参っていたんだ。お前もクラッチなら思い出はないだろう。飯も、服も、金も、くれてやらないこともない。どうだ...」


蕎麦の具にして食ってやる!と言われるのかと思えば、お礼参りの手伝いをしないかと言われてしまったジン。


「...なぜ、俺に...」


「単純だ...気に入ったんだよ、おまえのこと...」


「...」


ジンを拾った時から感じていたこと。七聖はジンに底のない感情を抱いていた。しかし、それは愛だの恋だのそういうものではなく、七聖自身も自覚できていない感情であり、その感情は奇妙な違和感として届いていた。自分を気に入った...そんなこと生まれて初めて言われたジンは、自分の心の器に知らない気持ちがじんわりと広がった。それはジンにとって決して不快ではなかった。


ジンは七聖に目を向けて口を開く。


「...分かった。だが......条件がある...」


七聖は吸っていた煙草を持っていた簡易灰皿にしまう。テーブルとの組み合わせが良い椅子の背凭れに背を預けジンの条件とやらを聞く姿勢をとった。ジンは七聖に鋭い視線を向け、右手の指先で己の頸を簡単に飛ばしてしまいそうな白い悪魔に触れた。


「......これを...とりたい...お前に、できるか...」


「...残念だが、俺は機械畑の出じゃない。...だが、伝手はある。金さえ積めば何でもやるやつだ、お前のそれも何とかなる。安心安全は保証できないが...それでも?」


「...あぁ..」


ジンの頷きを見た七聖は左手の腕時計が、深夜1時過ぎを指していることを確認した後、自分の口が甘味を欲していることも確認していた。


「はぁ、菓子でも食うか...ジンお前、甘いのいける口か?」

   

「...ん?...あぁ」


七聖は椅子から立ち上がり、キッチンへと歩き出した。


「えーと、ここに達也の...おっ、あったあった」


冷蔵庫から透明のカップに入ったあんみつを二つ取り出し、二つのスプーンと共にテーブルへ置いた。


「ジン、これは俺のカモとしての最初の仕事だ...」


「...仕事...」


「俺の共犯になれ」


「.........了解...」


ジンの初仕事。それは、達也のおやつを盗み食いする七聖の共犯だった。何を喋るでもなく二人はあんみつを口に含み味わうだけだったが、ジンと七聖はどこか心地よさを感じていた。その後、先に休めと七聖に言われたジンは、テーブルの上に置いた腕に顔をうずめるようにして身体を休めた。




次の日の朝、テーブルの上に置かれたあんみつの殻を見つけた達也から、荒ぶったお叱りを受けることを二人はまだ知らない。


こうして傷だらけの猫は、空を知らないカモになった。










あとがき


つらつらと長くなっちゃいました...。カクヨムで小説を読んだことが少ないため、他のユーザーさんの作品を読んで自作の文字数が非常識なのではと怯えております。





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