言葉の力を使う能力者の夢
2024.10.10
二度寝をしていたら夢を見た。
夢の中の私は、男子高校生であった。
ただの男子高校生ではない。言葉の力を操って戦う能力者であった。
自分は、とある強大な敵が町を滅ぼそうとしていることを知り、敵のアジトへと向かう。
……正しくは、駅に向かっていた。電車に乗って、隣町のアジトへ向かうつもりだったような気がする。
母親らしき女性は、私に反対していた。単身で敵のアジトに乗り込むのだ。心配しないわけがない。
町中を早足で進む私の後ろから、何度も声をかけてきた。危ないからやめなさい、と。
しかし、私の決意は固い。説得できそうにないとわかると、言葉の力を使い始めた。
そう。母もまた、言葉の力を使う。
デパートに逃げ込んだ私を捕らえるため、母は私の視界を奪った。周りが真っ暗に見える「闇」の言葉だ。
私は暗闇の中を駆け抜け、母から逃げる。
そこに現れたのは初老の男性。私の能力の師匠だった。師匠は「光」の言葉を指で宙に書き、辺りの闇を消し去った。視界が良好になる。
母が現れた。母は、私と師匠が一緒にいるのが気に食わないらしい。「何で
師匠は私に言う。
「俺は昔、君のお母さんと付き合っていたんだ」
……今その話要ります?
「本屋に立ち寄ることがあれば、白鯨が書かれた本を探せ。君に力を貸してくれるだろう。
何より……俺と彼女の想い出の本なんだ」
今その話要ります???
私は首を捻る。だが、まずは母から逃げるのが先だ。
母は、言葉から力を引き出すべく、宙に「興」という字を指で書いている。私は自らの手で字を書く邪魔をする。そのまま、母に捕まるより先に、その場から走って逃げ去った。
デパートを出て、暫く走る。師匠が母の足止めをしてくれているのだろう。追っては来ない。
私は、師匠の言葉が気になって、町の小さな本屋に立ち寄った。そこで、白鯨の表紙が書かれた本を探す。
すぐに見つかった。濃紺の表紙に白鯨が描かれた、お洒落な本だ。
ここに、私の力になる言葉が……私は本を開いた。
中は詩集であった。
そこで目が覚めた。
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