第22話 言い訳と告白

どうも作者です、体調を崩してしまって昨日はお休みをさせていただきました。

この場を借りて謝罪します。

なるべく毎日投稿を頑張りますので、今後とも応援よろしくお願いします。


注意

この話は現代ファンタジーに似つかわしくないオハナシです

本作品は一応ラブコメではありませんが、糖分過多に注意して読んでください。

病み上がりの思考がバグった作者が書きました。

砂糖足りねぇよと言う読者様には謝罪いたします。

砂糖に溺れた読者様は適切な処置が必要ですので、溺れた報告をして救援をお呼びください。

ファンタジーが足りない読者様は次の章まで我慢してください

第一章はそろそろ終わります。

    

   以上です。

____________________



真っ白で簡素な部屋

天井はスクリーンなのかわからないが、外の時間帯に合わせた空色をしている。

窓に似せたモニターからはアサヒが差し込み、気が利いているのかいないのか鳥が鳴く声が聞こえる。


床はベッドのように柔らかく、いつの間にか毛布が体にかかっていた。

隣に視線をやると、肌色の多いシロが艶やかな黒髪を散らしながら寝息をたてている。


そう……これは朝チュンと言う奴である。



隣のシロは何も纏っていない、毛布がかろうじて彼女の体を隠している。

自分ももちろん素っ裸、いや一応下着の上は着ていたのでタンクトップのみ装備した変態にとどまっている。


「やっちまった…」


独り言ちる、鳥のさえずりが響く部屋に、俺の声は消えていった。


体を起こし辺りを軽く見渡すと、いつの間にかに置かれていた机の上に、朝食と赤飯が見えた。

机の下の地面は硬く、安定している

朝食は湯気を上げており、暖かそうだ。

赤飯が置いてある辺り、あの変態魔女は今すぐにでも通報するべきだと俺は思った。


呪いが廻る例のアニメの、釘を使ってる女の子の過去編での話

知らない奴はスルーして構わないが、アレの赤飯がどれだけ気色悪いか今理解した。


さらに周囲を見渡すと、扉のロックが解除されているのか、あからさまにグリーンの出口マークが光っている。


シロを起こさないようにゆっくりと起き上がり、出口の扉に手をかざす。

この扉はドアノブが付いておらず、無駄にハイテクな手をかざして開くタイプだ。


センサーはきちんと反応し、扉が開いた。


俺はきちんと扉が開くことを確認し、ひとまずほっと胸をなでおろした。

昨日あれだけのことがありながら、安心の次にやってくるのは空腹である。


忌々しい赤飯には口をつけてやらないと決心しながら、机が置いてあるエリアの確認に俺は足を向けた。


机に到着すると、高さ的に見えなかった手紙が置いてあるのを発見した。

手紙は妙にイライラする雰囲気があったが、確認しておいた方がよさそうだ。


しぶしぶ手紙を開くとこう書いてあった。


『ラブラブな二人へ


やっほー♪この手紙を読んでいるってことは、今は例の作戦が終わった翌日だよ!朝食や机は朝になれば自動で出てくるようになってるから、問題ないよ!


ちなみに言っておくとこの部屋には誰も入ってないから、十分いちゃついてから出てくると良い。


僕らは静岡市のめんどくさい復興をしているだろうから、なるべくゆっくりくれば仕事もさぼれるはずさ!!シロちゃんはそれだけの価値ある行動をしてくれたからね、ゆっくりと休ませてあげてよ!どうせこの手紙を読んでいる君はユウくんだろうからね。


あ、それと赤飯は僕のサービスさ!おいしく食べてくれ、食べ物に罪はないよ!気持ち悪いのは僕だけなのさ!!

分かってるなら置くなって?それはできないね、僕はそういう化け物なんだぜ?

わたったならご飯を食べてイチャイチャして元気よく部屋を出てきてくれ!


       感覚の魔女より』


なんだろう、文章だけでイラつくな、この手紙…

ひとまずこの怒りは自然災害にでもあったことにして飲み込むことにしよう。



一度冷静になって、今後を考える

俺はシロとチュンチュンしてしまったわけだが、中途半端で終わっている。

正直不完全燃焼ゆえトイレで一人悲しく処理したわけだが、あの時ほど個室のトイレで虚しい賢者になることはないだろうと思いたい。

それよりシロだ


開始直後に気絶したのはさておき、今後あの戦い以上に熾烈極まる戦場がないわけではない。それは力の使用を余儀なくされ、副作用でああいった状況がまた起きるという事だ。


そこで問題なのが、その副作用にどう対応するのか…だ。

あの状態を見るに、女性カウンセラーによる対応は不可能と判断され、数少ない男が採用されることは確実。


シロはそれに見合った実績と実力を持っているので、相手を選べる側だ。


ここでネックなのが俺はどうするべきかと言う事だ。

俺がシロのカウンセリングを継続的にするには、シロの任務が終わる状況で必ずその場に居なければいけないという点


俺はこのゴミみたいな世界での目標として、死にたくないから頑張る、というよくわからん目標を掲げているわけだが……


シロの隣は安全であるが、任務に赴くということは危険でもあるわけだ。

自ら死へのレールに近づくことを迷わないこと、それがシロの隣への絶対条件


「迷う必要あるかこれ……」


死ぬ危険性がある?知らねぇよそんなの

死ぬのは怖い、痛いのも嫌だ

でもそれ以上に、好きを貫けないヘタレ以下にはなりたくはない。


そんな思考に浸っている時だった。


ガサリと布のこすれる音がする。

視線をやるとシロが起き上がっていた。

まだ寝ぼけているのか、目をこすりながら周囲を見渡している。


そこで俺は気づきました

自分の姿が今、どうなっているのかを…


散々シリアスに思考を巡らせていた俺だったが、自分の服装とも呼べない姿は下着の上一枚、つまりタンクトップ一丁ノーパンフルティン状態


情けないブツをプラプラぶら下げながら部屋をうろついていたのである。


「シロォォォォ!ちょっとまて!こっち向くなあぁぁぁぁ!!!!」


しかし時すでに遅し

シロの視線は俺をとらえる。


「クッ殺せ…」

「…………」


俺は世界で一番情けない気持ちであった。

好きな子に情けない息子を見られてしまった。

昨日見せただろと言うツッコミは受け付けない、なぜなら昨日は臨戦状態だったのだ。多少のプライドによって恥ずかしい程度で済んでいる。


しかし現在、手紙の朗読以降無駄に冷静に考え事をしていたため、息子は完全にふにゃふにゃになっている。

起きてから時間も経っていたこともあり、朝に起きる生理現象も終了していた。


俺の情けない姿を見たシロは何を思ったのだろうか…

やっぱり考えたくはない


意を決し、現実逃避として閉じた瞼を開ける。


そこにはどこから取り出したのかわからないナイフを、自分の首にあてがうシロの姿が……


「え、ちょちょ、ちょっとおままま何してんだよ!は?マジで!」


衝撃的すぎて息子を隠していた手を伸ばし、ナイフを取り上げる。


「私はユウを襲った。弁明はしない、潔く散る」

「潔すぎだろ!判断が早いって!俺の話も聞け!」

「アレは立派な性的暴力、人を守る立場の私がしてよいことじゃない」

「じゃあ俺が同意したってことならどうなんだよ」

「それは……嬉しいけど、違う」

「うれしいなら頬を朱くするとかなんとかしてくれ」


無表情で俺を見つめるシロは、まだ意識がはっきりしないのかホワホワしている。


「まずは服を着てくれ、俺も着るから。それとこのナイフは没収」

「ん……わかった。着終わったら正式に謝罪する」

「せんでいい」


沈黙が場を支配しつつ、布のこすれる音が響く

しっかりと服装をただし、俺はシロに向かい合った。


「土下座する」

「だからしなくていいわ!俺だよ土下座は!」

「ん…必要ない」

「じゃあどっちも謝罪なしでいいな」

「不服」

「納得しろ」

「……、怒らないの?」

「何を」

「私はユウを襲った」

「そうだな」

「悪いことをした、言い訳はしない」

「まず前提が間違っているな、お前の処置を立候補したのは俺だ」

「……ユウは優しいから」

「違う、俺がお前を……す、す、っちあ゛ぁ゛もう!俺が、お前を好きだから!」



静まり返る部屋

妙に沈黙が長く感じる。

完全に失敗した、いざって時に俺は噛んだ


(うわぁぁぁあぁ死にてぇぇ)


目の前のシロは珍しく目を見開いて、顔を朱くして、俺を見ていた。


あぁクソ、昨日から、童貞って言われても反論できないくらいに、シロが可愛いと思うことが増えた。まともに顔が見れない


「ホント?」


ぽつりと言葉がシロから漏れる。


「ホントだよ、っあぁ゛何度も言わせんな恥ずかしい」

「私も、ユウが好き。ズルいって言われてもいい、ユウが好き。先にいわない私は、とってもズルい子。でも今が一番幸せ」



俺はフリーズした。

実際にいわれると破壊力がえげつない

何度も妄想した言葉が、現実に塗り替えられる。


中学生のしょっぼい妄想なんか、ゴミみたいに塗りつぶされるほどの衝撃が、俺の頭を駆け巡った。


そんな気がした、実はシロは俺が好きなんじゃって、かっこ悪いダサい妄想を何度もした。そんな気持ちの悪い妄想をするたびに、勘違いも甚だしいと、自分の感情に嘘をついてきた。


もし違ったら


ソレが頭から離れず、口にできなかった。


「ズルしてごめん、でももう一度ズルをさせて欲しい」


シロがそう言ったかと思えば、俺の視界が遮られる。

手で覆われた視界

フッと抱きしめられる感覚がすると、唇に柔らかな感覚が走った。


おでこでも頬にでもなく唇に、一瞬でもなくしっかりと


柔らかくて、優しくて、唇を合わせるだけでこんなに幸せなのかと思うほど、俺は多幸福感に包まれていた。


「昨日ちゃんとできなかったから、告白のお返し」


ふふっと笑うシロが愛おしくて、いつまでも残り続ける唇の感触に浸りながら心の中でつぶやく。


ズルいのは俺の方で、昨日の出来事から勇気をもらうヘタレで…

でも、こんな幸せそうな顔を見れると知っていたなら


「もっと早く言えばよかった」


今日俺は、このクソったれな世界でも、悪くない日常があると知った。

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