第27話 涼華の罰ゲーム♪


 時は少し遡り―――


◆―――――――――◆

《SIDE 涼華》


 出流君が着替えを持って、お風呂場に向かった。


 輝夜ちゃんも着替えを持ってきて、リビングで少しだけ待ったあと、お風呂場に向かったのを見て、私は周防さんに話しかけた。


「ねぇねぇ、周防さん」


「何?」


「私達も出流君たちと一緒に入ろう?」


「? 罰ゲームは?」


「出流君たちと一緒に入っちゃダメとは言われてないよね?」


「……そうかも?」


「うん、そうだよ。だから一緒に出流君たちと入らない?」


「……ん、わかった」


「……ねぇ、周防さん。聞いときたいんだけど」


「?」


「周防さんって……出流君のこと、好きなの?」


 周防さんは私の問いかけにポカンとした顔をして、困った顔になった。


「……わからない」


「わからない?」


「ん……私は……好き……なの?」


「……じゃあ、なんで出流君の家に来たの?」


「……楽しそうだったから」


「……それだけ?」


「あと、お礼……したかった」


「そっか」


 んー! 自覚してないだけなのか、本当に仲良くしたいだけなのか、わかんないなー……周防さんポーカーフェイスだから表情もイマイチわからないし……


「叶は……イズのこと好き?」


「うん、私は出流君が好きって言えるよ」


「そう……聖も?」


「うん、輝夜ちゃんも出流君が好きって聞いたよ」


「……そっか」


「とりあえず、協力してくれないかな? 輝夜ちゃんに出流君取られたくないから」


「ん」


 よし、周防さんがどう思ってるかわからないけど、説得することはできた。

 私達も着替えを準備して、脱衣所に移動して、服を脱いでいく。

 タオルはさすがに巻く。

 輝夜ちゃんも巻いてるよね? さすがにね?

 私と周防さんは準備を終えて、お風呂場の扉を開けて中へ入る。


「お邪魔しまーす!」

「ん、来た」


 ……なんで輝夜ちゃんはそんな格好で後ろから出流君に抱きついてるのかな?

 ほんと、油断も隙もないよね。目を離したらすぐこれだよ。


◆―――――――――◆

《SIDE 出流》


 なし崩し的に俺の体は大半を三人に洗ってもらった。

 シャワーで泡を落として……うん、こんな状態でお風呂とかさすがに無理。


「洗ってくれてありがとう。じゃあ、先に上がるね。ごゆっくり!」


「あ、ちょっとイズっち!」


 俺は呼ばれる声を無視して、お風呂場を出た。

 ……ふぅ、ドキドキした。

 中学の頃はそんなことなかったのに、高校に入ってから女の子は大胆になるのかな?

 みんな魅力的だし、平気な顔で一緒にお風呂に入るし……こんなにドキドキするのは俺だけ?

 俺は一先ず、体を拭いて脱衣所を出て、自室に戻った。

 髪を乾かしてTVをつけてボーっとしていると先に輝夜が帰ってきた。


「ちょっとイズっち! あたしとの罰ゲームは!?」


「あっ……」


 そういえば、お互いに背中を洗うんだった。


「ご、ごめん!」


「もー、あとで埋め合わせしてよ?」


「あぁ、わかったよ」


 それだけ言うと、輝夜は髪を乾かす為、ドライヤーを使い始めた。

 遅れて涼華とエリも戻ってくる。


「いいお湯だったー」

「ん、よかった」


「はは、よかったよ」


 それから順番に髪を乾かして、みんなでテレビを見ながらダラダラしたあと、そろそろ寝ようと言うことになった。


◆―――――――――◆

《SIDE 涼華》


 んー! やっと私の時間だ!


「じゃあ、出流君、罰ゲームだよ♪ 一緒にベッドで「ちょっと待った!」ん? どうしたの輝夜ちゃん?」


「あたし、罰ゲーム出来てないから提案があるんだけど」


 ……嫌な予感がする。


「……どんな提案かな?」


「イズっちも一緒に布団で寝よう! もちろん、隣はあたしね」


「えぇ? 俺も一緒に寝るの? 流石に狭いと思うよ? 枕も足りないし」


「大丈夫大丈夫! あたしはイズっちの腕枕でいいよ!」


 また輝夜ちゃんが勝手なことを……


「う、腕枕は出流君の腕が痛くなるから、やめといたほうがいいと思うなー?」


「へぇー? イズっちの腕抱きしめながら寝てたのによく言うね?」


「ふふ、輝夜ちゃんも同じことしてたよね?」


「「…………ふふふふ」」


 出流君の腕枕とか輝夜ちゃんだけにさせるわけないよね?


「えっとー……俺はどっちでもいいけど……エリはどうする? 俺のベッドで良かったら使う?」


「布団でいい。みんなで仲良く寝る」


「そ、そう。わかったよ」


 はぁ〜……せっかく出流君と二人で寝れると思ったのに……

 うまくいかないなー……


「じゃ、じゃあ、寝ようか?」


 そう言って出流君が横に寝転がったので、私は隙かさず出流君の横に寝て、片腕を枕にした。

 輝夜ちゃんも同じようにしたみたい。


「お、おやすみ」


「ふふ、お休みなさい」

「お休み」

「へへ、お休み」


 部屋の電気が消されたので、私はさりげなく体の向きを変えて、出流君に体を密着させた。


 出流君の匂いがする。


 すごく落ち着く。グッスリ眠れそう。


 何かフェロモンでも出してるんじゃないかな?


 この安らぎが……この幸せがずっと続いて欲しい―――


 絶対出流君を振り向かせてみせる―――


 の出流君にする為に―――


☆―――――☆

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