第25話 写真


「出流君可愛い!」

「ふふ、イズ可愛い」

「イズっちの笑顔破壊力ヤバ!」


 俺は母さんからアルバムを取り上げようとしたけど、涼華とエリと輝夜にまぁまぁと抑えられながらお願いされて、渋々見せることになった。


「ふふふ、この頃の出流もすっごく可愛かったのよ! ママーって言いながら私に抱き着いて「母さん! 余計な事言わないで!」余計じゃないわよ。すぐにお母さんの邪魔して……これが反抗期って奴なのかしら?」


「誰でもこうなるよ……」


「今の出流君も可愛いけど、この頃の出流君もすっごく可愛いよ!」

「ん、この笑顔は反則」

「この頃のイズっちと会いたかったなぁ」


 3人はニコニコしながら俺の小さい頃のアルバムをじっくりと眺めている。


「……出流君って本当に彼女いなかったんだよね? こんなに可愛いのに彼女いないってことある?」

「本当にいないから!」


 涼華は疑っているが、本当にいたことない。


「そろそろ彼女の一人や二人家に連れてきてもいいのよ?」

「二人連れてきたら問題でしょ……」


 母さん早く仕事に戻ってくれないだろうか……


 パシャパシャ


「……輝夜は携帯で何してるの?」

「えっ? イズっちの子供の頃の写真撮ってるんだけど?」

「そんなの撮らなくていいから!」


 俺は輝夜に携帯を仕舞うように促す。


 パシャ


 写真を撮る音が別方向からしたので、見てみると、エリが俺に向けて携帯を向けていた。


「……何してるの、エリ?」

「ん? 昔より今のイズの写真が欲しい。笑って?」

「今言う!?」


「出流君! 私も写真撮らせて!」


 エリがそんなこと言い出すもんだから、涼華まで乗り気だ。


「あらあら、なら私が写真撮ってあげるわ。ほら、四人とも集まって」


 母さんが携帯を構えながら、ニコニコとしている。

 俺が母さんの方を向くと、俺の両サイドは涼華と輝夜が陣取った。

 エリは涼華側に行くか輝夜側に行くか悩んでウロウロしている……


◆―――――――――◆

《SIDE 輝夜》


 悪いね、周防さん。


 イズっちの隣は譲りたくないから。


 一緒に写真と聞いて、あたしはすぐにイズっちの傍に寄った。

 

 先日さり気なく、ツーショットの写真は撮ったけど、機会があるならまだ撮りたいと思うのはあたしだけじゃないよね?


 仮に四人で撮ったとしても、うまくトリミングすれば、ツーショットのようにも見えるし。


 そんなチャンスを見逃すはずがない。


 んで、周防さんはどっち側に行くのかな?


「あー、エリ、俺の前か後ろとかどう? そしたら一緒に写るよ」


 ……イズっち?


「……ん、じゃあ前、イズ、椅子引いて」


 イズっちが椅子を引くと、前に周防さんが行って、そのまま撮るかと思えば、周防さんはイズっちの膝の上に座った。

 周防さんは顔を私の方にズラして、イズっちは涼華の方にズラして顔が写るようにした。


 ……はっ? はぁぁぁぁ!? そんなのズルじゃん! イエローカードだよ!


 完全にカップルみたいじゃん! 何してんの? ねぇ、何してんのぉ!? あたしがそこに座りたいんだけど!? イズっちも周防さんが落ちないようにお腹に腕回しちゃってさ!!


 しかも、周防さんが顔こっちにズラしたらトリミングできないんだけど!?


 や、やられた……まさか、そんな方法があったなんて……


 イズっちもイズっちだよ! なんて提案してんのさ!?


 あたしが動揺している間にも、周りは待ってくれない。


「じゃあ撮るわよー? ハイ、チーズ」


 パシャ


 あたし……ちゃんと笑えてたかな?


 絶対顔引き攣ってたと思う。


「ふふ、いい写真が撮れたわ。出流に送っておくから、出流、みんなに渡しといてね?」 


「あぁ、わかったよ」


「あとこれ」


 イズっちのお母さんがイズっちに封筒を渡している。

 イズっちは封筒を受け取ると、開けてチラっと覗いた。


「何これ?」


「病院代と外食できるように追加のお金……のつもりだったんだけど、ご飯作ってもらうなら、皆と遊ぶお金にしちゃいなさい。あと合宿で必要な物もあるでしょ?」


「あるけど、家にあるから大丈夫だよ。ランタン型の懐中電灯とかあったでしょ? 何ヶ月か前に買った」


「あれ壊れたわよ?」


「え、そうなの?」


「えぇ、お父さんが片付けてる時に棚から落として割ったわ」


「そうなんだ。じゃあ買わないと」


「明日買いに行きなさい。大型ショッピングモールなら売ってるでしょ。悪いけど三人とも、出流の面倒見てあげてくれないかしら?」


「はい!」

「ん」

「わかりました!」


「ふふ、よろしくね。涼華ちゃん、智恵理ちゃん、輝夜ちゃん。それじゃ、ご飯も頂いたから、そろそろ職場に戻るわね。出流、何かあったらすぐ連絡するのよ?」


「わかったよ」


「じゃあ、またね」


「「「「いってらっしゃい」」」」


 それだけ言うと、イズっちのお母さんはリビングを出ていって玄関が開く音が聞こえた。


 それからあたしたちもご飯を食べ終えて、食器を洗い終わった。


 そのまま話の流れで、お風呂に入ることも決まり、やっとあたしが考案した罰ゲームができる。

 

 さぁーて、イズっちと何しようかなー♪


 涼華は中々降りてこなかったし、周防さんはイズっちの膝の上に座って写真撮ったりしたんだから、それ以上に印象が残ることしたいよねー……

 

 二人っきりだし……少しだけ大胆でも……いいよね?


☆―――――☆

すみません、カクヨムの毎日更新の狙いで更新日をずらしました。

代わりに次話は12日に上がります。 8月中は毎日更新の調整としてこっちの更新をします。


遅くなりましたが、☆900突破しました!

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