第24話 初めまして!

《SIDE 出流》


「それで、目は大丈夫なの? ちょっと見せて」


 母さんが近づいてきて、俺の病院でつけてもらった眼帯を外した。


「! 酷い状態ね……こんなに腫れて」


「見た目だけだよ。片目見えなくて不便だけど」


「痛くはないのね?」


「下手に触らなければね」


「そう、なら良かったわ。安心して? ちゃんと犯人には社会的に死んでもらうから」


「そこは深くは突っ込まないよ……」


「……それで? この子たちは出流のお友達?」


「うん、こっちの黒髪で髪を編んでる子が涼華で、緑髪の子がエリ……智恵理で、金髪のポニーテルの子が輝夜だよ」


「初めまして、お母様! 同じクラスのかなえ涼華りょうかです!」

周防すおう智恵理ちえり……です」

「あたしはひじり輝夜かぐやです!」


「初めまして、出流の母親の御堂みどう流花るかよ。よろしくね、涼華ちゃん、智恵理ちゃん、輝夜ちゃん」


「「「よろしくお願いします!」」」


「私たちがいない間にまた女の子連れ込んで……なんでいる時に連れてこないのよ出流は」


「え、えぇ? 前そんなことしたっけ?」


「前の家で小さい時にあったわよ。家に居なさいって言ってたのに、外に遊びに行って女の子連れて込んで遊んでたじゃない」


「……記憶にないな」


「はぁ……それで? 今日は3人も連れ込んで遊んでたの?」


「言い方! なんかその言い方だと俺が無理やり連れてきたみたいじゃん!」


「あのねぇ、親いない時に異性を家に招くとか、やましいことしない限り、普通ないわよ?」


「……成り行きで?」


「はぁ……お父さんと同じね……なんでそういうところが似るのかしら? しかもこんな可愛い子たちなんて……出流? 女の子を泣かせたらダメよ?」


「わかってるよ!」


「で? その晩御飯はどうしたのよ? まさか、出流が作ったわけじゃないんでしょ?」


「ん、私が作った」


 エリが手を少しだけ手をあげて、返事をしてくれた。


「そうなの! ありがとうね、智恵理ちゃん!」


「お礼だから」


「お礼?」


「そう」


「ふーん? まぁ、あとで詳しく聞こうかしら。それで、そろそろいい時間だけど、涼華ちゃんと智恵理ちゃんと輝夜ちゃんはまだ時間大丈夫なの?」


「あー……ごめん、母さん。実は三人とも家に泊まってるんだ」


「……はっ?」


「あの、すみません、実は―――」


 母さんの疑問に、涼華が答えて事情を説明してくれた。


「そう……それは大変ね。智恵理ちゃんと輝夜ちゃんは?」


「色々助けてもらったお礼」

「あたしの所為でイズっちの目がこうなったから、お手伝いしてます」


「……これは色々話を聞いたほうが良さそうね。私も一緒に晩御飯食べちゃおうかしら」


「余ってるからいる……いりますか?」


「あら、そうなの? じゃあ、お願いしようかしら!」


 エリの問いかけに母さんが頷いたのでエリは厨房に向い、母さんは空いているお誕生日席に座った。


「本当にびっくりしたのよ? 貴方が怪我したって聞いたから」


「ごめんごめん。本当に大丈夫だからさ、皆も助けてくれるし」


「私が出流のこと話したら、お父さんも帰ろうとしだして、慌てて机の上片付け始めたのよ?」


「そ、そっか。それで母さんが来たの?」


「私も出流に会いたかったから、お父さんとじゃんけんして勝ち取ってきたわ!」


「どんまい、父さん……」


「お待たせ……しました」


「ありがとう、智恵理ちゃん」


 エリが母さんの分も用意してきてくれた。

 母さんもお礼を言って食べ始める。


「んー! 美味しいわねこれ!」

「よかった」

「智恵理ちゃんは料理上手なのねー」

「たまに家で作ってる」

「ふふふ、そう。泊まったってことは、もしかして昨日も晩御飯作ったのかしら?」


「昨日は私が作りました」

「あら、そうなのね! ありがとう!」


「明日はあたしが作ります!」

「あらあら! ふふふ、ありがとう、よろしくお願いするわね?」


 母さん普通に馴染んだな……


「それで? お礼って出流は何したの?」


「えっと、私の場合―――」


 それから涼華、エリ、輝夜の順番で、それぞれエピソードを話していく。

 各々が大袈裟に話しているような気がして、正直、ちょっと恥ずかしい……

 というか、本人の前で話すのやめない?


「あの……もういいんじゃないかな? ちょっと大袈裟に話してない?」


「そんなことないよ! 本当にうれしかったんだから!」

「命の恩人、感謝永遠に」

「イズっちが探すの手伝ってくれなかったら、ちょうど家に親居なくて帰れないところだったんだよ? 自分の服が汚れることを厭わずに、飛びついて猫を捕まえるとか……中々出来ないと思うけどね」


 涼華、エリ、輝夜が包み隠さず喋るから、俺の羞恥心は限界に近い。


「ふふふ、出流はみんなのヒーローなのね」


「……母さん、父さんが待ってるから早く戻った方がいいよ」


「すぐそうやって邪険にするんだから、そんなこと言うなら私にも考えがあるわよ?」


「考えなくていいから! 余計なことせずに、仕事に戻りなって!」


「ふーん? なら、考えを披露しちゃおうかしら」


 そう言うと、母さんは席を立って、2階に上がっていった。

 何する気なんだ……これ以上この場を掻き回さないでもらいたい……

 やがて、母さんは一冊の本を抱えて降りてきた。


「じゃじゃーん! 出流の小さい頃のアルバムでーす! 見たい人ー?」


「見ます!」

「見る」

「絶対見る!」


「やめろおおおおおお!」


☆―――――☆

すみません、夏の毎日更新キャンペーン狙う為、次話は一日更新ずらします。


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特に創作意欲に繋がるので星を何卒……!

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