第22話 水アル場所ニ、災イ、アリ

 軽く休憩したあと、お風呂掃除に行こうとしたら、本当にみんなついて来てくれた。

 いつもは一人だから浴槽をスポンジで洗うだけなんだけど、せっかくなら一気に綺麗にしてしまおう。この人数でやればすぐ済むだろうからありがたい。

 お風呂に行く前に、終わったあとお湯を貯めるのでお湯が出るようにボタンを押しておく。

 そして、お風呂場に着いたので―――


「スポンジとブラシが2個ずつあるから、二手に別れようか」


「うん! じゃあ、グーとパーで分かれよう!」


 涼華が提案してくれたので、それぞれが手を出し―――


「「「「グーとパーで分かれましょ!」」」」


 涼華と輝夜はグーを出し、俺とエリはパーを出した。


「じゃあ、俺とエリがブラシで、涼華と輝夜がスポンジでいいかな?」


「うん!」

「ん」

「おっけー!」


 それぞれに道具を渡し、掃除を始める。

 みんな、洗剤を使ってモクモクとお風呂場を掃除してくれている。


「ごめんね、みんな、手伝わせちゃって」


「私たちが言い出したことなんだから気にしないで?」

「泊まるから手伝うのは当然」

「イズっちはもう少しあたしを頼ってくれていいんだよ?」


「……はは! ありがとう! 四人ならすぐ済むだろうからパッパと終わらせようか」


「ん、イズ、水が欲しい」


 エリが風呂桶を蛇口のところに近づけ、水を桶に溜めようとしている。

 家のお風呂の蛇口は左が温度調整で右のレバーを奥に回すか、手前に回すかで蛇口から出すか、シャワーから出すか切り替えることが出来る。


「あぁ、その右のレバーを「ん」――あ、ちがっ!?」


 エリはレバーを奥に回した。

 家の蛇口は奥に回すとシャワーが出るようになっている。つまり―――


「わぷっ!?」


 シャワーから水が出て、エリをがっつり濡らした。

 エリは慌てて止めるがもう遅い。


「……うぇ」


「だ、大丈夫、周防さん?」

「どんまい、周防さん……」


 俺は慌てて、お風呂場を出てタオルを取ると、すぐにエリに渡した。


「大丈夫、エリ!? 寒いよね!?」


「……ん、水が冷たくないから、寒くはない」


 エリは俺からタオルを受け取ると、頭を拭き始めた。


「あー……ご飯の前に先に風呂入る? 沸かすよ?」


「ご飯作るからあとでいい。でも、着替えはしたい……あと洗濯機も借りたい」


「わかった。洗濯機の使い方教えるよ」


「ん……イズは洗濯する物ある?」


「俺の分はあとでいいよ」


「水道代が勿体ない。一緒に回す」


「はは、そっか。なら、俺の分も持ってくるよ」


「ん、部屋戻る」


「ごめん、涼華、輝夜、ある程度磨いたからシャワーで流しといてくれないか?」


「はーい!」

「あとは任せといて! お風呂も入れとくね!」


 エリは部屋に戻って行ったので、俺は洗濯物を洗濯機の中に放り込み、洗剤を入れて、回す準備を整えておく。

 にしても、エリってよく濡れるなぁ……


「イズ」


 着替えたエリが戻ってきたみたいだ。

 

「お帰り、洗濯物回す準備は出来てるよ」


「ありがと、これだけお願い。あと……乾かす場所ない?」


「あるよ。一応乾燥機付きだから乾かせるよ?」


「今乾かす」


「ん? 今?」


「ん……ブラは乾燥機使っちゃダメ」


 そ、そうなのか、知らなかった……


「あー、ごめん、そういうの知らなくて……こっちだよ」


 そう言って、俺は洗濯物を干す場所に案内した。

 そして忘れていた……

 涼華が洗濯物を干したことを……

 部屋に入ると、そこにはピンク色の可愛いブラが干してあった。

 そうか、だから涼華は昨日乾燥機は使えないって言ってたのか……


「ん、あれ、イズの家族の?」


「いや……多分、涼華の……」


「……私と同じくらい?」


 って! 見てたらダメだよな!?

 俺は慌てて、顔を背けた。

  

「あー、じゃあ、洗濯機回してくるよ」


「ん、私もご飯作る」


 そう言って俺は部屋から出て、お風呂場に戻ると、涼華と輝夜もお風呂場から出てきた。


「出流君終わったよ」

「お湯も溜め始めたから、あとで止めとくね」


「ありがとう、二人とも。あー、それと、涼華に謝らなくちゃいけないことがあって……」


「ん? 謝ること?」


「その……さっきエリを洗濯乾かす場所に案内して、干してあった下着を見ちゃって……」


「なんだ、そんなことべ……んー! ダメだよ、出流君! 乙女の下着を見ちゃうのは!」


「ほ、ホントにごめん!」


「じゃあ、罰ゲームだね♪」


「えっ?」


「まだ薬塗ってないよね? 今から塗ろう! 朝は輝夜ちゃんがやったんだから、夜は私の番ね♪」


「あ、あぁ、わかったよ」


 輝夜を風呂場に残し、俺は洗濯機を回して、薬を塗るために涼華と一緒に部屋に戻った。


「じゃあ、出流君、ベッドに横になろうか?」


「う、うん」


 涼華に言われて俺はベッドで仰向けに寝転がると、俺の上に涼華が寝転がってきた。

 涼華の胸が俺の胸板で潰れ、涼華の顔がすぐ近くにあり、女の子のいい香りが……

 この状態で目薬注すの……?


「え、えぇ?」

 

「ふふふ、じゃあ、目薬注すね?」


 涼華はそんなことおかまいなしに俺の瞼に触れ、少しだけあげると目薬を注してくれる。

 目薬が目に入った瞬間少しだけ体がビクっと反応してしまった。


「ふふふ、目薬、びっくりしちゃった?」


「う、うん、ちょっとだけ」


「出流君、可愛い♪ じゃあ、このままお薬塗り塗りしましょうねぇ〜」


 涼華はニコニコしながら、ゆっくり、ゆっくりと時間をかけて、その時間を楽しむように薬を塗ってくれた。


☆―――――☆

書いてて思い出したけど、じゃんけんで分かれるのって地域でかなり違うみたいですね……


大変申し訳ございませんが、一週間ほどお休みさせて頂きます。

詳細は近況ノートにて。


もしよければ、応援、フォロー、星をよろしくお願い致します。

特に創作意欲に繋がるので星を何卒……!

コメントもお待ちしております!

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