第18話 お昼は……知ってた!
俺は輝夜に膝枕してもらいながら、目薬を注して塗り薬をしてもらったあと、輝夜と一緒にリビングに向かった。
台所では、エリと涼華が料理をしているが……もう匂いでわかる。確実に辛いものだ。
「うわっ! 辛そうな匂いがここまでくるね」
「はは、エリが料理するって言うから多分そうなると思ってたよ」
「へぇー? 周防さんって辛い物好きなんだ?」
「うん、エリはタバスコが大好きで色々詳しくてさ、この間学食でトマトスープにハラペーニョを入れて、飲ませてもらったけど、すごくおいしかったよ」
「そうなんだ、イズっちは辛い物好きなの?」
「んー、普通かな? あんまり辛すぎる物は好きじゃないけど、ほどよい辛さは好きだよ。ピザとかにタバスコをかけたりしてるかな」
「なるほどね。どういう味が好きなの?」
「濃い目の味付けが好みかな」
「はは、男の子はみんな濃い目の味付け好きだよね」
「そうだね、輝夜とかはやっぱり、甘い物が好きなの?」
「まぁね! ただ食べると太るから、控えるようにしてるけど」
「あー、甘い物って太りやすいもんね」
「そそ! でも、食べたくなるんだよねぇ……」
「なら、おやつにバナナパンケーキでも作ろうか? 果糖だから食べ過ぎなければ、太ることもないし」
「いや、イズっちは料理しちゃダメだから」
「そうだった……じゃあ、目が治ったらご馳走するよ」
「へへ、期待してるね! じゃあ、あたしも手伝ってくるよ。イズっちはリビングで、寛いでて」
そう言って、輝夜も台所に行ったので、俺はリビングで朝と同じようにして、待つこと十分。
「イズ、出来た。食べよう?」
「うん、ありがとう、エリ」
「ん、気にしなくていい」
「出流君、もう並べたから食べよう?」
「イズっち、早く来ないとイズっちの分無くなっちゃうよ!」
俺はテーブルへと急ぎ、席についた。
テーブルの上には―――
「ラーメン?」
「ん、3人のは辛味を抑えた」
ラーメンにはニラ、もやし、豚肉、青梗菜に溶き卵を入れてある。
ご飯を入れるとクッパになりそうなやつだ。
「それじゃあ―――」
「「「いただきます!」」」
まずはスープからだよな!
俺はレンゲでスープを口の中に入れる。
「! うん! ごま油が効いて、ピリッとした辛さでおいしいよ、エリ!」
「よかった」
「うんうん! すっごくおいしいよ!」
「これ、パクパク食べちゃうやつだね」
涼華と輝夜にも好評のようだ。
そのままモクモクとみんな食べている。
程よい辛さというのは食欲を刺激して、箸が止まらなくなる!
そう……あっという間に麺を食べきってしまった。
「……しまった。あまりの美味しさに食べきってしまった」
「イズ」
「ん?」
「ご飯いる?」
「!? あるの!?」
「ん、足りないかもしれないから、クッパが出来るように家からご飯持ってきておいた」
「完璧だね!」
「ふふ、当然。二人はいる?」
「少しだけ欲しいかな」
「あたしも少しだけ」
「ん、待ってて」
そう言って、エリはまた台所の方にご飯を取りに行ってくれた。
ふぅ……にしても、汗が出てくるな
みんな汗かいてるし、タオルを取ってこよう。
俺は席を立ち、洗面所に向かうと、4人分のタオルを取ってきた。
「よかったら使って」
「ありがとう、出君!」
「イズっち、ありがとう!」
「お待たせ」
エリもご飯を持って戻ってきた。
俺たちはエリが持ってきてくれたご飯を入れてクッパにし、大満足のお昼だった。
「はぁー! 美味しかった!」
「ふふ、ちょっと食べ過ぎちゃったかも」
「だね、お昼からお腹いっぱいだよ」
「ん、大勝利」
涼華、輝夜は満足気に、エリは勝ち誇ったようにして、昼食を締めくくった。
「ふぅ……さて、何しようか?」
「出流君は普段この時間何してるの?」
「んー、夜とあんまり変わらないけど、友人と遊んだりとか、晩御飯の買い出しにブラブラ出掛けたりすることもあるかな」
「晩御飯の材料は昨日買っちゃったからねー」
「そうだね。昨日は映画見てたし、ゲームでもする?」
「テレビゲーム?」
「うん、パーティゲームとかレースゲームとかあるよ」
「いいね! レースゲームやろうよ!」
「わかった。じゃあ準備するよ」
そして、俺はゲームの準備を始め、準備が整ったタイミングで―――
ーーー♪ーーー♪ーーー♪
俺の携帯が鳴り始めた。誰だろう?
携帯のディスプレイを見ると―――母さんだ。
「ごめん、ちょっと待ってね」
俺は皆に断りを入れて、少し離れて電話に出た。
『もしもし?』
『もしもし、出流? 元気?』
『あぁ、元気だよ。どうしたの?』
『出流の声が聞きたくなったのよ。ごめんね、一人にさせちゃって』
『いつものことだから、大丈夫だよ』
『そう、病気とか怪我とかしてないのよね?』
『あー……ちょっと目をやっちゃった』
『えっ? えっ? やっちゃったって何?』
『えっとー……引ったくり捕まえたんだけど、引ったくりに殴られて、目が腫れちゃって』
『……そう、犯人の名前は? ちょっとお父さんとお友達連れてお礼しにいくから、教えて頂戴?』
『い、いや、興味ないから聞いてないよ。心配しなくて大丈夫だから』
『ちゃんと病院には行ったの? 他に怪我はしてないでしょうね?』
『う、うん、病院には行ったよ。薬は貰ってるから大丈夫だよ。あとは……あぁ、片目見えないから料理しようとして、手を切っちゃったくらいだよ』
『……そう、わかったわ。それじゃ』
プツッ
……えっ? そこで電話切るの? もう少し電話してもいいと思うんだけど?
まぁ、仕事中だろうから忙しいんだろうな。
俺は電話を終えて、携帯をポケットにしまって、みんなの所に戻った。
「ごめん、ごめん。お待たせ」
「うんん、大丈夫だよ。準備しておいたからみんなでやろう?」
「準備万端」
「お帰り。みんなで話してたんだけど、最下位の人は罰ゲームね!」
涼華、エリ、輝夜がそれぞれ返事をしてくれた。
……えっ? 罰ゲームあるの?
「ば、罰ゲームって何するの?」
「1位の人が4位の人に無理のない範囲でお願いする感じで!」
無理のない範囲でか……なら大丈夫かな!
☆―――――☆
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