第17話 参戦


 洗面所で顔を洗い、歯を磨いて、朝食の準備をする。

 パンとコーンスープは簡単だからいいとして……

 包丁使わない物なら大丈夫だよね?

 そんな感じで準備していると、涼華と輝夜が降りてきた。


「あっ、出流君、私が準備するから座ってて。お泊りさせてもらったのに、何もしない訳にはいかないから」

「イズっちは怪我してるんだから、大人しくしてて」


「う、うん。じゃあお願いします」


 台所から追い出されてしまった……あぁ、そうだ。


「涼華の歯ブラシは持ち手が水色の水玉模様のやつを使ってね。さっき出したばっかりで新品だから」


「色々ありがとう! あとで買いに行かなくちゃって、思ってたから助かったよ!」


「はは、よかったよ」


 涼華と、輝夜は洗面所に行ったので……どうしようか?

 俺は手持ち無沙汰になったので、部屋から携帯を取ってきて携帯を弄りながら待つことにした。

 涼華と輝夜は顔を洗い歯を磨いてきたみたいなので、そのまま台所に行き朝食の準備を始めた。

 一応パンとコーンスープの準備だけしていたことを伝え、のんびり待つことにしたが……

 友人に何かをやらせて自分だけボーっと待ってるのは、なんか悪い気がするな……


 ピンポーン


「はーい!」


 こんな時間に誰だ……?

 俺は玄関に向かい、扉を開けそこにいたのは―――


「おはよう」


 朝からやって来たのは両手に袋を持ったエリだった。


「お、おはよう、随分早いね?」


「ん、朝食作ってあげようと思って」


「そうなんだ、わざわざありがとう。とりあえず、中に入りなよ」


 俺はエリを中に入れ、リビングに向かおうとしたが―――


「……もう二人とも来てる?」


 エリは玄関の靴を見て、涼華と輝夜がいることを察したようだ。


「あ、あぁ、二人は昨日家に泊まったんだ」


「えっ……なんで?」


「涼華が家に帰れなくなって、昨日と今日家に泊まることになって、輝夜もそれに便乗してきたんだ」


「……ずるい」


「ず、ずるい?」


「私も泊まる」


「え、えぇ? エリも泊まるのか?」


「うん、私はダメ……?」


「いや、そんなことないよ!」


「じゃあ泊まる。これ」


 エリは俺に両手に持っていた袋を渡してきた。


「それ食材。一回家に戻る。昼までには来るから、じゃっ」


「あ、あぁ、待ってるよ」


 エリはそれだけ言い残すと携帯を取り出し、電話しながら帰っていった。

 俺は袋を持って玄関に入り、台所へ向かった。


「ん? どうしたの出流君」

「袋? どうしたのそれ?」


「エリが来たんだけど……二人が昨日泊まったこと話したら、自分も泊まるって言って家に帰っていった」


「……ふーん、そうなんだ」

「……へぇー、やっぱりね」


 涼華と輝夜は何か納得したようだが……?


「ま、まぁこの際一人増えたところで何も問題ないからさ」


「問題しかないけど、仕方ないね」

「ここであたしたちが拒否する訳にもいかないからね」


「? 何かまずいの?」


「うんん、気にしないで。それより、もうすぐ出来るから座ってて?」

「そうそう、あたしたちのことはいいから。ほら、袋も預かるから」


 輝夜に袋も取られてしまったので、また大人しくリビングで携帯を弄ることにした。

 そして、少し待っていると涼華がやってきた。


「お待たせ、出流君。朝ごはん食べよう?」


「うん、ありがとう。ごめんね、任せっぱなしで」


「ふふ、こっちはお泊りさせてもらってるんだから、気にしないで」


 輝夜は台所から料理を運んできてくれている。


「輝夜もありがとう」


「いいって、好きでやってるんだから」


 朝食の準備が整ったので、涼華と輝夜合作の朝食をおいしく頂いた。

 皿洗いはさすがに手伝い、俺も着替えたかったので部屋で着替えさせてもらった。

 ちなみに輝夜は私服だが、涼華は替えの服がないので……俺の部屋着を着ている。

 そのあとは、エリが来るまで時間を潰そうという話になり、俺の部屋でそれぞれ漫画を読んだり、テレビを見たりしている。

 そして―――


 ピンポーン


「来たかな? 行ってくるよ」


「「はーい」


 俺は玄関に向かい、扉を開けると案の定、大きな鞄を抱えたエリが立っていた。


「いらっしゃい」


「ん、今日からよろしく」


「あぁ、よろしくな。ほら、あがって」


 俺はエリを中に入れ、部屋へと連れて行き、部屋へ招き入れた。


「エリもきたよ」


「昨日ぶり、二人ともずるい」


「あはは……家に帰れなくなっちゃったから……」

「涼華が泊まるって知ってね」


「今日から私も泊まるから、よろしく」


「……周防さんはなんで泊まりにきたの?」


 涼華はエリが泊まる理由を聞いている。


「? 楽しそうだから」


「……それだけ?」


「ん」


「んー……そっか」


「ん、イズ、お昼は食べた?」


「いや、まだだよ」


「なら、私が作る」


「いいのか? 晩ごはんも作るんだろ?」


「簡単な物だから、問題ない」


「……わかった。今日はその言葉に甘えさせてもらうよ」


「ん、楽しみにしてて、じゃあ作ってくる」


 そう言ってエリは、持ってきた荷物を部屋に置くと、そのままお昼ご飯を作りに台所に向かっていった。

 何か聞かれるかもしれないし、俺もリビングに降りとこうかな。


「エリに何か聞かれるかもしれないし、俺もリビングにいるね」


「うん、じゃあ私も周防さんのお手伝いするよ」

「あたしも手伝おうかと思ったけど……イズっち薬塗った?」


「……忘れてた」


「ほら、目薬と塗り薬貸して? やってあげるから」


「じゃあ、私は先に行ってるね」


 涼華はエリを追いかけて台所に向かった。

 俺は目薬と塗り薬を輝夜に渡し、胡座をかいて座り目薬を注しやすいように上を向くが……


「イズっち、ここに頭を乗せて、その方がやりやすいから」


「ん?」


 輝夜の方を向くと輝夜は正座をしてふとももをポンポンと叩いていた。

 ひ、膝枕ですか……?


「い、いいの?」


「ほら、はやく」


 輝夜に急かされるので、俺は恐る恐る輝夜のふとももに頭を乗せた。


「へへ、いらっしゃい」


「う、うん、よろしくね」


 そのまま目薬を注してくれるかと思ったが、輝夜はニコニコしながら俺の頭を撫でている。


「か、輝夜?」


「なーに?」


「目薬注してくれるんじゃ……?」


「もう少しだけこのままね」


 そのまま俺はニコニコした輝夜と目を合わせて、軽くお話しながら少しの間膝枕をしてもらった。


☆―――――☆

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