ゲーム中盤で死ぬ悪役貴族に転生したので、外れスキル【テイム】を駆使して最強を目指してみた 〜俺だけが幻獣や神竜をことごとくテイムできる件。しかも魔物の能力も使えます〜
第48話 VSデストラクション・ゴーレム 前
第48話 VSデストラクション・ゴーレム 前
デストラクション・ゴーレムをここで倒すと決意したまではいいが、問題はその方法だ。
剣や魔法による攻撃は、高い耐性によってダメージが半減以下となる。
正確には、武器による攻撃は約50%減少。魔法攻撃にいたっては80%近く減少していたはず。武器破壊というギミックを味わってもらうため、魔法ではなく武器を使って戦ってほしいというゲーム会社の意図が透けてみえる。
いずれにせよ、ダメージを与えるなら武器の方がまだいい。
魔法を使う場合、元々の敵の耐久力も加味すれば、【魔力の女王】状態のリーベであってもまず通用しないだろう。
まさに、万事休すといった絶望的な状況。
だが、挽回の手がないわけではない。
俺はちらりと視線だけを後ろにやり、ゴルドたちの様子を窺った。
「…………?」
本当なら他人に見せるつもりはなかったが、状況が状況だ。
このモンスターは手を抜いて倒せるような相手ではない。
俺は決意を固めると、改めてデストラクション・ゴーレムと相対する。
そして、力強く叫んだ。
「お前の出番だ、ガレル!」
「ガルルゥゥゥゥゥ!」
異空間からガレルを召喚すると、そのまま
ガレルは雄叫びを上げながら地面を蹴り、一気にデストラクション・ゴーレムに迫ると、渾身の一撃を叩きこんだ。
『ゴォォオオオ!?』
直後、デストラクション・ゴーレムが痛みに悶え苦しむような悲鳴を上げる。
ガレルが振り下ろした爪攻撃によって、ヤツの分厚い装甲が一部砕け散ったからだ。
それを見た俺は、小さく拳を握りしめた。
「やっぱりな。予想通りだ」
なぜガレルの攻撃がデストラクション・ゴーレムに通じたのか。その理由は単純。
敵がダメージを軽減させるのは、あくまで武器や魔法による攻撃に限られる。
その点、ガレルの爪や牙は体の一部でしかなく、武器判定に含まれないのだ。
加えて、ガレルが装備している【三叉槍の首飾り】もまた、武器ではなくただのアクセサリー。
筋力、スタミナ、速度の各パラメータを20%上昇させるという装備効果を十全に発揮することができる。
武器や魔法が通用しないのであれば、素の身体能力が高い
敵が
つまり、
「この勝負の肝はお前だ、ガレル!」
「バウッ!」
ガレルは力強く吠えた後、そのまま猛攻を開始する。
デストラクション・ゴーレムの周囲を縦横無尽に駆けながら、次々と爪や牙でダメージを与えていった。
「何が起きてるんだ!? いきなり何もないところから魔物が現れたと思ったら、あの怪物と戦い始めたぞ!?」
その光景を見て、ゴルドが驚愕の声を零す。
他の冒険者にテイムの力を見せることになったのは想定外だが、今はそんなことを気にしてられる余裕はない。
敵とガレルの戦闘に視線を戻した俺は、ここでわずかに眉をひそめた。
(……思ったより、ダメージが通っていないな)
ガレルの単体戦闘能力はAランク下位~中位程度。
首飾りの効果があるとはいえ、単独でAランク上位のボスを圧倒するのは難しいということだろう。
それに少しずつ、デストラクション・ゴーレムがガレルの動きに慣れつつある。あのままだと近いうちに反撃を受けるだろう。
援護に入りたいところだが、今の俺には木剣が一本しかない――
「――いや、待てよ」
ここであることを思い出した俺は、体中の魔力を手のひらに集めていく。
集った魔力は、徐々に一つの形へと変化し始めた。
(そうだ、俺にはまだこれがあった。リーベをテイムしたことで得た新たな
やがてそれは、一振りの剣へと姿を変えた。
続けて左手にも、もう一本の剣を作り出す。
「よし、これなら……!」
武器が破壊されることを恐れずに攻撃を仕掛けられる。
そう確信した俺は、両者の攻防の隙をつくようにして駆け出した。
「はぁあああああ!」
『ゴゥゥゥ!?』
死角から、デストラクション・ゴーレムの脚部に向けて斬りかかっていく。
一本目は二振りで、二本目はたった一振りで破壊されてしまったが――
「――それでも、ダメージ自体は通る!」
いくらダメージが半減されるとはいえ、決して0になるわけではない。
威力が低くなることと、武器が破壊されることさえ覚悟すれば、戦う術はいくらでもあるのだ。
ただ――
(俺の熟練度だと、剣の生成が間に合わないな)
剣が壊れるごとに新しい物を生み出していくも、そこには無視できない
デストラクション・ゴーレムは知恵を働かせ、こちらの動きが止まったタイミングで反撃を仕掛けようとしてくる。
今は俺もガレルも紙一重で敵の反撃を躱しているが、このままだと時間の問題だろう。
だが、解決策はある。
俺の生成速度で間に合わないというのなら、いっそのこと――
「ラブ、ありったけの剣を作り出してくれ!」
「もうやってるわ――よ!」
「っ!」
ギュン、と。
二振りの剣が、高速で俺の手元に飛び込んでくる。
それを受け取ってからリーベに視線を送ると、彼女の周囲には既に十本以上の剣が浮かび上がっていた。
その光景を見た俺は、にっと笑う。
(最高のサポートだな)
俺の考えを読みきった上で行動していたのもそうだが、高速で移動する俺に対して正確に剣を送るのは、見た目以上に難易度が高いはず。
それを難なくやってのける彼女は、さすが魔王軍幹部と言えるだろう。
これで武器の供給問題は解決した。
俺は剣が破壊されることも
既に破壊された本数は10を超えたが、そんなことは最早どうでもいい。
なぜなら、これはゲームではなく現実。
完全な勝利など初めから必要ない。
重要なのは、犠牲者を一人も出さずコイツを倒しきること。
そのためなら――
「100本でも、1000本でも付き合ってやる。お前が力尽きる瞬間まで!」
俺とガレルの猛攻が、徐々にデストラクション・ゴーレムを押し込んでいった。
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