人生

カエデ

人生

曲が出来ない。歌詞もメロディも何も浮かばない。何を描きたいか決まっていないからだ。だが私は音楽家なのだから作らなければならない。

今まで私は欲しいものはなんでも手に入れてきたつもりだ。なんでも、とは言っても私が欲しくなるのは物ではない。他人の持つ輝きだ。私には人の秀でた能力や魅力を見た時にそれが輝いて見える。綺麗な宝石を見た時のような、そんな感じだ。そして欲しくなる。そして手に入れる。そうやって来た結果がこれだ。曲が作れなくなった。今までそんなことは経験したことがない。私は言葉は世界でメロディは道標だと思って生きてきた。それが全て無くなった。恐らく私が今まで手に入れてきたものは幻想だったのだろう。そもそも人の輝きというのはその人が人生をかけて手に入れたものだからこそ輝くのだ。私が得たものは所詮は模倣で本物には遠く及ばない。まるで私はおもちゃの剣を勇者の剣だと思い込むよう子供のようだ。何もない何者にもなれない、それが私だ。

ここ最近はいつもそうだ。作曲に取りかかるといつもこの思考に陥る。意味が無いことはわかっている。わかっているが考えずにはいられない。このままだと私はーーー。

今日はこのくらいにしておこう。これ以上考えることに意味は無い。本質がそこにはないことを私は知っている。何を輝かせるかなんてのは当人が決めることができるのだから。だがそれはゆっくりと考えればいいだろう。私たちはこれからも曲を作り続けなければならないのだから。

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人生 カエデ @kaede000108

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