第29話 レオン VS 先代四天王2

 爆風でアースジャベリンの槍は飛ばされてしまい、剣山のようになっていた大部屋がスッキリした。


 巨大な隕石は鎮座してますがね!



『あ、ありえん! あの規模の魔法をたった1人で行使しただと!?』



 先代四天王の獣人は、部屋の惨状を見て驚いた様子を見せている。



『しかもあやつは戦士のスキルも使用していたぞ!』



 ふふふ、それはスキル構成次第では可能なんだよなぁ。


 俺は各職の便利なスキルは一通り揃えているんだ。


 だからこんな大魔法だって、詠唱短縮や消費魔力削減などの自力を底上げするためのパッシブスキルを駆使してこの通りってね。



 さて、先代四天王も残り2人。

 獣人とダークエルフのみ。


 そしてダークエルフの方は冷静に動き出していた。


 ……っつ、やっぱりそう来たか!


 一瞬視界のはしに黒い影がチラついたと思ったら、もう俺のすぐそばまで肉薄してきている。


 これは暗殺者系の動きだ。


 俺が身構えると、相手は死角へと回り込む。


 見えない位置から仕掛けるつもりなんだろう。

 ははっ、甘いなぁ。



「ガードリフレクション」


『くぁっ!』



 俺に迫っていたダークエルフが、防御スキルにはばまれて弾き飛ばされた。


 騎士系の防御スキルを舐めないでいただきたい。

 こういう手合いに便利なんですよ!


 たとえ見えていなくても、全方位を守ってくれるのでお手軽に防御ができる。

 まぁレベルが上がったからこそできる芸当ではあるんですがね。


 そして、足の止まったダークエルフをこのまま逃すほど間抜けではない。



「ソニックスラッシュ」



 速度重視のスキルを発動させて、相手が体勢を立て直すよりも早く斬り掛かる。



 ガキィン!


『くっ!』



 ダークエルフはナイフを取り出し、崩れた体制で俺の剣を受け止めた。


 よし、ここまで接近できれば、あとは俺のターンだ。



「ダブルスラッシュ」「ソードエッジ」「ブレイドストライク」



 縦横斜めに次々と剣撃を繰り出す。

 スキルの連続使用によるコンボだ。


 この連続攻撃をダークエルフはギリギリでしのいで見せた。

 まぁ、騎士系の定番コンボだから、防がれるのも想定済みだ。


 だからこそ、この手がきる。



「ディレイキャンセル」



 スキル使用後の硬直を消す暗殺者系スキルを使い、俺は再び動き出す。



『なっ!?』



 その反応は知らなかったな?

 騎士系のコンボに暗殺者系のスキルを合わせると、コンボが爆伸びするんだぜ?



「ソニックスラッシュ」「ダブルスラッシュ」「ソード……


『そんな! まさか!』



 さらなる剣撃を受け止めるダークエルフだったが、

 スキルを組み合わせた俺の方が圧倒的に手数は上だ


 しかし、さすがは先代四天王。

 残った獣人がこの隙をついて飛び込んできた。



『貴様ぁぁぁぁぁぁ!』


「ガードリフレクション」


『ぐはぁぁっ!』



 甘い甘い。

 俺が多対1の立ち回りができないとでも?


 『エンシェントクエスト』やり込み勢を舐めないでいただきたい!


 横槍が入っても止まらない俺のコンボでダークエルフをメッタ斬りにする。



『ぐああぁぁぁぁぁぁ!』



 ダークエルフ系は素早いからな、こうやって逃がさないように手数で押すのが1番だ。


 しばらくコンボを継続させたところで、ダークエルフが光となって消えた。


 これで3人目。

 あとは獣人だけだ。



『ありえん! 貴様何者だ!?』


「いや、だから補佐役だって言ったでしょう?」



 今さら何を言ってるんだかこの獣人は。


 

 さて、獣人の戦士の倒し方だが、これも定番の方法があるんだ。


 この間のウルガイン戦のように、無理して剣で戦う必要もない。

 なので確実な方法を取らせていただきます。



「フレイムバレット」「フレイムバレット」「フレイムバレット」



 目の前に炎のつぶてを30個ほど生み出すと、獣人目掛けて飛ばした。


 ドドドドっと音を立てて飛ぶ様子はまるで弾丸のようだ。


 飛んできた魔法を見て、急いで避ける獣人。



「エコーマジック」



 ここで補助系統の魔法を使う。


 この魔法は一定時間内に使用した魔法を、クールタイム無視で再発生させるものだ。


 これが何を意味するかというとだな。


 目の前に新たな炎のつぶてが30個生み出され、獣人に向かって射出された。



『ちょっと待て! まださっきの魔法も終わっていないのに!?』



 最初の30発を撃ち終わる前に、追加の30発を生み出して放つ。


 それを慌てて避ける獣人だが……残念だったな。


 フレイムバレットの再使用時間だ。



「フレイムバレット」「フレイムバレット」「フレイムバレット」



 さらに追加の30発を作成して撃ち出す。



『あ、あり得んだろ! そんな魔法の連続使用など……』


「エコーマジック」



 いやいや、あり得ますよ?

 魔王軍では補助魔法はマイナーだから知らないだけで、チートでもなんでもない。


 魔法には魔法の凶悪コンボが存在しているんだ。


 ドドドドドドドドと、マシンガンのように途切れることなく魔法を放ち続ける。


 はい。逃げ惑う獣人には悪いんですが、あとは時間の問題です。


 このモードは完全に動く砲台なんでね。

 逃げられないですよ?


 ついでに時短もするか。



「ストーンウォール」



 石壁を作り出して、獣人の回避先を塞ぐ。



『な、なんだとぉ!?』



 獣人が急な壁の出現に驚いている隙に、さらに魔法をつむぐ。



「ストーンウォール」「ストーンウォール」



 ドン、ドンと新たな石壁が現れて、獣人を囲っていく。



『くそっ! しまった!』



 逃げ場を失った獣人は、石壁に張り付いて顔をこわばらせる。


 そこに大量の炎のつぶてが殺到。



『ぐわあぁぁぁぁぁぁ!』



 石壁で作られた狭い空間に延々と魔法を打ち込む。

 足を止めてしまえばこっちのものだ。


 ほどなくして、虹色の光の輝きが見えた。


 死亡エフェクト確認っと。

 よし、これで全員だな。






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ここまで読んでいただきありがとうございます。

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