第23話 悩めるレオン
あれから自室に戻った俺は、一人作戦会議アンド反省会をすることになった。
ついつい調子に乗って返事をしてしまったんだ。
いや、あれはアナスタシア様の頼み方が悪い。
あんなんクリティカルだっつーの!
それでついうっかり、でかい口を叩いてしまったわけだが……。
魔王軍の意識改革ってどうすりゃいいんだって話だ。
ただ、解決の糸口が無いわけではない。
アナスタシア様は言っていた。
オルモントが賛同して騎士たちは協力的だと。
つまりだ。
四天王を抑えてしまえば、その下についているものたちは芋づる式に協力してくれると。
そういうわけだ。
問題は四天王が一癖も二癖もあることなんですがね!
オルモントを除いた残りの四天王といえば、ウルガインとエリーとイシュリナだ。
ウルガインに関しては俺との戦いの結果、今は入院中だったはず。
奴とは思いっきりバトった関係上、一番恨まれているんじゃないかと思っている。
めっちゃキレてたし。ヨダレとかすごい飛んできたし。
協力関係を築くどころの話じゃないんだよなぁ。
むしろ、いつどこでリベンジを仕掛けられてもおかしくないくらいだ。
うぅ、怖い怖い。
ゲーム内ではバトル狂いのキャラで『戦争なんかどうでもいい! おれは強い奴と戦いてぇんだ!』っていう強者ムーブをかましていた奴だったし。
まぁ、こいつに関しては退院後に手を打つしかないので今は保留しよう!
エリーは俗にいう、のじゃロリだ。
年齢は非公開だったので、ロリババアかどうかは不明。
でも多分ロリババア。容姿は金髪ロングの魔女っ子。
知的好奇心が強くて、
俺が前世の話を誰にも言わないのは、そんな彼女のレーダーに引っ掛かることを恐れてのことだ。
魔王軍の研究熱心な幹部なんて、そりゃもうマッドですよ。マッド。
興味関心を引こうものなら、誘拐されてあんなことやこんなことを……あわわわ。
その反面、興味の無いことには
あまり近寄りたい存在ではない。
でも彼女も四天王の1人だからなぁ。どうしたものか。
そしてダークエルフのイシュリナだが……。
ぶっちゃけこいつが1番謎なんだよなぁ。
なぜならゲームに登場したイシュリナと全く違うからだ。
一応、容姿に関しては同じで、ナイスバディの美人なダークエルフお姉さんなんだが、性格というか立ち振る舞いというか、それが全く違う。
ゲームでは主人公絶対殺すマシーンと化していて、殺意しかない存在だった。
血走った目を大きく開いて、片言でコロスとしか言わない、まさに狂気の女。
神出鬼没で、色々な場所に急に現れるもんだから、こいつだけホラーゲーム扱いされていたし。
そんなイシュリナだが、この世界では普通っぽくはある。
接点がないのでハッキリとはわからないが、少なくとも他人との会話はマトモに成立しているようだ。
とはいえ、彼女の趣味嗜好に関して全くデータを持っていないので、どう攻めたものか……。
…………。
だめだ。
これ以上悩んでも仕方がない気がする。
まずは自分がやれる事をやるべきだ。
俺は立ち上がり、すぐそばに立てかけてあった剣を手に取ると自室を出た。
この慣れ親しんだ兵舎も、もうすぐお別れなんだよなぁ。
なんでも補佐役としての部屋を魔王城内に用意してもらえるとか。
その時俺は内心で思ったよ。
いらねぇぇぇって。
城住みって前世では憧れている人もいたけど、俺は嫌なんだよなぁ。
プライベートのお城なら憧れるよ?
そんなものあるのかどうか知らないが。
でも魔王城って職場じゃん?
職場に住む部屋をもらっても嬉しくないっての!
断固拒否の精神を宿しつつ、やんわり断ったんだけどなぁ。無理でした。
まぁ住む場所の問題は置いておこう。
俺は魔王城の城門までやってくると、門を守っている騎士に話しかけた。
「今から外へ向かいます。門を開けてくれませんか?」
用事がね。あるんですよね。
ちょっと行ってきます。
「はぁ? お前誰だ? 開けられるわけねぇだろ!」
……やっぱり泣いていいか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます