第19話 少年野球のヤバイ話⑥

 短編小説くらいにはなりそうですね。

 話が長くなってすみません💦

 もう少しだけお付き合いください!(*´人`*)


 少年野球Eチームの中で、大きな存在となっていったN家。

 そんなN氏にも、欠点がありました。……欠点というか、弱点ですね。

 私、人の体形体格についてあれこれ言うのは大嫌いなのですが……これを書かないと話が進まないので、許してください!(。>ㅅ<。)


 N氏は、小柄なタイプで、身長も男性の平均より低かったかと思います。

 野球に限らず、スポーツ全般として、身長や体格が大きい人の方がもちろん有利ですよね。

 その中で、N氏は、自分の小柄な体形でも通用できる技術を、ご自分なりに磨いて、努力されていた方でした。

 そのことは、N氏ご自身が話されていたので事実です。

 N氏は、その努力と技術について大変な自信をお持ちだったのです。


 一方、風雅ジュニアは、小学低学年にしては、身体がデカかった!(笑)

 4248gで出産しましたからね。産まれた時からデカかった!

 でかすぎて出てこなかったので、急遽帝王切開に……と、話が脱線してしまうので、この話は、また別のときに💦

 そこからもうニョキニョキと……小学低学年の平均は超えていました。


 体格も大きかったし、運動神経も良かった。

 親の贔屓目ひいきめではなくてですね💦

 学校のスポーツテストで、ボールを投げる種目があるじゃないですか。

 一年生男子の平均は、【8.47m】だそうです。運動神経のいい子なら10mは超えるかな?

 風雅ジュニアは、20mいったそうです。

 小学4年生の平均ですね。まだ一年生になったばかりの頃にですよ。

 学年で1位だったそうです。

 家に帰ってきて、ジュニアが「先生に『化け物がいる』って言われた~」と言ってましたからね。先生も、相当驚いたのでしょう。


 ……ちなみに、風雅が小学生の頃のボール投げMAXは、14mです!

 本当に私の腹から生まれた子供でしょうか?

 ( ºωº )チーン…


 そして、風雅ジュニアは、球を投げるスピードも速かった。

 二年生になる頃には、75キロくらい平気で投げていました。

 小学四年生くらいの平均です。

 肩が強かったのですね~。逆に、足は遅かったけど!(笑)


 そんな風雅ジュニアを見て、N氏がどう思ったと思いますか?


 おそらくですが……ご自身の子供時代を思い出して、無意識化にでも嫉妬心が芽生えていたのではないかと思われます。


 N氏の息子Nジュニも、身体が小さかった💦

 投げる球も遅い。

 それをN氏は、一体どんな気持ちで見ていたか……想像に難くないです。


 別に私は、身体の大きい小さいや、球のスピードが速いから自分の息子がえらい!とか思ってないですよ💦

 少年野球は、まず野球を楽しむこと!

 そして、礼儀を学び、チームワークを学び、互いを敬う心を養うことが大事だと考えています。


 だから、風雅ジュニアが野球を楽しんでやっているなら、それだけで私は満足でした。


「もう俺……耐えられそうにない」


 はじめにそう言いだしたのは、うちの夫でした。

 もうチームを辞めたい、と言うのです。

 楽しそうに野球をやっていた筈なのに、一体どうしたのかと、私は驚きましした。


「もう俺は、についていけない」


 あの人とは、もちろん、N氏のことです。

 その時、私は、完全にNママの魔法にかかっておりましたので、N家に対して全く悪い印象は持っておりませんでした。

 ……というか、私は基本的に人を嫌いになりませんし、負の感情をもつのが苦手です💦 そんな私にとって、夫の発言は、寝耳に水でした。


 夫の話をよくよく聞いてみると、どうやら野球の練習中、N氏の風雅ジュニアに対する態度がヒドイそうなのです。


 例えば、他の子に対して「風雅ジュニアよりも球が速い!」と言ったり(パパ曰く全然遅いそうです💦)、風雅ジュニアが「俺の球速い?」と褒めて褒めてアピールをすると(笑)、N氏は「野球は球の速さじゃなくて、もっと守備がうまくならないとダメだろ」的なダメ押しをする。

 ……いやまぁ、野球で守備が大事なのは分かりますよ💦

 間違ってはいない。いないけれども……夫がいる傍で、他の子と風雅ジュニアを比較して、風雅ジュニアをけなすような言い方をするそうなのです。


 まぁ、風雅ジュニアには、自己顕示欲が強いところがありました。

 家であまり褒めてやってないからでしょうか。

 それでもねぇ。小学一、二年生が言うことですよ?


「すごいねー! じゃあ、守備もがんばってやろう!」


 とか、そういう言い方をしてあげれば良くないですか?


 決定打になったのは、最後のCチームの試合中。

 これは結構大事な試合でした。


 Nジュニは、ショート。

 風雅ジュニアは、サード……だったかな?

 ピッチャーなしのルールでしたので、ショートが花形です。

 Nジュニは、N氏の圧が恐いのか、緊張してか、ぽろぽろ何度も球を落とします。

 見ていて可哀想なくらい……💦

 それでもN氏は、ショートからNジュニの守備位置を変えようとはしません。


 風雅ジュニアがサードで球をキャッチ……し損ねて、落としてしまいました。

 そのたった一回きりの失敗だけで、N氏は、風雅ジュニアを他の子とメンバーチェンジさせました。


 あとで聞いた話、その場にいた他のパパコーチ全員(N氏以外)が「どうして、あそこで変えたんだろうね~?」と納得がいっておりませんでした。

 「それこそNジュニを変えてやったほうが良かったんじゃないか?」と、三年生のコーチ(Nジュニと同じL小学校に通う子のパパがですよ?)まで言います。


 それなら、誰か試合中に、N氏へモノ申せばいいんじゃないか?


 誰も言えません。

 もうそういう空気でしたから。

 練習メニューも、試合の守備決めも、試合中の采配も、全てN氏が取り仕切っていました。


 これはもうN氏と一緒に時間を過ごしていたパパコーチたちにしか分からない空気なんだと思います。

 私からすれば、何か文句があるなら言えよっ!

 ……と思いますから。

 

 結局、その試合は、負けました。


 しかも、試合の途中で、N氏は、エラーした他の子に向かって、特大の声を張り上げて怒鳴りました。とても乱暴な口調で。

 すると、見かねた相手チームの監督かコーチが「まぁまぁ、そんな怒鳴らないで。楽しくやろうよ!」と声を上げてくれたのです。


 いやもうね、あの時のこちら側のシーン……としたあの空気……。

 本当であれば、こちらのベンチからそういう声を出すべきだったのです。

 でも、それが言えるチームではなくなってしまっていた。


 どうやらN氏は、普段の練習時から子供たちに怒鳴るようになっていて、その頃には、もう目に余るほどのワンマンっぷりになっていたです。


「ようです」って……風雅は、知らないような口ぶりだな?


 ……はい。すみません、風雅は、ぎすぎすした練習風景を見ておりませんでした。

 何故なら、母当番がパパコーチ兼任OKとなってから、お当番は夫にお願いしていたからです。私には、まだ下の子がいたので……💦

 下の子は、野球に全く興味がなく、ちょろちょろと目を離せないので、お当番をしながら下の子を連れて行くのは、正直きつかった💦

 パパも快く引き受けてくれていたので、私もそれに甘えておりました。

 それがこんなところで弊害になるとは……!

 他の母たちの目があれば、N氏もそこまで豹変しなかったのでしょうか?


 それにパパが辛い、と言っても、風雅ジュニアは、どう思うか?


 風雅ジュニアは、野球が大好きになっていましたので、チームを辞めたくはなかったと思います。仲のいい友だちもいましたし……。

 ただ、親の目から見ても、いつもN氏に叱られてばかりの練習が、風雅ジュニアから野球へのやる気を奪っていたのは確かでした。


 練習日以外の日に「キャッチボールしよう」と言わなくなりました。

 野球をやっている時の表情が暗いです。

 前までみたいに「僕の球、早い?!」と嬉しそうに褒めて褒めてアピールがなくなりました。

 叱られてばかりなので、そりゃ楽しくないですよね💦

 むしろN氏の口調を真似したように、他の子たちが失敗するのを見て、乱暴な言葉を投げ付けるようになっていました。


 ……これはいかん、と思いましたね。

 例え、そこで風雅ジュニアの口調を注意したところで、リーダーコーチが乱暴な言葉を使っているのだから、示しが付きません。

 あんた、それが嫌で前のチームを抜けたんじゃなかったっけ?と思いましたよ💦


 極めつけはですね、風雅ジュニアが悲しそうな顔をして言うのです。


「僕には、ピッチャーは無理だって。コントロールが悪いから……」


 Nジュニにそう言われた、というのです。

 おそらく、N氏がNジュニの前でそういう言葉を使っていたのだと思います。でなければ、子供がそんな言葉をわざわざ選んで言いますか? 本人に向かって!


 自信に溢れていた息子の姿は、そこにはありませんでした。

 意欲を削がれて、ただ叱られる辛い練習を耐える日々……そんな空気しか私には感じられませんでした。


「野球、楽しい?」


「うーん……あんまり……」


 そんな状態のまま風雅ジュニアをEチームに入れておきたくはない。

 特にEチームにこだわる必要はないのです。

 他にも野球チームは、たくさんあります。

 風雅ジュニアのために、もっと環境の良い野球チームを見つけてあげようか……と、夫と話していた時でした。


 風雅ジュニアが万引きをしたのです。



 ……つづく。 

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