第6話
「今まで何回か感じたよね」
空を仰ぎながらういは呟く。ナツメも空を仰ぎながら頷く。
「俺が記憶していたのが正確なら1年半位の感覚かな?このマイナスエネルギーは膨大だからな」
由貴は2人の会話を聞いて空を見る。何も感じない。空が蒼く鳥が飛んでいるいつもの風景。2人が時々空を物凄く気をするのだが、自分には感じられないので少し悲しかった。それが第一神と普通の神の子供の違いなのか、と。
「またいつもの?」
由貴は親にもらった紅茶を飲む。父親がいれてくれるお茶はいつも美味しい。ナツメの母にミルクを入れるミルクティーとレモンを入れるレモンティーを教えてもらった。由貴はレモンティーが爽やかで好きだった。
「うん。どんどんエネルギーを感じるんだ。俺たちの力が大きくなったのか、その定期的なエネルギーが大きくなってるのか分からないけれど」
こういう時のナツメは絶対に冗談を言わない。魔法に関しては割と冗談をいうが、空のエネルギーはういと共感していつも話し合うのだ。
前より2人は話し合っていた。由貴にはその感覚がよく分からなかった。マイナスのエネルギーが空から降ってくる。でも1年半に1度位のこと。それがこの世界の災害を起こしてるというが神の力で何とかなってるのだ。そこまで気にする必要があるのか理解出来なかった。
「定期的にマイナスエネルギーが来るのならその度に対処すればいいだけでしょ?気にしすぎじゃない?」
ナツメとういが指摘してからマイナスエネルギーの来るタイミングが前より分かりやすくなったので災害は格段に減った。だが一定期間毎にマイナスエネルギーが降ってくるのには何かがあるのだと第一神であるみことは考えていた。
人と神が仲良く過ごせる世の中になって欲しい、したいと思っているから。その為に余計な労力を使いたくなかった。
「あのね、このエネルギーは悲しみが詰まってるの。感じるの。このエネルギーは悲しんでる。どこかの世界でこれだけの悲しみがあるのはおかしいと思うの」
ういはマイナスエネルギーをずっと計算して、同化する事に成功していた。同じ術式を使ってもナツメも由貴も出来なかった。ういはマイナスエネルギーの影響を受けやすいらしい。
「一定期間ずつこれだけの悲しみのエネルギーなんていつかこの世界に影響をもっとおかすかもしれない。だったら出来るひとがしないと」
ういがそう言うとナツメは同意の意味で頷く。由貴はそんなふたりに反論する。
「待ってよ。第一神でも源を見つけられてないそのエネルギーをどうやって?ナツメとういがやるの?まだ子供なのに」
ナツメとういは見つめあって無言で頷く。
「多分それが使命なんだと思う。今まで誰も感じられなかったこのエネルギーを感じられる俺たちは、やらなくてはいけないんだと思う」
由貴は悲しかった。同じ日に生まれた兄弟みたいなふたりと確実に違う事が。
「じゃあふたりでやればいいじゃない!私には分からないんだから関係ないよね」
幼い由貴は悲しくて悔しくてそう言ってふたりから走り去った。ういとナツメはそれを悲しそうに見つめた。だが、進まないとという気持ちは無くならなかった。
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