第7話

「あの向こうに行こうと思う」

ナツメがエネルギーの源の事をルピアと呼び始めてから数年後由貴に言い出した。ういはナツメの横で頷く。

「え?どうやって?」

不思議そうに聞く由貴にナツメはニヤリと笑った。

「龍にのって」

由貴ははぁ?と反応する。宇宙に連れていってくれる龍?何を言い出すのかと思っていた。

「真剣だよ。龍の身体は光の速さに耐えられる。そこをバリアして突っ切る」

「え、本気なの?」

現実的な案が出てきたのでびっくりしてしまった。ただあまりに遠いので光の速さで行ったとしても何万年もかかる。神だからそれでも行けるだろうが……。

「本気本気。龍の力と魔法陣使ってずっとルピアの方向のワームホールを探していたんだ。昨日いい所がみつかったんだ。これなら1日かかるけれど、いける」

由貴は置いていかれてた。ふたりがそんな事してるのは知っていたが、夢物語と考えていた。だが行く方法を見つけて。行くと言うふたりに本当に置いていかれると思った。

「私も行く」

由貴はナツメを睨みながら言った。ナツメはキョトンとして今まで興味なかったのにと呟いた。

「ういは嬉しい。さんにんで行けたら安心だね。ういね、由貴と離れるのが寂しかったから」

抱きつきながら話すういを由貴は可愛いなと思いながら頭を撫でた。

「由貴の両親が許さないだろ?多槻さんもまりあさんもそんな事しなくていい神々なんだから」

ナツメは目を伏せながら話す。由貴はかっとしてナツメにビンタした。

「私の親は確かに身分低いわよ。だからって私が手伝うの関係あるの?ないでしょ?馬鹿にしないで。私の力が低いならそう言えばいいじゃない。ばか!」

そう言って由貴は泣きながら走り去って行った。ナツメは手を伸ばして止めようとしたが、数歩歩いてやめた。

「由貴……どうしたんだ?今まで興味なかったのに」

由貴が去っていった方向をじっと見つめて呟く。そんな様子をみてういは言う。

「ナツメに置いてかれると思ったんだよ。仕方ないよ」

ナツメはういを見つめて何故?と聞く。まだまだお子様だね、とういは笑う。

「由貴は素直じゃないし、ナツメはまだまだ子供だから分かんないんだよ。でもね、ういの夢見ではよにんでいくよ」

ういの予知夢はナツメより強かった。だからナツメより先の事を知っている。でもういは沢山予知夢の話はしない。

「よにん?え?由貴が行くとして後は誰?父さんはここにいないといけないし、母さんも体調悪いから……。誰?」

「知らない男の子。人間だよ。うん」

それ以上は語らない。ういはそういう顔をしてナツメを見つめる。ナツメは溜息をついて女は分かんないなぁと呟いた。

ういは立ち上がって由貴の家にふらふらと歩いていく。

「どこに行くんだ?」

「多槻に会いにいくの」

ナツメはよく分からなかったが、こういう時のういは放っておいた方がいいと思って家に帰った。

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