第5話

宇宙の遥か遠くの世界では苦しんでいた。

「また時が戻る」

「そうしないと苦しむ時間が長くなるだけだ。早めに時間を戻して対処方法を見つけないと」

「無理よ。もう何千回何万回繰り返してるの?苦しんで死んだと思ってもまた繰り返される。時間がこれだけ巻き戻されるなんて有り得ない」

「有り得ないからここに研究室を作って他の星に助けを求めたんだろう。光の速さで何万年もかかる先に助けてくれる人達が現れるかもしれない」

「私達はここで永遠にその助けを求めないといけないの?自殺しても時間が巻き戻ったら生き返る。苦しくて苦しくて……助けて。誰か。誰でもいい。この閉じられた世界を解放して……」

「月の雫をあちこちに送った。それが力になってくれると信じよう。みんなの記憶を消して少しでも苦しまないように」

「私達がためている月の雫は本当に役に立つの?ただ巻き戻すだけでも莫大な量がいる。終わりにしたいのに。みんなの記憶を消すために月の雫の貯蔵はそこまでないのよ?」

「色々やったけれど結局は駄目だった。待とう。そう占いに出たじゃないか。新しい力がやってくると」

研究室には2人きり。そこでこの惑星が滅びて何故か滅びる1年前に戻るという出来事がはじまった。何回も繰り返すと人々は記憶があるのでそれならばと自殺しまくった。それでも時が戻され生き返ってしまう。地獄のようなサイクルが始まった。地中に研究室を作って月のエネルギーを変換させる研究をしていた2人はそのエネルギーを外に送った。助けて。どんな方法でいいからこの閉じられた世界を救ってと。

その救いが来る時のために月のエネルギーを形として残す研究をした。時間が戻っても理から外れた空間なのでエネルギーは残っていた。研究をしていた人達はもっといたのだ。だが絶望して自害をして。理から外れた世界で死んだ人達は時が戻っても生き返らなかった。

研究室に2人だけになった時、人々をここに連れてきて殺す事も考えた。だが助けが来ることを占いは示していたし、信じたかった。

このエネルギーは惑星を作り替え生命を生み出した。あちこちで生命が生まれていた。それを研究室の2人はまだ知らない。だが、この惑星まで来れなかった。気づいてる人もいた。だが助けにいけない。力が確実に無かった。

しかしいつか来る助けを信じて2人は泣いたり苦しみながら待ち続けた。気が狂うほどの時間が過ぎていた。

2人は占いで示された月の雫を集める作業を何万年も行っていた。時の理から外れているが何故か2人は歳を取らないし身体を壊すことも無かった。この空間は特別だった。

そして何万回目かの運命の日再び月の雫の力を解放する。苦しみながら死んでいく人々を見るのは苦しくて月の雫の集まりが悪くなるので。

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